3.あたし、沈没す
ああ、なんて不幸なんだろうあたしって。ただ毎日平和にメダカを増やして暮らしたいだけなのに。
異世界転移が義務教育なんて信じられない!
おまけに、あたしだけ人でなく魔王だなんて。
おまけに、おまけに、メダカ同伴だなんて。
どうせなら、圧倒的な戦力をくれーーーっ!!
使える部下が2匹だけなんて。ぐれてやるーーーーっ!!
朝食が終わり、餌の在庫のチェックを終わらせて、観察タイム~(笑)
観察タイムはあたしの一番の癒しの時間だわ。健康状態や水質を確認したり、産卵床に付いた卵を確認したり
休みの日なんか、一日中水槽を眺めて過ごしている。
メダカオタクとかメダカの奴隷なんて言う奴もいるが、あたしは気にしない。だって可愛いんだも~ん。
お、楊貴妃メダカの産卵床に産み付けられた卵がかなり増えている。家はヒーターを入れているから1年中繁殖期なの。やっぱ寒いの可哀そうだもん。
そろそろ移す頃合いかなぁ?メダカは卵を産卵床に産み付けるんだけど、自分で産んだ卵を自分で食べてしまう。
だから、産み付けられた卵は産卵床ごと孵化水槽に移さないと全部食べられてしまう。産まれた子供もほとんど食べられてしまう。意外とオバカ?
放っておく人もいるが、あたしは可哀そうなので、産んだ卵は全部孵化させてあげる事にしている。命は大事だからね。
10日もすれば、4~5ミリくらいの小さな子供が孵化してくる。こいつがまた可愛いんだよねー。
そして、気が付いたら千匹を遥かに超えてしまった。あたしの小遣いと自由な時間は全部メダカに消えている。
ま、いいんだけどねー。
産卵床を孵化水槽に移して新しい産卵床に交換して、にまにましていたらもう授業の時間だ。
「みんな、頑張って孵化するんだよー」
卵達に声をかけてあたしは机に向かう。
水槽のメダカ達がみんな揃ってこちらを見ている。
頑張って勉強するんだよー って言われている気もしないでもないが、、、きっと気のせいだ。
うん、気のせい きのせい
パソコンを立ち上げて、ホームルームのサイトに接続 と
「あれ? ぐるぐるしていて繋がらない・・・」
こんな事珍しいなぁ?
「再接続!」 ぽちっとな
ぐーるぐーるぐーるぐーる
ありま、メンテでもしてるのかな?
ま、いいや。その内繋がるっしょ。
その間に、産卵期用の餌とフィルターの予備でも注文して・・・
あれ?スクールのサイトだけでなく、通販サイトもぐるぐるしてるよぉ。
なんなんだよー。
クラスメイトの梨花に電話して聞いてみるか。向こうも繋がらなかったら今日は休みだなぁ。
ぽちっとな
つーつーつー
携帯も繋がらない、なんなんだ?
どうしようかなぁ、とりあえず、メダカでも眺めてるかな。
あれ? うそ、何だか気持ち悪くなってきた。パソコンと一緒に視界もぐるぐるしてきたー。
やばい かも?風邪ひいいたかなぁ?
ぐーるぐーるぐーるぐーる
取り敢えず、横になろう ベッドにいかなくちゃ・・・
そこで、あたしの記憶は途絶えた。
だって、その後の記憶がないんだもん途絶えたんだよね。 たぶん。
そして、悲劇の扉は開かれたわけだ・・・
もう一度、閉じたかったなぁ。速攻で閉じたかった。もう遅いけど。。。
初めての作品です。
本作品ががあなたの興味を引いて頂くものであれば幸いです。
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