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三度目の転生は記憶持ちであることを隠します。  作者: ロマハラ
エマ、7歳です。
1/5

1 溺れました。

拙い面もあると思います。よろしくお願いします。


「ゴホッ…ガッ…ハッ…たすっ…け…!!」

水が押し寄せてくる。

まるで、責められているみたいだ。

ーなんて、そんな言葉が出てくるほど余裕はない。


「エマ!?!!!誰か!エマが溺れてるよ!!!手伝って!!!」


「大人呼んでくる!!!」


…ああ、誰かを呼んでくれたのね…


少し安心して、私は目を閉じた。


ーーーーーーーーーーー


電車のように揺られている。

いや、これは馬車…?

お祈り前を思い出すから少し嫌だな。

…ん?電車…?馬車…?お祈り…。





馬車をエスコートされながら降りる。


「ナタリー様!お急ぎください!」

大きな城から侍従がやってきた。

広く、金や白で華美な装飾を飾り、反射するまで磨かれた廊下を裾の長い服を着た男が早歩きをしている。


「そのように急がれなくとも問題ないでしょう」

私が優雅に後ろをついていっている。


「お祈りの準備は既に終えております!早急に始めなければ神の反感を買います!」

神の話をする彼、いや、この城にいる者は全員神について語る時、目を輝かせていた。


「馬鹿らしい…。…向かいましょうか。」

お祈りの後、何か一つ前世の記憶を控えている従者に与えなければならない。

前世の…?前世?






違う。これは私がよく見ていた夢の話だ。少しぼやけている。

私の見ていた夢の中では、私の住んでいる村とは違う規則で動いていた。服装も髪色も目の色も全て違う。

なぜ忘れていたんだろうか。

よく見ていた夢なのに。


この裕福といえない村で馬車になんて乗れるわけがない。馬車を見たことも、数回あるかないか。しかし、昔から夢に出てきたのだ。

そう思いながらも、私は意識を浮上させた。


「ん…」

目の前に…かぼちゃ…?


「お!起きたか!!!調子はどう?」

「「起きた!!」」


ガタガタと揺れていたのは畑道で引っ張られている荷車だった。

子供達が助けを呼びに行ったのはかぼちゃを収穫している先生だったのか。


「ゲホッ…はい…ありがとうございます…」

体内に入り込んでいた水が出て、声が掠れる。


「ん?」

先生が一瞬眉間にシワをよせた。


「なんだよ!そんな畏まって!まるで大人みたいな話し方!似合わないぞ〜」

一緒に川遊びしていたジナンが荷車の横で歩きながら笑う。


さっきまでの夢のせいで言葉遣いが少しおかしいことに気づいた。…夢?夢なのだろうか。

わからない。けれど、隠していた方がいい気がする。

私の反応が、以前の私が警告音を告げている。

…以前の私って?


「…だって、命助けてもらったんだもん。私の中の最高のお礼言わなきゃ!先生にこの前教えてもらったじゃん!…先生?間違ってなかった?」

私は誤魔化しながら先生に顔を向ける。


「…ああ!間違ってなかったぞ!勉強が苦手なのによく覚えていたな」

ニコッと笑う先生。この村に来た当初はこんな笑い方しなかったらしいけど、だいぶ村に慣れた証だ。と大人は言っている。先生が笑って褒めてくれるのは嬉しい。


「大人みたいって、ジナンこそ教えてもらったこと忘れてるんじゃないの〜?」

一緒に川遊びをしていたジナンの双子の妹、ユーランがからかったように笑った。


「お、覚えてたよ!えっと、あれだろ!ありがとうご、ます?違うな。」


「ほら〜覚えてないんじゃん!」


「あははっ」


双子のジナンとユーランは私の友達だ。私より3歳も年上だがとても仲が良く、兄弟のいない私にとって二人は友達であり家族だ。


「…そんなことより、服乾いてる」

川遊びをしていた私とジナンとユーラン、そして私を助けてくれた先生の髪や服は全て乾いていた。


「ああ、これは生活魔法の一つだよ。そういえば初めて見せたね。」


「先生すっげえんだ!よくわかんねえけど!オレあんなの初めて見たぜ!!!魔力ある奴らは村にもいるけど狩りに出てるしな〜」

ジナンが両手を握りしめて興奮したような表情をする。


「そうそう!先生すっごいの!こんな魔法があったら生活がもっと楽になるのに!なんでみんな使わないんだろ?」


「魔力も無限にあるわけじゃないからね。魔法がないと狩りは出来ないが、風があれば服も乾くだろう?」

自然もうまく利用するんだ。といいながら先生はユーランの頭を撫でる。


「オレ、魔法が使えるようになりたい!かっこいいし!」

「ワタシも!」

双子の好奇心は素晴らしいが、肝心の魔力が無ければ叶わない。魔力は血液のようなモノだから…。…なぜ?


「ん?エマ、どうした難しい顔して、気持ち悪いか?」

先生が心配そうな顔をしてこっちを見る。先生はよく周りを観察している。


「ううん。少し頭が痛いみたい。朝ごはんが勿体無いし吐きたくても我慢するよ」

頭が痛いのは嘘ではない。夢を思い出して頭が混乱している。


「オレ、エマの母ちゃんに先に行ってくる!エマはかぼちゃと一緒に休んでろよな!」

「ありがとう!ジナン!」

「お、おう!」

少し頬を赤くして、ジナンは走り去ってしまった。

失敗した。そんなつもりなかったのに…村から出づらいじゃない…。

…おかしい、私は村で一生を過ごすと思っていたのに…

考えが変わっている。何かが変わっている。




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