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絶対鎖国国家エルフの森  作者: 及川 正樹
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 シラギクが倒れ込んだのを見たマサモリは魔法で空中に足場を作り出した。そして燃えさかるフォレストの足元へと舞い戻った。フォレストの足は既に地面にめり込んでいる。マサモリは強化魔法を強めて地面に深く潜ると今なお沈み込んでいるフォレストの足を地中から掘り返すように蹴り上げた。


 フォレストの足が大きく弾かれてフォレストの巨体が揺らいだ。マサモリは自分の足が燃えるのもいとまず、同じように燃えているシラギクを掴んでその場を離れた。そしてシラギクを結界で囲って回復魔法をかけた。


『シラギク、ゆっくりと息を吸うんだ。フォレストと周囲の森林の炎上で酸素濃度が一気に下がった。不調の原因は酸素濃度不足だ。肺を回復したから、ゆっくりと呼吸するんだ』


 マサモリは念話で話しながらも火が燃え移った足に水魔法をかけた。炎は消えたがそんなマサモリに向かってフォレストの踏みつけが襲い掛かった。マサモリはシラギクを抱えたままフォレストの懐へと向かった。


『完全に油断してたよー。仕返しだ!』


 シラギクはすぐに復帰した。そしてドワーフの巨大な棍棒を振りかぶってフォレストの足へ叩き付けた。しかし棍棒はフォレストの足に当たると滑るように弾かれた。フォレストがシラギクを追い払う様に足を動かした。シラギクは易々と回避した。


『あれれ? この弾かれるような感覚は耐性だ。物理耐性があるのかな? さっきマサモリは蹴っていたような……?』

『蹴りは普段通り有効だったよ』

『それなら武器? それとも材質? 棍棒だから? 女だから? どんな条件だろう?』


 シラギクは迫りくるフォレストの踏みつけを避けて逆に蹴り返した。フォレストの巨大な足が軽々と動かされる。


『あれ? 体術は大丈夫だ。となると武器か。モブ美! 武器交換!』

『ははー!』


 シラギクは持っていた棍棒を空中へ向かって投げた。モブ美はそれをキャッチして巨大な斧をシラギクに向かって投げた。シラギクは投げられた斧を掴むとその勢いのまま体を回転させてフォレストへ斬りつけた。しかし斧による攻撃も再び斥力の様な力によって弾き返された。


『武器か、材質か、だね』


 マサモリは燃えさかる木から枝を掴み取って強化した後にフォレストへ斬りつけた。木の枝による切り払いは半分成功した。木の枝の部分はフォレストへ届いたのだが木の枝が纏っていた炎はフォレストによって弾き返された。木の枝が灰となって崩れ落ちた。


『武器は大丈夫みたいだ。鉄や鉱物を使った武器が駄目なのかもしれない。同様に火も弾くようだ』

『伝承個体に進化したのかな?』


『そのようですね。フェニックスに取り込まれる前は火が有効でした。どんな伝承個体だかは今の所不明ですので気を付けて戦ってください。私達は少し離れた場所で監視しています』

『了解』


 マサモリはフォレストから少し距離を取って六属性の魔法弾を放った。火は弾かれたが他の属性攻撃は通った。水は特に有効だった。


『火は反射される。水が有効。他の属性は並』

『分かったー』


『フォレストを倒す為に木に効く毒を用意していたんだけど、どうしよう。燃えていると効き辛いかもしれない。毒が燃えて気化したらそれはそれで危険だ。よっし、止めておこう。一先ず俺は遠距離から魔法で援護するよ』

『よろしくー』


 シラギクは拳を握りしめて両手の手の拳を力強く擦り合せた。そして一直線にフォレストの足へと向かった。フォレストが巨大すぎてマサモリ達ではフォレストの足を攻撃するので精一杯だ。地に足を付いて戦いにくいので重量術が上手く利用できない。


 シラギクがフォレストの燃えさかる巨大な足を殴るとフォレストは体勢を崩した。マサモリは力を入れ過ぎじゃないかと冷や冷やしながら見ている。マサモリはフォレストを囲むように氷の柱をゆっくりと放った。水魔法だとすぐに気化してしまい視界の妨げになる。


 燃える木々が氷の柱を壊そうと殺到する。しかし氷の柱は巨大で木々が纏わりついてもびくともしなかった。マサモリは木々に追われているが余裕を持って躱している。シラギクと違ってフォレストが近くに居ないので避けるスペースはいくらでもある。マサモリは木々を足場にしながら着々と氷の柱を増やしていった。


 シラギクとフォレストは互いに決定打が無いまま戦い続けている。シラギクは攻撃力が足りず、フォレストは攻撃がシラギクに当たらない。するとフェレストは攻撃対象を変えた。フォレストはシラギクを狙わずに地面を強く踏み込んだ。フォレストの足が大地にめり込んで衝撃が走った。


 大地が揺れてシラギクの体勢が崩れた。しかしすぐに魔法で不格好な足場を作り出した。フォレストがもう一度踏み込むと足元から蛇の様なツタがシラギク目掛けて飛び出した。シラギクは避けたが際限なくツタが生えて辺り一面が燃えるツタで覆われた。


ツタはシラギクを追い続けるがシラギクは避けながらフォレストに蹴りかかった。フォレストの足にシラギクの蹴りが突き刺さった。するとフォレストの足の表面からもツタが生えてシラギクを捕らえた。フォレストは捕らえたシラギクに向かって巨大な火球を放った。自分の足に火球を放つ行為だがフェニックスはフォレストの体が損傷する事を厭わない。


 シラギクはツタを払いのけて足を引き抜いた。しかし火球を避ける余裕はなかった。火球の直撃を受けたシラギクは火達磨になりながら吹き飛ばされた。フォレストは止めとばかりにシラギクを丸飲みした。マサモリは氷を放つを止め、焦ってフォレストの巨大な頭に体当たりした。


 フォレストの首が大きく曲がり、フォレストは衝撃でシラギクを吐き出した。シラギクは緑色の粘液に包まれながらもなんとか受け身を取った。フォレストが口を大きく開いて魔力を練った。炎が集まり収束するとラスターが放った光線のようなブレスがマサモリ達を襲った。シラギクは一瞬だけ結界装甲を纏い、マサモリは結界を張った。


 シラギクは結界装甲を纏ったのと火属性タイプだったでほとんどダメージは受けなかった。マサモリは水属性で火属性に有利なのだが結界は破られ、体中が燃え上がるようなブレスを浴びた。マサモリはブレスの衝撃と熱波で地中深くまで沈み込んだ。フォレストはマサモリへ追撃しようと足を高く持ち上げたがシラギクの攻撃によって阻まれた。


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