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絶対鎖国国家エルフの森  作者: 及川 正樹
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 マサモリはサビマルに相談を持ち掛けた。


「色々相談があるんだけどいいかな?」

「良いぞ。我が答えてやろう」


「まず、相談の前に出島村の運営は大丈夫かな?」

「ああ、問題ない。現在は壁畑を増やしている最中だ。周辺での採取は量を調整しながらやっているから少し収獲が減っているな」


「問題が発生したらすぐに教えてね。本来は超大陸より出島村の運営に力を入れなくちゃならないからね」

「元々出島村は村長抜きでもまわせるように考えられた村だ。気にする事はない。マサモリは好きに動いて構わない。長老族は何かと責任がある家系だ。若い内にやりたい事はやっておけ。それに超大陸なら失敗してもエルフの森には痛くも痒くもない。盛大に失敗してこい」


「分かった」

「うむ」


「それじゃあ、相談なんだけどさ。超大陸にエルフとハーフエルフの為の町を作ったんだけどナツメは連れて行った方が良いかな?」

「今は止めておけ」


「まだ時期尚早か。となると相談するのも今は止めておこう。次はシュドラ細胞についてだ。俺がシュドラ細胞を使っても大丈夫かな? 用心するなら超大陸へは持って行かない方が安全だと思うんだけど」

「特に問題はないようだな。超大陸の連中じゃ、まだ理解できないだろう」


「勢いで魔人王になっちゃったけどこれは良かったのかな? 悪かったのかな?」

「エルフの森との関係のみを考えれば特に影響はないようだ。超大陸での影響は選択肢によって異なる程度か」


「エルフの森に悪影響を与えないなら大丈夫か」

「そうだな。好きにやればいい」


「でも超大陸が全滅するのはエルフにとって悪影響を及ぼすんだよね?」

「ああ、我も詳しくは理解できないが超大陸の滅亡は防ぐべきだ」


「そうかー。それが無ければ簡単な話しなんだけどなあ。ドワーフは滅ぼすべきか?」

「エルフ視点、ジェルセ視点では殺すべきだ。奴らは本質は破壊者だ。超大陸視点では世界の発展を推し進める原動力になるが、ボタンの言は正しい。滅ぼせ」

「なるほど。サビマルが言うなら信じる」


「うむ、マサモリの利点は素直な所だ。頭の固まりきった年寄共では我の忠言も意味をなさん」

「シラギクが超大陸に来たいって言ってきたらどうすべきかな?」


「超大陸の危険性を排除できるなら誰でも同じだ。個人としては自由にさせればいい。俺は頭の固い連中とは違って、あれはやるな、これはやるなだなんて事は言わん。成功しても本人にとって悪影響を及ぼす事もある。失敗しても本人にとって良い影響を及ぼす事もある。小さく縮こまっているよりは大きく動いて失敗しろ」


「と言う事でー、次は私も超大陸に行きまーす!」

「うわっ! シラギク居たのか?」


「くっくっく、油断したな。マサモリ君。ナツメちゃんはちょっと心配だけど私も超大陸に行きたいから行くよ!」

「うーん、分かった。嫌になったらすぐに帰ってきていいよ」

「はいはいっと」


「まだ聞きたい事がある。ハーフエルフは町に凄く協力的なんだ。でもエルフはまだ一人目だけど復讐するって言って町を飛び出そうとする。これからエルフの数が増えてもみんなが非協力的だったらどうしよう。エルフがやりたいようにやらせるってのも手だとは思う。でも好きにさせたら外に出たがるだろうし、そうしたらまた捕まると思う。捕まったらまた助けるのかな? 可能か不可能で言ったら可能だけどそれ以上は繰り返しになっちゃうよね」


「マサモリ。お前は立場も実力もそれなりにあって、超大陸だったら好きなように振舞える。しかし一人の人間には出来る事と出来ない事がある。これは一般論だが、出ていく者は殺した方が賢明だ。裏切り者が出た場合のリスクが高すぎる。守れるものだけ守れ」


「うーん、殺すのは可哀想だから記憶を消して外に逃がす事にするよ。せっかく平和な生活を得られるチャンスなのにそれを捨てるなんて勿体ないと思うよ」

「人には人なりの矜持がある。客観的な善意が本人に受け入れられるとは限らない。逆に逆恨みする者もいる。マサモリに着いてくる者だけを大事にすれば良い」


「分かった! サビマル、ありがとう!」

「なんか難しい話しになってきてるし、私は退散する! マサモリ、超大陸に行く時はちゃんと言ってね!」


 シラギクは言いたい事だけ言ってすぐに立ち去った。マサモリはその後もサビマルに相談を続けた。




「えーっ! やっぱりあたしを捨てるんですかぁ! ううええええええん」

「大丈夫だよ。出島村の警備隊長のダンジロウにナツメちゃんがいじめられたら助けてもらう様に話しておいたから」


「拙者に任せておけ! この村ではナツメをいじめるような輩は居ないぞ! もし、いじめられていたら拙者が成敗してしんぜよう」

「ひぃぃぃ、兵隊様は怖いです。町では貴族様と兵隊様に逆らったらぶっ殺されるです。ひえひえー」


「殿からもナツメを保護するように言われているから安心せい」

「殿? マサモリですか? やっぱりマサモリは偉いじゃないですか! 本当ですか、いじめないですか?」


「ああ、大丈夫だ。もし拙者に話せない様な話なら女忍者エルフに話せば良い」

「わ、分かったです。一生懸命働くからいじめないで欲しいです」


「シラギク殿からはナツメの鍛錬も任されている。拙者達と一緒に鍛えればナツメは今よりもっと強くなれるぞ」

「あたしは強くなるです! ここに来てから魔法も使えるようになったし、ご飯も美味しいし最高です。マサモリとシラギクが帰ってくる頃には強くなって一緒に悪い奴らをやっつけるです!」


「その意気だ! ナツメには武者の魂が宿っているな」

「はいです! 強くなるです」

「よしっ、ならば鍛錬だ。ハク、拙者はシラギクと少し話しているからナツメを案内してくれ」


 ダンジロウの肩にあった白い毛玉がふわりと飛んだ。白雀のハクがナツメの周りをゆっくりと飛ぶとナツメは、はしゃいだ。


「鳥さんです! 可愛いです!」


 ハクがナツメを先導しながらゆっくりと訓練場へと向かった。ナツメはハクを追いつつも左右に回り込んでハクの飛ぶ姿を鑑賞した。


「ナツメちゃんは感覚タイプだから口で言うよりも見せたり実戦させて。後、ちょっと臆病だからあんまり怖く事はしないでね」

「承った。殿とシラギクが居ない間は拙者に任せておけ」

「うん、よろしくねー」


 ハクを無邪気に追うナツメを見ながら二人は頷き合った。




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