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異世界転移は義務教育  作者: 黒みゆき
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8.アルシアン

 ああ、なんて不幸なんだろうあたしって。ただ毎日平和にメダカを増やして暮らしたいだけなのに。

異世界転移が義務教育なんて信じられない!

おまけに、あたしだけ人でなく魔王だなんて。

おまけに、おまけに、メダカ同伴だなんて。

今のあたしの最優先課題は、メダカの餌の確保。

何とかしなきゃ・・・

お忍びのはずが凄い事になっちゃった。

一体どうなるの?


 翌朝、朝食を摂ってからあたしはみのちゃんとメリーさんを引き連れて城をでた。

今日もいいお天気で、なんかピクニック気分だわ。ピクニックした事ないんだけどねぇ。

 空にはスズメは居ないけど、妙な色合いの鳥とか、ネズミみたいのとか、巨大なトンボとかが飛んでいる。


城の正門を出ると木造の巨大な跳ね橋があり、それを渡ると城を取り囲む広大な森が広がっている。

この森が魔族のテリトリーとなるんだそうな。森を抜けると大きな川が流れている。アルマ川というそうだが

その川の中州にあるのが、目的の地アルシアン。巨大な商業都市だそうだ。

よくもまぁ、こんな魔族の領地との境にこんな街が出来たもんだよ。言わば最前線でしょうに。怖くないのかな?

で、みんなは人に化けてこそこそと潜り込んでいる という訳ね。なんだかねぇぇ。

 などと一人物思いに耽っていると川が視界に入って来たんだが・・・

おいっ!何故橋がかかっている?何故みんな変身もしないで堂々と往来しているの?

行き来しちゃあ駄目なんじゃないのーーーー??

 あたしは、みのちゃんを見上げた   が  みのちゃんは顔をそむける。

「あんたら、公然と交流してたんだね?」

 みのちゃんは、咳払いをしている。YESの意思表示なんだね。ま、いいけどねぇ。

「じゃあさ、人に化ける必要なかったんじゃないの?」

 みのちゃんに聞いてみた。

「いえ、さすがに魔王様みずから禁を破るのはいかがなものかと」

 もっともらしい言い訳をする。確信犯めっ。

あれ?なんか疑問が浮かんだぞ。

 「あんたは、変身しなくてもよっかたんでないの?」

 浮かんだ疑問を、みのちゃんにぶつけてみた。

「・・・・・・・・」

おでこにしわ寄せてうなってるぜこいつ。さあ、さあ、どうなんでいっ、どうせモテたいとかしょーもない理由なんだろう。

「あ  あー。んーーー。これでも自分は守備隊NO2なので、自分が留守にしているのがばれてはいけませんので。保安上の対応でございます」

 そう来たか。苦しい言い訳だけど、あまり苛めても可哀そうだから、ま いいか。

「あたし達は変装しているんだし問題はないわけだね?それで街に入るのに、手形とかいらないの?」

 普通、証明書とか必要だよね。こんな最前線なんだし。

「いえ、一人小銀貨1枚で入る事が出来ます。」

あたしゃ驚いた。あたしの様な素人から見てもずさんだよ。ずさん。いいの?そんな事で。

みのちゃんが言うには、人族から見たら辺境にあたるので、満足な兵も送られて来なくて、査察もないのでみんな、ゆるゆるとやっているそうだ。今まで問題も無かったから問題無し だそうだ。なんか、緊張して気合い入れて来てばかみたい。


 そうこうしている内に、街の森側 つまり魔物側にある門が見えてきた。この門、必要?渡って来るのって魔物だけぢゃない。

魔物さん、いらっしゃい  っていう事?

