表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

249/263

緊張していると言いましょうか

 卒業パーティー会場では、豪華な装飾品、テーブルには料理が並べられていた。


 私は夜会の時と同じドレスで参加している。卒業パーティーは夕方なので長引けば夜になるだろうからとアイリスの提案で。


 ボレロ風の薔薇柄のレーストップスが白よりの灰色で首元には大きめなリボン。

 赤紫のフィッシュテール風なスカート。


 上下が繋がってないように見えるが、上衣とスカートが一続きになっている。


 スカートが下に向かって幅が広がっていき前後で丈の長さが異なるスソのデザインとなっているからとても可愛らしい。


 このドレスがまた着るんだと思うと、少し緊張した。だって、あの時と今は状況が違うのだから。


 ふぅっと、息を吐く。目立たないように会場の隅にいると、声をかけられた。


「疲れた?」


 顔を覗き込んできたのはイアン様だった。隣にはイリア様もいた。


 イアン様は白と黒の礼装がよく似合う。イリア様は可愛らしいピンクと赤のドレス。


「疲れたと言いましょうか。緊張していると言いましょうか」


 私は引き攣った顔になった。緊張しすぎておかしくなりそうだったから。


「まぁ。大丈夫ですわよ。ソフィア様、緊張しましたら私がこうして手を握ってあげますから」


 イリア様は私の手をぎゅっと握る。その笑顔が癒しで、天使すぎて、少しだけ緊張が和らいだ。


「ありがとうございます。でも、大丈夫です」


 ふふッと笑うと、料理がのっているお皿を渡された。見ると、苦笑しているマテオ様がいた。


「美味しいですよ」


 私と目が合うと、マテオ様は柔らかく微笑んだ。


「ありがとうございます」


 私はお皿を受け取る。マテオ様はかなり変わったと思う。


 出会った当初は、敵意を向けてたもの。苦手だったけど、今は友人として好き。それは、イアン様やイリア様も同じ。


 会場内が唐突に静かになる。皇帝がお見えになったのだ。


 令嬢はカーテシーを、令息はボウ・アンド・スクレープをする。


 皇帝の話が一通り終わリ、皇帝は用意された席に座る。その横には、皇帝妃に皇太子と皇太子妃が座っている。


 夜会には姿を見せなかった彼らが卒業パーティーには顔を出したかというと、夜会にも顔を出す予定だったのだが、急ぎでやらなければならないことがあったので顔出し出来なかったと、ゲーム内の設定にはあった。


 なので、卒業パーティーでは、予定通りに参加出来たというわけだ。


 ここまでが、シナリオ通りね。


 曲が流れる。令嬢と令息達は社交ダンスをし始める。


 必ず参加ではないが、誘われるのが嫌な私は何かと理由をつけてバルコニーに避難した。


 私、ダンスなんて相手側の足を踏み付ける自信しかない。


 そもそも、シナリオだと主人公(ヒロイン)とアレン様が踊っていて、不快を感じた悪役令嬢が怒って、それから……アレン様に殺されるのよね。


 ゲーム内での好感度ではないにしろ、ちょっと嫌だなって思った。曲が終わった頃に会場内に戻ろうかな。


 しばらく外の風でも当たってよう。


 私は、手すりに寄りかかリ、目を閉じる。


 曲が終わり、目を開ける。ふぅっとまた息をはいて何気なく下を見ると、いちゃついている男女がちらほらいた。


 恥ずかしくなり、下から目を逸らした。


 卒業パーティーってそういうものだったっけ!?


 混乱していると、不意に声をかけられてビクッと肩を震わした。


「あっ、ごめん。驚かせたね」


 そこにいたのはアレン様だった。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