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約束ごと3 《コラボ小説》

 うさぎの名前は『ソフィー』というらしい。愛嬌があり、屋敷内のアイドル化している。


 だって、ソフィーちゃんが通る度に使用人達が笑顔になるのだから。


 何故かそんなソフィーちゃんは私に異常なほど構ってくれてて、困る事もあるけど、嬉しくも思ってたり。


 聞けば、ソフィーちゃんは他の世界からやってきたそうで、異世界の友達に会いにゲート(?)を開いたら間違えてここにやってきたそうだ。


 帰る方法が分かってるらしいのだが、私とも交流を深めたいらしくてしばらくは滞在するみたい。


「ソフィアちゃん! 今日ねお菓子作ったんだよ。良かったら食べて。アイリスさんも」


 部屋のノックがして、返事をすればソフィーちゃんが入ってきた。両手で大事そうにお皿を持っている。


 お皿の上にはクッキーが。


 そのクッキーを見た時、思わず喉唾を飲み込んだ。


 ソフィーちゃんの作るお菓子は美味しいのだ。食べればやみつきになるほど、私は大好き。


 ソフィーちゃんはクッキーのお皿をテーブルに置く。アイリスは、すかさず紅茶も用意してくれた。


 向かい合わせにソファに座るとソフィーちゃんが口を開いた。


「ねぇ、ソフィアちゃんはどうして笑わないの? 楽しくない? それとも面白くないのかな。それか、私の作るお菓子が不味かったとか」

「え……ち、違うの!! あの、その……」


 アイリスがいるのもあり、言いづらい。どうしようかと焦っていると、ソフィーちゃんはアイリスに話しかけた。


「アイリスさん、私ね。ソフィアちゃんとお揃いなドレスを着たいんだけど、お願いしてもいい?」


 可愛らしく首を傾げるソフィーちゃん。アイリスが「わかりました! 私に任せてください!!」といってそそくさと部屋を出ていった。


「ソフィアちゃん、話しずらい?」


 部屋には私とソフィーちゃんだけとなった。ソフィーちゃんは心配そうに顔を覗き込む。


 私は首を左右に振る。ソフィーちゃんになら、話しても良いかなって直感で思ったので話してみることにした。


「そっか。死亡フラグというのがあるんだね」


 全て話終わるとソフィーちゃんはソファから立ち上がり、私の元に来る。隣に座った。


「そういうのよく分からないんだけど、笑顔になれない理由がその死亡フラグが原因なんだね。フラグを回避したいと思わないの? 未来を知ってるんでしょ」

「私は無理だよ。だって、前世で友達もいなかったし、人付き合い苦手だったし、どうせ今世でも似たような運命なのよ」

「どうせって言っちゃダメ! どうせなんか無いんだよ。乙女ゲームの世界なんでしょ。それって選択次第では回避出来るって事だよ! ねぇ、ソフィアちゃんは本当はどうしたいの?」

「……本当は……、私この乙女ゲームが好きなの。だから、死にたくなんてないし、毎日楽しく生きていきたい」

「うん! だったら変えようよ。そうなる未来に。大丈夫だよ、私がついてるもん。私はソフィアちゃんの友達だよ。一番の味方だよ。安心していいよ」

「変え、られるかな」

「ソフィアちゃんなら出来るよ。私、信じてるから。前を向いて、一緒に頑張ろう。大丈夫、ソフィアちゃんはひとりじゃないから」


 私は頷いた。


 それからしばらくしてからアイリスがドレスを持って部屋に来た。


 水色と白が基準のドレスを着せられ、髪もセットしてくれた。ツインテールなんだけど縦ロール風に巻いてくれた。


 ツインテールはソフィーちゃんのうさぎ耳をイメージしたらしい。


 お揃いのドレスを着て、庭でソフィーちゃんと手を繋ぎながら散歩する。


 アイリスは「可愛らしい」「天使!」なんて褒めてたけど、なんだかむず痒い。


 白い薔薇を見ながらも色んな話をした。


 その度、私がネガティブな発言をする度に訂正するようにポジティブな発言に言い返される。


 私もそれにつられて、同じようにポジティブな発言をしていくうちに気持ちが軽くなっていった。


 言葉は不思議なもので、ネガティブな発言を繰り返すと気持ちが沈み、その通りになってしまうし、ポジティブな発言を繰り返すと気持ちが軽くなって前向きになれる。


 なんで私、そんな単純な事にも気付かなかったんだろう。


 屋敷に戻ってきた時には、笑顔が自然と出来るようになっていた。


 これも全て、ソフィーちゃんのおかげだね。


 今日の夜は、ベッドに私とソフィーちゃんは横になりながらも絵本を広げ、一緒に読んでいると途中から眠くなってしまって寝落ちしてしまった。





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