正式に街に入るのが認められているって事?信じられない!この世界の生き物って。

 いや、信じられないのは設定をしたIT省の役人だね。さすが日本の役人のやる事だよ。やる事なす事いい加減だぁね。


 あたし、こんな世界でやっていけるんだろうか?自信無くなってきたわ。

さっさと買う物買って帰ろう。


 あたし達は、お金を払って街に入った。何も怪しまれずにすんなりと入れた。少しは怪しめよー!! っと思わないでもないが

入れたから良しとしよう。うんうん。


 街の中は人で溢れていた。石畳の通りの両側には二階建ての物語に出て来そうな可愛い建物が並び、窓からは洗濯物を干しているおばちゃん達がちらほらと見られ、通りの両側には露店が所狭しと並んでいて、群がるお客さんとのやり取りで活気が溢れている。

時より肉の焼けるいい匂いが漂ってくる。朝食食べたばかりだがそそられてしまう。肉を刺した串を持って食べながら歩いている人もちらほら。お隣りは果物屋さんだね。色とりどりの果物が並んでいるわ。おや、お使いかな?小さな女の子がリンゴの様な果物を麻の袋に詰めて貰っている。なんか、微笑ましいなぁ。そんな女の子の果物を指をくわえながら見ている妖精も居て和むわぁ。

 って、ありゃメリーじゃないかいっ!!!

「こりゃっ!何やってるっ!!!」

 メリーの首根っこを捕まえて持ち上げると、じたばたしながら抗議のまなざし。

「欲しい、欲しい、欲しい、欲しい、欲しい!!!」

 お前は駄々っ子かいっ!

しょうがないから、姫リンゴみたいな小さなリンゴを1個買ってやって大人しくさせた。支払いはみのちゃんね。もちろん。

ピクシーは、果物に目がないそうだ。大事そうに抱えて満足顔だ。


「メリー、ドワーフってどこにいるの?」

「ん?知らない」

「じゃ、何しに付いて来たのかな?」

「楽しそうだから」

「・・・・・・・・」

 なんなんだこいつ。役に立つんだか立たないんだかわからんやっちゃなぁ。

さて、困った。どうしよう?道具屋でも探せば見つかるか?

「みのちゃん、魔道具って普通に売ってるものなの?」

「簡単な物なら表の道具屋にもありますが、特殊な物になりますと裏の道具屋に行かないと」

 ほっほう、あるのね裏の道具屋に。    ん?裏の?

それって、やばい店じゃないの?嫌な予感がするのは、気のせいでしょうか?

「ちなみに、その裏のお店ってどこに  あるのかな?」

「裏の店なので、見つかる所にはありません。ですので場所は不明です」

 おいおい、そんなに胸張って答えるなよぉ。


全然話が進まないよぉ。連れて来る者の人選間違ったかしら。


 途方に暮れていると、拾う神あり?通りのちょっと先で怒鳴り声が響いて来た。

喧嘩?やだなぁ、ま、あたしには関係ないない、それよりもドワーフを見つけなくちゃ。

ドワーフって、小さくて、髭もじゃで、顔が濃くて、頑固で、足が短くて、お酒が大好きで、

後どんな特徴があったっけ?

「みのちゃん、ドワーフって見たことある?」

胸を張ったみのちゃんは

「そうですね、ちょうどあのような感じです」

 と、喧嘩をしている集団の中で袋叩きにあっている小さな髭もじゃの人を指さした。

5人でもって袋叩きにしている奴らは顔も体も傷だらけでいかにも悪そうな奴らだ。どう見ても人族だねぇ。

「えっ!!!!!!」

飛んで火にいる夏の虫?ナイスぢゃーーーん。思わずガッツポーズしていたあたし。

でも5対1かぁ。強そうだよなぁ。あたし、喧嘩なんかしたこ事ないしぃ。と、みのちゃんをこそっと見上げてみる。

「助けますか?」

平然と言ってのける所をみると、翔さん いや勝算ありですか?

「やれる?」

「殺さない程度に抑えるのは難しいですが、やってみましょう」

 とのたまうと、みのちゃんはゆっくり歩きだした。みのちゃーん急いでーーっ!!


