5.魔法に興味があります
記憶を思い出してから、数日後には私はまた外で遊べるようになった。
ただし、先生付きで。
「先生、エマたちのことよろしくね。エマも先生に迷惑をかけないように!」
「はあい」
「なるべく危なくない遊びを考えるよ」
先生がそういうと、安心したようにエマの母は家に帰っていった。
「さて、なにして遊ぶ?」
先生は不貞腐れているジナンに話しかける。
「先生なんかいなくたって、もう危ないことしねえもん!!」
「けど仕方ないじゃん。別に先生がいるからって勉強会がはじまるわけじゃないし」
ユーランは特に気にした様子はないらしい。
10日に1度、この村に住んでいる私達を含めた子供は先生に言葉遣いや、文字の読み方、書き方などを習っている。
それは、小さな村といえど商人の出入りがあるし、商人の目にかかって、出稼ぎとして村を出る可能性もあるからだ。
親たちは商人とやりとりをするための最低限の事しかわからず停滞していたところに、先生が他からやってきて、今では頼り切りになっている。
「そうだなぁ、他の子達がいないのに勉強会をするわけにいかないしなぁ」
「そうだ、先生!魔法!魔法だったら教わってもいいぜ、オレ!」
ジナンが思い立ったようにそう言った。
勉強会で魔法は教えないだろうと言うような顔をしている。
「魔法か〜、魔力がないと出来ないからな。まず魔力を持っているか調べたり、魔力を扱う練習をしないとダメだぞ。魔法を使うには、三年はいるだろうなぁ」
「さ、さんねん…」
三年も必要なんて知らなかった。
確かに聖女になった時、練習もしていたけどそんなにかからなかったな。体に馴染んでたあたり、ナタリーも練習してたのかな。
「魔力を持ってないと、魔法も使えないんだよ、ジナン」
「うぐぐ」
ユーランは可哀想な顔をジナンに向けた。
「そうだなあ、この村は魔力を持っている人が少ないからジナンやユーラン、エマが魔力を持ってる可能性も少ないな。」
「そんなあ」
ジナンは大袈裟とも言えるほど残念がっていた。
きっと先生の魔法を見てから、自分の活躍を妄想していたに違いない。
けど、私も魔法使えなくなってるのは残念だわ…
うむむ
「ねえ先生、魔力を持ってないかもしれないけど、持ってるかもしれないじゃない?調べるだけ調べてほしいの!持ってたらわたし練習頑張るから!」
「そ、そうだ!持ってるかもしれないし、先生!」
「エマまでノリノリになっちゃったらわたしも気になってきた!」
私達は先生に駆け寄った。
「まあしょうがないな。村長に言って魔力探査機借りてくるよ」
先生はちょっとまってて、と言って諦めたように村長の家に向かった。