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絶対鎖国国家エルフの森  作者: 及川 正樹
208/211

208

遅くなってすいません

新作の進行度は八割って所です

書き始めると色々と膨らんできて、まとめるのが大変です

もうしばらくお待ちください


 マサモリは集中して結界内の捜査した。念には念を入れて何度も調べたが星外生物に寄生された者は居なかった。マサモリは安堵の溜息をついた。残りの魔人軍の兵士も全員調べなくてはならない。


 しかし目の前の魔人軍に星外生物が紛れ込んでいない事を確認出来たのは大きい。忍者エルフが星外生物に寄生されたら世界は破滅する。星外生物間の連絡手段が容易だった場合は情報の流出を留めるのは難しい。今までの傾向から難しいと判断しているのだが油断は出来ない。



 マサモリはラギドレットの上空に浮かび上がって眼下を見下ろした。そしてラギドレットの上空に巨大化させた自分の映像を映した。


「俺が魔人王サーモだ。超大陸は隕石によって宇宙から飛来した星外生物によって侵略されている。俺は星外生物を排除すべく超大陸西部地域を支配する。魔物人は敵に非ず。本当の敵は今お前達が目にしたものだ。力を欲する者は魔物人化させてやろう。魔物人化を望まぬ者には強要しない。星外生物の情報には報奨金を出す。逆に星外生物に与する者は一切の慈悲なく皆殺しにする」


 魔人軍は人に寄生した星外生物を見ていない。マサモリは忍者エルフが録音した映像を空中に映し出した。魔人軍は驚き、ざわついた。


 後々の事を考えると全ての人を魔物人化させるべきかもしれない。しかし現状は人に寄生している星外生物の排除の方が優先だ。魔物人にするか、しないかの問題はそれに比べると些細なものだ。マサモリはラギドレット城へ向かいながらも如何に素早く他の都市を攻めるかについて考えた。



 マサモリが玉座の間に辿り着くとラグドレっトの王族が隅に集められている。忍者エルフとシラギクはマサモリが現れると姿勢を正した。マサモリはゆっくりと王座へ向かい、どっしりと腰掛けた。


「魔人王サーモ様、万歳!」

「万歳!」


 マサモリは頬杖をついてしばらくその様子を眺めていた。マサモリが軽く片手を上げると忍者エルフ達は一斉に静まった。


「元ラギドレット王よ。配下になるならそれなりの待遇を約束しよう。断るなら立ち去れ」


 マサモリはラギドレット王を初めてまともに観察した。白髪交じりの老年にさしかかった男だがその体は生命力に満ち溢れている。実力も超大陸では一流だ。しかしその顔は隠し切れない恐怖で染まっている。強いが故に勝ち目の無い事を理解できているようだ。


「……配下に加えていただきたい」

「よし、お前は今日からラギドレット城主とする。お前の役割は税の回収と魔人軍への軍事物資の供与だ。お前を殺さなくて済んで嬉しいよ」


「はっ、サーモ様。何なりと申し付けください」

「先程言った通り、星外生物の排除を優先する。動かせる部隊と物資を至急報告しろ。今日一日は休息に当てる。城内に魔人軍を招き入れて食事を与えろ。泊まる宿舎も用意しろ」

「はっ、お任せください」


 ラギドレット城主は真剣な表情で部下を呼び寄せた。逃げた者も居るが残っている者の方が多い。人望はあるようだ。そもそも逃げる暇などなかったという面もある。城主の真剣な表情と裏腹に安堵の気配が窺われる。


 普通だったら殺される立場だったのでその反応は当然だ。しかし城主が無能ならすぐに殺すつもりだ。無能はいらない。今のところは悪くない反応だ。マサモリは忍者エルフに魔人軍への伝言を伝えると玉座で思索にふけった。


 このまま滞りなく進むなら明日にも他の町へ進軍する。ラギドレット城でマサモリの実力を見せてしまったので、もう隠す気は失せた。エルフの森的には力を示し過ぎて駄目なのだ。しかし星外生物が居た事でギリギリセーフの範疇に収まった。ような気がする。


 町の結界石の操作権を奪って町に潜む星外生物を皆殺しにする。出来るだけ迅速に行いたい。ラギドレット城に元ラギドレット軍を残したままにしておくとマサモリ達が他の町へ向かった時に反乱を起こすのは確実だ。


 それだと手間なのでラギドレット城から兵を減らしつつも最低限の防備は残す。その割合を今日来たばかりのマサモリが分かる訳ないのでラギドレット城主に聞いてみた。


「他の町が兵を集めている様子はないので八割方で払っても大丈夫でしょう」

「分かった」


 部隊や物資の報告と共に会議が開かれた。マサモリは答弁の度に城主を観察する。今のところはまだ反旗を翻す様子ではないようだ。自分が試されている事を城主も分かっている。今の所は有能で従順のようだ。


「結界石と魔石の備蓄はどれくらいある? 最低限の必要数を残して俺達が徴収する。それと飼い主の決まっていない大型犬や狼系のペットを集めろ。足が遅いものや小さすぎるものは除け」

「はい」


「全ての地域を支配したとして不足分の食料はどれくらいになる?」

「っ! わ、分かりません。主要な町は農村部から食料を集めています。今年は既に町でも食料難に陥っているようです。そうなると農村部は確実に食料不足かと」


「ふむ。地方の有力な者や町と町の関係性。その他、必要だと思われる情報を全て話せ」

「勿論です」


 会議は夜遅くまで続いた。




 翌朝になるとマサモリ達と忍者エルフは一堂に集まった。昨日の内に集められた犬や狼を使い魔にする為だ。一人につき五匹の犬を使い魔にして、魔石を付けた首輪を犬にかける。五匹の犬を一つの群れとして星外生物の探索させる。


 距離が離れすぎると視覚共有するのが難しくなるので魔石を持たせて補助させるのだ。ついでに強化魔法を魔石に籠めておけば優秀な探索部隊が完成する。問題は犬が人に寄生した星外生物を見つけられるかにある。


 エルフの森では星外生物をほぼ駆除してしまったので犬による探索などは確認できていない。犬は嗅覚が優れているのでとりあえずやってみるという側面が大きい。マサモリ達は各々が犬に人に寄生した星外生物の匂いを覚えさせた。失敗したら盗賊を見つける為に使えば良い。


 ただの偵察要員でも十分な価値がある。鳥が使い辛い森や山、悪天候での探索に使える。使う場所を選べば有効に利用できる。犬は嗅覚や走破性に優れている。犬よりも嗅覚に優れている動物は居るが一番使いやすいのは犬だ。


 野生の動物や魔物を従える場合は調教が大変だ。しかし犬は知能も高いし、人によく慣れる。流石は人類の友と呼ばれる存在である。何より無茶な要求をしなければ裏切らないのが良い。簡単に裏切らないだなんて最高のパートナーである。


 本来は時間をかけて信頼関係を結びたいのだがあいにく時間がない。マサモリ達は使い魔にした犬を放った。魔石による強化魔法で五感と身体能力が向上しているので並の魔物では太刀打ち出来ない。超大陸の人にとっては訓練された猟犬のようなものだ。


 今回の試みは実験的なものだ。しかし科学や魔法的に証明できなくても実際にやってみると成功する事がある。頭でっかちになりすぎると学術的に考えすぎて失敗する。頭の良すぎる人が失敗するパターンだ。


 だからなんでも色々と試してみるのが一番だ。特にマサモリは失敗を恐れていないし、若い故に好奇心がある。使えるものはなんでも使し、試せるものはなんでも試す。マサモリはそう思っている。


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