表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
絶対鎖国国家エルフの森  作者: 及川 正樹
211/211

211

新作はほぼ完成したんですが、色々と思う所があって現在大幅な書き直しをしています

完成はもう少し先になりそうです


 マサモリ達がズァザン率いる亜人騎兵隊が目指している町へ到着した。そしてすぐさま制圧した。町には星外生物に寄生されていた者が数人いた。町の規模の割には数が少なくて逆に不安になるくらいだ。


 制圧が終わるとマサモリは別行動をとっている犬達と視覚を共有した。使い魔の犬達が空からは捜索の難しい森や山を中心に駆け回っている。問題なのは盗賊の多さだ。盗賊が多すぎて星外生物に寄生されている人の捜索が難しい。


 盗賊を見つける度に犬達は大きく迂回した。使い魔の犬は戦えない事は無いが、捜索に集中させたい。盗賊の中に寄生された人が居る場合、犬達は全滅してしまう。捨て駒にするつもりはないので犬達には盗賊の居場所だけを探させて、後は忍者エルフが盗賊を狩りに行かなければならない。


 絶え間なく動き続ける盗賊達を討伐するのは、非常に面倒な作業になる。町を攻め落とす方が楽な作業だ。二回目ともなると町の制圧も手慣れたもので、すぐに物資の補給に移った。ついでにいつの間にか補充されたハーフエルフを救出し、入れ替える。


 町には奴隷にされているエルフは居なかった。助けてもエルフの多くはカメリアに馴染まない。戦いの歴史が長かったせいで誰も信用できなくなってしまったようだ。超大陸のエルフの歩んできた歴史を考えると仕方が無いとマサモリも思う。


 その点、ハーフエルフは素直に救出を喜んでくれるので非常に助かる。今ではカメリアはハーフエルフの為の町と言っても過言ではない。ラギドレットでは大勢のエルフ達を秘密裏に救出している。忍者エルフ達が八面六臂の活躍をしている。



 マサモリはズァザンに関して少し心配している。態度を改めないようなら殺さなければならない。大勢の人を服従させるにはそれが一番効率が良いからだ。せめて反省した振りをしていてくれれば、見逃す事も出来る。反省した振りをしていてくれとマサモリは願った。



 ズァザン達亜人騎兵隊が制圧した町におっかなびっくり入ってきた。この時になってトマスケス率いる騎兵隊は合流する時もスマートだったなとマサモリは思い出した。トマスケスはマサモリ達が少数で町を落としたのを疑いもしていない素振りだった。


 反面、ズァザンの騎兵隊は緊張感を滲ませている。伏兵や奇襲、本当に町を制圧しているのかを信じ切れていないようだ。マサモリは広場で仁王立ちになってズァザン達を迎え入れた。



「遅くなってすいません! 次はもっと急ぎます!」


 マサモリが話す前にすっかり牙の抜けたズァザンが騎獣から飛び降りてマサモリの前にひざまずいた。目には納得と強い王を戴く喜びが光り輝いてる。


「予定通りだ。無理をする必要はない。騎獣の疲労に注意せよ」

「はっ!」


「よし、町の危険分子の確認だ。着いてこい」

「はい!」


 力を見せた事でズァザンはマサモリに心酔したようだ。ズァザンが反抗しなくて安心するマサモリであったが、ズァザンの態度が一変しすぎて気味悪く感じた。従順になったズァザンの助けもあって、現地の危険分子の排除はすぐに終わった。


 マサモリ達が次の目標の町へ向かうとズァザンは目を輝かせてマサモリ達を見送った。態度が一転しすぎてズァザンと次に会うのが億劫になるマサモリであった。そこらへんは年長者のトマスケスの方が程良い距離感と緊張感を保っている。


 その日、マサモリ達は四つの町を落とした。シラギクは南下した魔人軍に同行し、二つの町を落とした。



 初日で分かったのは寄生した星外生物同士は情報の伝達速度が人並程度かもしれないという点だ。使い魔にした犬や鳥がラギドレット地方の様々な場所を監視している。しかし大きな動きはなかった。


 盗賊団は多く存在したが、討伐すると寄生された者はほとんどいなかった。行く町々で寄生された者達が見つかった。しかしどの個体も結界に閉じ込められて簡単に排除できた。それらが囮でない限り、星外生物の間に未知の情報伝達手段はないようだ。


 マサモリはその報告を聞いて一安心した。そして油断しないように気を引き締めて討伐に当たろうと決意した。星外生物の排除の目途が立つと同時に超大陸西部地域の星外生物の排除が終わった後、どうするかという問題に目を向けなければならなくなった。


 エルフの森から送られている忍者エルフは元々少ない。町の結界を奪って星外生物だけを排除するのは少人数では非常に難しい。超大陸の残りの地域で今回マサモリがやった様に星外生物を駆除するには人手が足りなすぎる。


 サーモ役を変身させたゴーレムに任せて、マサモリ達が超大陸中の星外生物を狩らなければならないかもしれない。そうなるとその行為に整合性を持たせる為には征服してしまった方が楽だ。善意の第三者が町に潜む星外生物を殺し、終わったら何もせずに町を出ていく。そんな事は超大陸では絶対に起こらない。そんな事をしたら無意味に目立つだけだ。




 遠征に出て二日目の朝になった。マサモリは町で収集した魔石から魔力を吸い取っている。ラギドレット城での戦いでは魔力を使い過ぎた。超大陸では樹海に比べると魔力の回復量が微々たるものになっている。足りない魔力を魔石で補う。


 魔石を湯水の如く使うので普段は絶対にやらないが、今は非常事態である。この方法は町が近くにあるから可能な方法だ。もし超大陸の周りに何もない僻地でこれをやったらすぐに魔力が尽きてしまう。


 町を制圧する度に樹海に戻り、時間をかけて魔力を回復していたら星外生物は逃げてしまうだろう。樹海での生活に慣れてしまったが故に超大陸という環境に樹海のエルフは適さなくなってしまった。



 突然、マサモリの使い魔との繋がりが消えた。そして共有していた視界が一瞬で途切れた。一瞬の事で何が起こったのかマサモリは全く捉えられなかった。使い魔の犬達がほぼ同時に消えたのを理解したマサモリは上空を飛ぶ鳥の目で犬達が居た場所を注視した。


 腕から星外生物を生やした人間が、その巨大化した腕に犬達全てを丸飲みにしている。そしてそれを見ている使い魔の鳥もすぐに補足されて、巨大な腕から弾かれたように何かが放たれた。マサモリは避けろと命令したが、鳥の性能では回避しきれない。


 鳥が飛来物に当たると、一瞬で使い魔とマサモリの繋がりが消えた。普通だったら死ぬ間際まで鳥の視界を共有できる。しかし星外生物の攻撃は使い魔との繋がりまで一瞬で断ち切った。放たれた物は星外生物自身だったのかもしれない。殺されたというよりも、取り込む、吸収する行為だったようだ。


 星外生物を排除する時には絶対に結界で囲わなければならないなとマサモリは再認識した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