三話
「さてと、まずは窓拭きから終わらせていきますか……」
たまはアルコールとタオルを持つと入り口の窓にアルコールを吹きかけて、窓を拭いていく。
こういった朝の仕事はいくつかある。
まずは窓拭き。これはお客さんが来たときにドアに手が触れると、どうしても指紋がついたり、跡になってしまったりするため、それを拭き取り、常に綺麗な状態を保つためにする仕事である。
次にレジや備品などの清掃。
レジでは色々な対応をするため、汚れが付きやすいため、洗剤を使って汚れを落としていく。
揚げ物の什器などは油やタレなどがつくため、こまめに掃除しないと汚れが取れなくなってしまう。
それが終わると、トイレの点検。
コンビニのトイレは様々な人が使う。
トイレがきれいなコンビニは繁盛すると言われているぐらいだ。
他にもいろいろと朝の仕事はたくさんあるがこれらをレジ対応と同時に済ませていく。
「黒田さん!! レジお願いします」
「はーい!! すぐ行きます!!」
山本からレジに入るよう声がかかる。
「大変お待たせしました。 お次でお待ちのお客様、こちらへどうぞ」
お客をレジに呼び、お客からカゴを受け取り、商品を通していく。
商品によっては温めも必要なため、順次お客に聞いていく。
「ではこちら3点で481円です。 ポイントカードはよろしかったですか?」
「ポイントカードは持ってないです」
「失礼しました、それではこちら1000円、お預かりします……ではこちら519円お返しです。お待たせいたしました。またお越しくださいませ」
声はしっかりハキハキと喋る、丁寧に接客をする。これはとても大切なことである。
「とりあえずは朝の仕事は済ませたから、あとは8時ぐらいから揚げ物を作ると」
「黒田さん、朝の仕事終わった?」
「一応終わりましたよ。 あとは揚げ物を作るぐらいですかね」
「了解、それならちょっとレジに立っててくれるかな、レジ点終わらせるから」
「了解です」
「それじゃあ何かあったらレジのボタンをしてね、すぐ行くから」
「はーい」
山本はそういってバックの中に入っていった。
そのすぐ後に学生らしきお客がお店の中に入ってくる。
「あの〜すいません」
「どうしました?」
「ちょっと聞きたいことがあるんですけど……今日から始まるはずのくろたまっていう動画配信者とのコラボ商品ってありますか? トートバッグを受け取りに来たんですけど」
「トートバッグですね、ちょっとお待ちしててください。」
たまはそういうとバックの中にあるトートバッグが置かれているカゴから一つ取り出すと、すぐさまレジに戻る。
「こちらでお間違い無いですか?」
「はい!! 大丈夫です。 これが引換券です」
「ありがとうございます、袋にお入れしますか?」
「いえ、このまま使うので大丈夫です。 ありがとうございました。」
「ありがとうございます。 またお越しくださいませ」
学生のお客はそのまま荷物を持つとお店のそとに出ていった。
たまはお客を見送るとバックの中に戻り、飲み物を口にする。
「早速、取りに来たお客さんがいたね、本人からすると嬉しい?」
「そうですねぇ、嬉しいとは思いますけど、自然と私、本人ですよ〜って言いたくなりますねw」
「ああ、正体隠してるんだっけ?」
「隠してるわけでは無いですけど、流れ的にそうなった感じです。 なぜかウェキさんでも身長も本来の私よりも15cmも高くなってますからね。 あの説明が本当ならどれほど良かったか……って本人が一番無いものねだりしてますよ」
「そうなんだ、いつかは話すの?」
「ですかねぇ、今のままだと騙してるって感じがしてなんだかな〜って、最初は人気も出るはずがないって放置してたんですけど、なぜか人気になっちゃいましたからねぇ」
「確かに……でもそれって言ってしまえば、本業になるぐらいは、まぁ稼いでるんでしょ? アルバイトしてて問題ないの?」
「ああ、そこですか……本来であれば、やめるべきなんでしょうけど、なんか、やめたくないなぁって思ってて、店長さんにはいろいろよくしてもらってますし、コンビニのアルバイトって意外に楽しいんですよ。 だからやめるよりも出られるときだけども良いから出させてもらってるって感じですかね」
たまがそういうと、山本は少し感心したように息をつく。
「黒田さんはすごいね、僕だったらどっちかはやめると思うな。 だってどっちは集中したいもん。でもそこが黒田さんの良いところなんだと思うよ。 霧島はいい子拾ってきたなぁ」
「そうですかねぇ、入った当時はいろいろ失敗したりしてたからぁ、あんまり今も変わってないですけどw」
「なんのなんの、助かることばかりだよ。 みんなからの評価も高いしね。まぁ無茶はしないように頑張って。よしそれじゃあレジ点検も終わったから確認よろしく」
「がんばりまーす、確認したところ、金額の違いなどはなかったので間違い無いです。 サインしておきますね」
「はーい、それじゃあお客さんも来たみたいだし、接客頑張りますか。 ああ、眠いな〜」
「山本さんは後一時間ちょっとですよ、頑張ってください」
「了解でーす」
それからたまと山本はそれぞれ任された仕事をしながらレジ対応をしていった。
たまは揚げ物などの作成、山本はホット飲料の補充。
二人でできる仕事はそれぞれが様子を見ながら。
午前9時前、とある人物が出勤してくる。
「山本さん、黒田さん、お疲れ様です」
皆さん、こんばんはです。
まだ投稿したての作品でありながら自分が思っているよりも伸びてびっくりしている作者であります。
投稿をさせていただく中で、ルールを決めることにいたしました。
そのルールとは、投稿時間を一定にするというものです。
一定であれば皆様が情報を受け取りやすいのでは?と思い、今回決めさせていただきました。
というわけでこれからの投稿時間は日付の変わり目、午前0時に一話投稿させていただきますのでこれからよろしくお願いします。