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大型ワームはエルフが相手にするには大きすぎるその巨体を捻らせてヒデヤスに叩き付けた。ヒデヤスは大型ワームの攻撃を防いだが大きく吹き飛ばされた。
しかしヒデヤスは吹き飛ばされながらも大型ワームを斬りつけた。大型ワームは胴体の半分ほどの大きな傷を受けて口から体液を飛ばして咆哮した。
ヒデヤスは吹き飛ばされた反動を利用してすぐに反撃した。そして先程の傷を広げるように大型ワームの胴体を切り離した。
大型ワームは二つに分割されたが片方の傷口はそのまま塞がり、残りの傷口には新しい頭部が生えた。そしてヒデヤスに襲い掛かった。
マサモリ達は解毒魔法をかけながら中型ワームと戦い続けている。体力をかなり消耗してきたが魔力を温存しているのでまだまだ戦える。中型ワームの屍の山が出来る頃には周囲は緑の血煙で覆われていた。
異変は突然起こった。一人のエルフが突然石と化した。あるエルフは体の中心から徐々に氷漬けになっていった。体内からかまいたちが吹き出し、体が風で覆われ、竜巻の柱となったエルフも居る。
シラギクが胸を押さえて苦しそうにへたり込んだ。そしてシラギクの体が炎に包まれた。
『なんだ、これ……は』
マサモリはハンマーで頭を叩かれたような激痛が走って頭を抑え込んだ。三半規管が狂って世界が歪む。まともに立っていられなくなって倒れ込んだ。毒かと思ったが原因が分からない。
思考が正常に働かない。だが一つだけ分かった事があった。みんなも同じ状態という事だ。それ以上の事は意識が揺らいで考えられなかった。
ヒデヤスも例外ではなかった。ヒデヤスは異変を察知すると魔石を取り出して真上に投げた。そして自分も他のエルフと同じように氷漬けになった。
ワーム達が急に動きを止めた。異常行動を起こすエルフ達を遠巻きに観察している。大型ワームはエルフ達が逃れないように周囲を自分の体で囲み続けている。
マサモリは痛む頭を無視して無理やり魔法を使った。マサモリを中心に水の塊が現われた。マサモリが大きく口を開けると水は生き物の様にマサモリの口に流れ込んだ。
マサモリの腹が膨れ上がり、次に全身が水膨れのように膨張した。水はなおもマサモリの体内に入り続けている。
大型ワームはとぐろ撒いてに町を完全に蓋をしている。しかし一瞬だけとぐろの上部を開放された。日の光と共に何かが町へ入って来た。それは先程、星外生物との戦いので残された殻へと一直線に向かった。
それは殻の周りに残っていた氷を一心不乱に叩き割った。そして殻に触れるとそれと殻は融合した。殻はしばらく蠢いた後に形を変えた。そして五メートル以上の人型となった。人型が片手を上げると殻が流動して巨大な斧を形作っていく。
マサモリの体が大きく膨れ上がると弾けるように魔力が放出された。そして体が普段の大きさに戻った。
『寄生生物か。急がないと不味いっ!』
マサモリが焦りながら周囲を確認すると人型の星外生物は斧を生成し終えたところだ。そのまま斧を片手に襲い掛かって来た。マサモリは咄嗟に紙剣で受けようとした。
ぞわりとマサモリの背中に悪寒が走った。マサモリは攻撃を受けるよりも受け流す事を選択した。浅く受け流すと紙剣を一旦解除して、人型の手首に巻き付けた。
そのまま手首を砕くつもりで締めあげるが、人型には通じない。すぐに人型は次の攻撃を加えてきた。マサモリは驚きながらも目を凝らして人型を観察した。
どう見ても人型は魔力を纏っている。星外生物が魔法を使っているのを初めて見た。しかも纏う強化魔法は熟練の域に達している。斧の扱いも相当上手い。
星外生物の殻は硬いが強化魔法を使ったエルフが武器を持てば破壊できる。しかしその星外生物が強化魔法で自分の殻を強化したらどうなるか。
マサモリは人型の手首を締めあげた感触を思い出した。殻の薄い場所だったのだがかなりの強度だった。人型が力を溜めて斧を振るった。マサモリは回避したがその衝撃波は大型ワームにまで届き、鱗を吹き飛ばし体に傷を付けた。
ワームは身じろぎしたがそれ以上は動かない。人型はマサモリを攻撃し続けた。マサモリは未だ燃えさかっているシラギク等を見て思い悩んだ。そんなマサモリを殺そうと人型が一際大きく振りかぶった。
振り下ろされた斧が地面を破壊して衝撃波が周りの中型ワームの死体を吹き飛ばした。斧を振り下ろした人型の腹部から突然、槍が生えた。
ヒデヤスが凍り付きながらも人型を突き刺したのだ。ヒデヤスはそのまま人型を何度も突き刺そうとしたが殻の表面に小さな穴が空いただけだった。槍には血液と思われる物が付いていたので中身が居るようだ。
大型ワームが咆哮をあげてヒデヤスに襲い掛かった。人型と大型ワームが凍ったヒデヤスに襲い掛かろうとする。マサモリは慌てて人型へと紙剣で攻撃した。人型はすぐにマサモリへ攻撃対象を戻した。
マサモリは落ちつけと自分に言い聞かせた。そして状況を整理する事にした。まずエルフ達が突然異常行動をしたのは寄生生物の攻撃を受けたからだと思われる。
樹海にも寄生生物が居るので寄生されそうになると自分の属性にあった反撃をするようにエルフ達は条件付けの訓練がされている。
寄生生物への対処は樹海では最重要事項だ。樹海の敵対生物も恐ろしいのだがエルフ自身が一番厄介なのだ。寄生生物の中では宿主を普段以上に強化できる種も居る。
エルフが一人敵対しただけでも危険度が高い。火魔法などは普段使わないようにしているがそれが破られると広範囲な破壊がもたらされてしまう。だから寄生や催眠に対する対策は全員が訓練済みなのだ。
火属性が得意なエルフは体の魔力を燃やす事で体内の寄生生物を燃やそうとする。風属性は風魔法で寄生生物を排除しようとする。火属性は小さい寄生生物に有効で、風属性は大型の寄生生物に有効だ。
水属性は凍り、土属性は石になる。この二つの属性は守りに特化している。寄生生物が温度の低下に弱い場合には排除出来る時もあるがほとんど守り一辺倒である。その分、生存率が高いのが特徴だ。




