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なんだこれ劇場  作者: 鰤金団
10/166

10 対決ボルト

 世界を混沌で包もうとする軍団が居た。

 対するのは、剣の腕を見込まれた戦士と類まれなる魔法の腕を持つ魔法使い。慈愛の心でパーティを支える僧侶と全ての状況で最適なチョイスをしてくれるパーティの生命線の荷物持ち。

 この四人は、幾多の苦難と強敵との戦いを乗り越え、遂に軍団のボスと雌雄を決する事となった。

 相手の名はボルト。

 敵は魔法に長けた魔法使いタイプ。武器は頭が二つに分かれ、片方が動く不思議な杖。

 パーティは、何時ものように戦士が敵を引きつけ、魔法使いが遠距離攻撃をする作戦で様子を見ることにした。

「僧侶、頼んだ」

「何時もので行くわね」

 敵に向かう戦士に、僧侶が補助魔法をかけた。

 この戦いが終わったら一緒に暮らす約束をしたほどの、息の合ったコンビネーションで強化された一撃がボルトを襲う。

「小手先の攻撃など防いでくれるわっ」

 残念。戦士の攻撃は、ボルトの防御魔法で防がれてしまった。

「なら、これはどうだ。サンダーボルトォッ」

 魔法使いの強力な雷がボルトへと走る。

「良い電流だな」

 ボルトが褒めた。そして、杖の頭が動く。

「締めてやろう」

 ボルトは杖を魔法に向けると、回し始めた。

「サンダーボルトが消えた!?」

 魔法使いの魔法が消えてしまった。

「こんのぉぉぉっ」

 いきり立つ魔法使いは、自身のスキルを発動させた。

「トリプルマジック……」

 魔法使いは高密度の魔力を込め始めた。

「往生性やぁぁぁぁぁ」

 魔法使いはファイアーボルト、ウォーターボルト、ウインドボルトを唱えた。

「器用な事をする人間だ」

 不敵に笑うボルト。また杖を操りだした。

 杖の効果だ。三つのボルト魔法は消えてしまった。

「ぬぬぬぅ……。だったら四つ同時だ!!」

 魔法使いはクアッドマジックのスキルを使った。

 しかし、魔法が出ない。

「そんなっ。沈黙や魔力切れでも無いのに魔法が出ないだと!?」

 魔法使いは冷静ではいられなくなった。

「落ち着け。きっとあの杖だ。あれを壊せば戻るはずだっ」

 戦士はもう一度攻撃を仕掛けた。

 しかし、ボルトの鉄壁の防御の前には無意味だった。

「そんな。ここまで来たのに、これのままでは……」

 僧侶の心が折れそうだ。

「見極めたっ!!」

 静観していた荷物持ちが動く。

 期待を込めた仲間達三人の瞳。

「いっけぇぇぇ、海水っ!!」

 荷物持ちは七つのボトルをボルトに投げた。七つの海を移動した記念の思い出の品だ。

 的確なコントロールで、空中のボトルに小石を当てていく荷物持ち。凄い。

「ぐっ。塩辛いっ」

 海水を顔に浴びるボルト。塩水が目に効いているぞ。

「戦士、今だ!!」

「おうっ。僧侶、頼む」

 僧侶がもう一度戦士に補助魔法をかけた。

 更に強化された戦士の一撃。ボルトの杖が真っ二つだ。

「魔法使い、やっちまえぇぇぇっ」

「見せ場をもらうぜぇぇぇ」

 テンション最大の魔法使いのクアッドマジックが発動した。

 ボルトは跡形も無く消滅した。世界に平和が戻った。

「今回も逆転は荷物持ちからだったな。あれはどんな手だったんだ?」

「戦士。軍団の奴らは鉄と同じ体だった。だから、塩水をかけたんだ」

「じゃあ、錆びたっていうのか? それにしては早過ぎるだろ」

「特製の錆促進効果のある海水にしていたからだよ」

「凄いな、荷物持ち。おかげで、魔法を封じられた仕返しと止めを注す事が出来たぜ」

 こうして戦いを終えた四人は、吉報を待つ王様の元へと戻った。

 もしもまた、世界を脅かす存在が現れたとしても、彼らが再び立ち上がるだろう。

 その子孫達も、立ち上がるに違いない。

 何故なら、彼らの勇気は時を越え、世代を越えて受け継がれるのだから。

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