「なんだ、てめぇ!」

暴漢その1はのそっと歩み寄ったみのちゃんを威嚇するが、言葉とは裏腹に明らかにびびってる。確かに見ただけで優劣が明らかだ。

明らかだが、引っ込みがつかないのもあるが、なめられたら今後の仕事に響くんだろうなぁ、みのちゃんに殴りかかった。

が、みのちゃんの腕の一振りで10メートル位吹っ飛んだ。カウントはいらないな、動く気配もない。1アウトだな。

暴漢その2とその3が同時に飛び掛かった  が、これもみのちゃんが両腕を振るうだけで吹き飛んで人混みを飛び越えて消えていった。

これで3アウト。チェンジだよー暴漢さん。

 しかし諦めの悪い暴漢さん達は、定番の行動にでた。

「このやろー、ぶっ殺してやるっ!」

 暴漢その4と5が腰の後ろにぶら下げていた短刀を抜いて、みのちゃんに切りかかった。

ほう、いつもはのそっとしているみのちゃんが、目にも止まらないスピードで刃物を蹴り飛ばして

掌底打ちっていうんだっけ、手首のあたりで一人ずつ突き飛ばしていった。

正直、どんな動きだったんだか、あたしの目じゃ追えなかった。だって、早いんだもん。


 あたしは、尻餅をついて呆けているドワーフさんに駆け寄った。

「おいちゃん、大丈夫?」

 口をあんぐり開けたまま、みのちゃんとあたしを交互に見てやっと口を閉じて唾を飲み込んだ。

「ほい、立てる?」

あたしは、手を貸して立ち上がらせた。ドワーフさんは、尻のほこりをたたきながら

「ありがとよ、嬢ちゃん。だけど、こんな事をしたら仕返しが大変じゃぞ、早く逃げた方がええ」

 ふふっ、あたしは優しく微笑んでみのちゃんを見ながらドワーフさんに言った。

「今の見ていたでしょ?あんなのいくら来ても平気よ」

ドワーフさんは、呆れたようにあたし達を見上げて、ふーっと大きく息を吐いた。

「あいつらは、街に巣くっているダニじゃ。ああやって金を巻き上げに来る。街には騎士もいるが、あいつらの方が勢力が大きくてのう。取り締まってはくれん。みんな、泣き寝入りじゃ」

 ドワーフのおいちゃんは口惜しそうに話しだした。


なんか気に食わないわぁ。あたしには関係ないんだけど、なんかむかつく。

「ね、おいちゃん。あいつら何人位いるの?」

 おーおー、目がこぼれそうだよー(笑)おいちゃん、これ以上ないっていう位目を見開いている。なんか可愛い。

「おいっ、ばかな事考えていないだろうなぁ。あいつらは100人位はいるんじゃぞ。軍隊でも居ないとむりじゃ」

 無理なんだなぁ、あたしは弱い者いじめ大っ嫌いなんだ。あんなの、黙って見てられない。

「で、どこに巣喰っているの?」

「おいっ、いくらあんたの相棒が強くたって敵うもんかっ」

 決め付けてくれるねぇ。あたしゃ魔王だよ。弱いけど。

「もう一度聞くね。ど こ に 居るの?」

にこっと微笑んでみせた。なぜか、さっきの暴漢に対してよりも恐怖におののいているのは、気のせい?


「川向こうじゃ、川向こうに砦を築いて立てこもっているんじゃ。中にはさらわれた娘達も居るから、手が出せないんじゃ」

「ありがとうね、おいちゃん。大丈夫あたしには強ーーい味方が居るから、あんな奴ら一瞬で片づけてあげるよ」

「あいつら片づけないと、ゆっくり探し物もできないしね。終わったら挨拶にいくよ。聞きたい事もあるしねぇ」

 ドワーフさんは、諦めた様に頭を左右に振ってからため息を吐いて

「わかった、無理はするなよ。わしは、ほれ、そこの噴水の前で小道具屋をやっている。生きて帰ってこいよ」

 あたしは、ウインクをしてみのちゃんの方に歩き出した。

 このくそ定番の展開、製作者のセンスが疑われるわ。あーやだやだ。戻ったら文句たらたら言ってやるんだ。

「みのちゃん、ごめんねー、後少し付き合ってね」

「どこへでもお供いたします」

相変わらず無表情だが、こんな時には頼りになるわぁ。


初めての作品になります。

本作品ががあなたの興味を引いて頂くものであれば幸いです。すごっく嬉しいです。

誤字・脱字は、ふふって笑ってやってねー。(笑)

 気楽に勝手気ままで怖い物知らずなヒロインです。

暖かく見守ってやって下さーーい。


P.S.

我が家で産まれたメダカの稚魚が900匹を超えました。(笑)

水槽がたりませーん!やばいです。

ちなみに、ブリーダーではありません。


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