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絶対鎖国国家エルフの森  作者: 及川 正樹
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 ボタンが超大陸のエルフ達の実情を知ったのは忍者エルフになってからだった。正式に忍者エルフになった事で多くの情報が開示された。


 ボタンは成績も良かったし両親も忍者エルフだったので特に迷う事なく忍者エルフになった。そして一般のエルフに隠されていた様々な情報を知った。ボタンは初めて自分の中に沸き上がった使命感に震えた。


 ほとんど普通のエルフと同じように育てられたボタンであったが樹海のエルフ達を守りたいと強く願うようになった。そしてドワーフを宿敵だと決めた。


 エルフの森の人々は平和すぎる。超大陸の人に見つかったら力はあってもすぐに狩り尽くされてしまいそうな予感がする。だがだからこそ守る価値があるのだ。



 ボタンがダンジロウと知り合ったのは忍びの仕事をしながら草の訓練をしている時だった。超大陸へ行ったらお金は全て自分で稼がなければならない。


 金目的の盗みや強盗をすると要らぬ注目を浴びてしまう可能性がある。忍びの仕事をしながら内職をしている時に同じく内職をしていたダンジロウと出会った。


 初めてダンジロウを見た時、ボタンは泥だらけのじゃがいものような男だと思った。話しを聞いてみると予想通りの答えが返って来た。人物鑑定も忍者には必要なのである。


 ダンジロウは丁度同じ長屋に住んでいて内職もしていた。地域に馴染む為の訓練でもあるのでボタンは積極的に同じ長屋の住民と交流を持っていた。


 初めは内職の仕事も上手く行かなかったダンジロウだったがボタンが教えると少しずつましになった。ボタンは口数は少ないが何かと容量が良かったので忍びの仕事をしながらも周りに怪しまれない程度に内職をして地域に馴染んだ。


 ダンジロウは生活に慣れると次第に討伐の仕事を増やしていった。同じ長屋にいるので時折見かけてお互いに挨拶する。ボタンはダンジロウが次第に東京村に馴染んで一端の浪人になっていくのを見ていた。


 突然、ダンジロウに変化が訪れた。特に見た目が変わった訳ではないが雰囲気と体から発せられる魔力が変化した。ボタンは気になってダンジロウの現状を調べた。


 そして浪人衆の頭もどきになったのを知った。ボタンは少し驚いた。ダンジロウは上に立つ人間ではないと思っていたからだ。武人としては強くなるかもしれないとは思っていたがこうなるとは予想外だ。


 しかも評判も良い。ボタンは自分の予想が外れて少しの悔しさと大きな賞賛の念を覚えた。ボタンが思っている以上にダンジロウは大した人物なのかもしれない。他意はないが、ボタンのダンジロウ観察は未だ続いている。




「超大陸へ行くなら是非私を連れて行ってください。一般のエルフは超大陸の人に関する知識不足から彼らを甘く見ています。エルフ達の平穏の為には私が戦わなければならないのです!」


 ボタンの発言にマサモリは覚悟が決め切れていない自分が情けなく思った。だがボタンの目はドワーフを殺す話しをしている時の目と一緒だったのでただドワーフを狩りたいだけだと分かった。


「私は普通の人から見たら異常に見えるかもしれません。でもいいのです。我々がドワーフを絶滅させる事で救われる者がいるのですから」




 マサモリ達は大量の物資を伴って静岡村に転移した。そしてサビマルの指示通りの値段で物資を売り払った。特に魔鉄をはじめとする鉱石が高く売れたようでマサモリは満面の笑みを浮かべた。


 出島村近郊はプレートが動くといっても千年単位で放棄されていたので資源が豊富だ。お陰で初期投資分は回収できつつある。



 一度放棄された村なので要石さえあれば再建が容易だったのが大きい。地面を整備する事から始めていたら莫大な費用がかかっていたはずだ。


 初期の費用は人件費が大部分を占めている。それでも少数精鋭だったので素早く費用が回収できそうだ。村自体も小さいし人も少ないので運営が楽なのも良い。


 一年分の給料と契約金が武者エルフや忍者エルフに支払われている。かなり高額だった。武者エルフ達はその資金の大半を使って装備を整えた。


 本来ならお金を稼ぎなら数年以上かけて装備を整えていくので浪人にとっては破格の報酬だったはずだ。忍者エルフも忍者エルフなりに武器や道具にお金がかかる。


 消耗品は申請すれば村から資金が出る。しかし装備の質が上がれば簡単に値段の桁が増えていく。現在は食費も居住費も全部村持ちなので僻地にあるという事を除けばかなり良い待遇となっている。


 その僻地というのが最大の問題点ではあるのだがみんなあまり気にしていないのでマサモリは内心ほっとしている。それに回収した資源の売上の数パーセントが村人にも還元される。


 マサモリもシラギクもほとんど使ってないが口座にはお金が溜まってきている。お金の事なんてさっぱり考えていなかったマサモリだが増える貯金も見るとついつい頬が緩んでしまう。逆に金額が大きすぎて現実感が薄いのだ。



 鉱石類は特にエルフの森全体では減少傾向にある。同じ場所で数千年以上生活しているので地下資源の枯渇はとっくの昔の話しだ。資源を求めて樹海に行くがプレートが移動しているので当たり外れが大きい。そうなると普通の労働者は口入屋で安定して稼ぐのが一般的となっている。


 マサモリは自分が稼げて嬉しいのと同時に一緒に来てくれた武者エルフや忍者エルフがお金をしっかり稼げそうで胸を撫で下ろしている。他の村からの援助はあったが援助頼りにはなりたくなかった。


 マサモリだっていつまで村長やれるか分からないがなったからにはダンジロウ達が貧乏くじを引いたと周りから思われて欲しくなかった。


 実は博士が参加してくれたのは個人的には面倒事だと思っていたが村長的に考えるととてもありがたい事だった。もちろん、そんな態度は一切出さない。あんまり博士を褒め過ぎて暴走されては困る。そんな事しなくても勝手に暴走するだろう。


 お金に関しては人数が少ないので壁畑の配置が済んだらなんとか維持費位は回収できるだろうと思っていた。出島村の壁畑は稼働率が半分にも満たない。


 お金が厳しいようなら急いで壁畑を設置していただろうがお金に余裕があると心にも余裕が生まれる。ありがたい限りだとマサモリは思った。


 今回の出島村の成功から資源回収の為の遠征が流行るかもしれない。エルフの森の西側は大陸棚の面積が圧倒的に広い。逆に東は樹海深が深いので普段の探索でも敬遠されている。


 南は不動プレートが少々あり、その周辺が大陸棚だ。それ以外は樹海深が深くなっている。資源不足の今だからこそ資源回収の遠征隊を出すべきなのかもしれない。


 マサモリはそう考えたが即座に打ち消した。輸送が一番の問題になる。出島村は村まで運べば転送陣で飛ばせるが遠征隊だと持ち運べる量に限りがある。いや、よく考えてみると強化魔法をしっかりすれば可能だと思い直した。


 優れた人員だけで統一すれば食料は米だけ持って後は現地調達でいい。そうすれば結構いけるかもしれない。問題は金目になる鉱石や魔石等が見つけられるかどうかだ。


 沖縄村の南にはチムニーがあるのでそういう場所なら見つけられる確率が上がるかもしれない。お金に余裕があるとそんな事を考えてしまうから危険だ。マサモリはお金に飲み込まれないように気を引き締めようと思った。


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