友情エンドでの死亡フラグ
殿下が医務室を出ていったのをボーッと眺めていたら、あることを思い出した。
ゲームのストーリーだと、魔力測定が終わったらすぐに解散になる。
主人公はこれからお世話になる学園を見て回ろうと思い立った。
学園は主人公が思っていたよりも広く、迷子になってしまった。
そして、辿り着いた先は学園の屋上にある空中庭園だった。
そこで殿下と主人公が出会う。
私はまだ主人公を見てないからなんとも言えないんだけど。。
ノエルの口振りからして男性らしい。……これって、BL版が発売されてたのかな。
美形同士がイチャイチャしたり、更にはあんなことやこんなことを……!?
なにそれ、美味しいんだけど。
って、ダメダメ。BL版とはいえ、私の死亡フラグが回避出来てるわけじゃないんだから。
いつの間にBL要素が高くなったんだろう。確かに同人誌でカップリングされてるキャラは多かったけども。
そもそも、BL版があるとは限らないのに。
「あっ、ソフィア嬢に伝えたいこと……が」
出ていったはずの殿下が戻ってきたので、私は慌てて立ち上がって口笛を吹いていた。
やましいことはしてないんだよ。ちょっと考えただけで。
このタイミングで戻ってくるなんて思わないじゃん。
「……まるで、悪さをして誤魔化してる鳥のようだね」
ニコッと微笑みながら言うものだから、余計に恥ずかしくなる。
「どうしたんですか?」
「伝え忘れててね。今日のパーティの後、俺にキミの時間をくれないか?」
「え、パーティの後?⠀構いませんが」
「それじゃあ、よろしくね。それとしばらく休んでいいって。先生と話してきたから」
なにか大切な話でもあるのかな。
って、今は主人公のことだよ!⠀これは確かめる必要がある。でも私はコミュ障で人見知りだから話せる自信もない。
だったら、殿下と出会うシーンを影からこっそり見よう。(ただ単に、男性だったらかなり美味しいシーンだなって思ってるだけ)
スチルが見られるからね。
なにせあのスチルで髪についた花びらを殿下が取ったあと、風で少し乱れてしまった髪を優しく整えてくれるという。
まさに、紳士!!⠀だと思わせてくれる。美形でお金持ちで性格も良い(ただしドS)となると惚れない人はいないと私の中では思ってる。
それが、BLバージョンとなると…………。
ダメ、考えただけで顔がニヤけちゃう。
落ち着け、私。
興奮するにはまだ早い。
でも……、いつか直接対決になったりするのかな。
主人公の友情エンドでも死んじゃうからね。
殿下ルートから悪役令嬢ルートに移動出来る。
ストーリーが進むにつれてソフィアが殿下と主人公に嫉妬するんだけど、その時にソフィアは『あの子は、誰にでも笑顔を向ける。その笑顔は私のもの。だから、私と一緒に死にましょう?』と、主人公に笑いかけるソフィアに恐怖を覚えた。
心中しようとしたらソフィアを主人公が止めようと試みたが、ソフィアは一歩も引かなかった。
主人公は、説得は諦めて『あなたが望むならそれで構わない』と死を受け入れようとした。
ソフィアに殺されかけようとした時、殿下が主人公を助けた。そのかわりにソフィアが殿下に殺された。
ソフィアの死を悲しむ主人公に殿下がなにも言わずそっと手を差し伸べて、エンディングを迎える。
このルートは、病みエンドだったんじゃないのかと思う。
ソフィアがメンヘラ化してたもん!!
怖いよ!!⠀どんだけ歪んでるんだよ!!
主人公も受け入れちゃダメ!!
しかも、エンディング後にソフィアの後を追って死ぬんだよ!!
私はそれを見た時にコントローラーを投げたわ。
後味が悪いエンドだったから。
この乙女ゲームって病み系だったっけ?
って、何回も思ったわ。
ゲームのソフィア同様にメンヘラ化にはならないという保証がなにもないから、頑張って避けなくちゃいけない。
よし!
頑張れ、私。




