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同担拒否とは、こういうのを言うのか

 今日の授業が終わり、「ふぅ~~」と、息を吐く。


 他の生徒も授業で気を張っていたのもあり、授業中の緊張感が嘘のように教室内が賑わっていた。


「お疲れ様です。ソフィア様」

「お疲れ様ですね、クロエ様」


 普通に男性貴族とも話せるようになって、堂々とクロエ様とも話せる回数が増えてて嬉しい。


 もちろん、クロエ様は男性の姿だ。


 クロエ様には呪いの件を話してある。不安げにされたけど私の顔色が日々良くなっていくことで安心したようだ。


「もうそろそろ長期休業ですね。実家に帰るんですか?」

「はい。帰ってのんびりしようと。あっ……クロエ様は……その……」

「帰りますよ。家族にたまに顔を見せないと心配してしまうので」


 椅子から立ち上がり、私とクロエ様は歩き出した。


 近々学園は長期休業に入る。家に帰るか帰らないかは自由だが、ほとんどの生徒は家に帰るだろう。


 歩きながらもすれ違う生徒たちの長期休業の予定を楽しげに話しているのを聞いていた。


 遠くから「きゃーーー」っという令嬢の黄色い悲鳴が聞こえ、私とクロエ様はお互いに顔を見合せて苦情した。


 その黄色い悲鳴には心当たりがあったからだ。


 令嬢達が集まっている中心にはいつもアレン様がいる。


 アレン様には婚約者は居ないからアプローチをしていく令嬢達が多い。


 その光景はいつも見てるのに、見る度にモヤッとしてしまう。


 モヤッとして、泣きそうになる。


「ソフィア様、行きましょう」

「あっ……はい」


 クロエ様はそんな私を気遣ってか、アレン様がいる反対方向に行くようにさりげなく促す。


 寮までは少し遠回りになるけど、クロエ様の優しい気遣いには感謝かな。


 …………アレン様は推しとして好きなのに、こんな感情……知りたくなかった。


「同担拒否とは、こういうのを言うんだろうな」


 ボソッと呟けばクロエ様は引きづった顔になった。


「……え、もしかして気付いてない??」

「?? 何がですか?」

「いや、気付いてないなら良いんですよ。同担拒否とはまた厄介な感情ですね」

「そうなんですよね」


 まさか、私に同担拒否という感情が芽生えてしまうとは思わなかった。


 深いため息をついていると、声をかけられた。


「ソフィア様、クロエ様。ごきげんよう」

「イリア様、ごきげんよう」


 声をかけられた方を向くと、イリア様が居た。私とクロエ様は軽く挨拶をした。


「丁度良かったですわ。ソフィア様に話したいことがあったんですの。……今、お時間宜しいですか?」

「あっ……えっと」

「では、これで失礼しますね」


 ちらりとクロエ様を見ると、クロエ様は微笑んで退散した。


「ソフィア様!!」


 クロエ様の姿が見えなくなると、イリア様が勢いよく私の両手を握って来た。


 目を輝かせて、弾んだ声で言う。


「ソフィア様のお屋敷に泊まりたいのですが、ご都合の程はいかがでしょう?」

「えっ……いや、それは」

「ご心配には及びませんわ。皇帝陛下より許可を貰ってます」

「義両親と相談してからでも良いでしょうか?」

「ええ、構いません。お返事、お待ちしております」


 とても嬉しそうにイリア様が言うので、圧倒されながらも口を開く。


 お泊まりかぁ。なんだか楽しそう。


 前世では、そんな約束をする相手はいなかったから嬉しい。


 お義父さまとお義母さまはなんて言うんだろう。……お泊まり、許可してくれると良いなぁ。













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