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サボ天使、ガチャVRに人生極振り! ~デッキを組んで強くなる世界で、魔法カード0枚からの成り上がり!~  作者: ラボアジA
3章 新たなる野望の画を描く編

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44話目 顔を作ったらキツネが立った

 立ち話もなんだから、一旦戻ることにした。ラビちゃんも、そろそろ【終了】の時間だったしね。


「お姉ちゃん、ありがとう」

「うん。また学園でね」


 あたしはラビちゃんをギュッと抱いたあと、バイバイした。あ~、これでまた、次に会うまで頑張れるわ。


 そして、E-MIXクンとお話のできそうな手頃なお店を求めて、喫茶「サラマンダーの夜」へと足を運んだのでした。


「来たわよ~」

「おや、シャボン。お早いお帰りだね」

「まーた銀ちゃんだけ? このお店、運営大丈夫?」

「マスターがいないと、どこでも飲める味だからね」


 銀狐は銀髪をポリポリかいてた。


「それに、喫茶店で稼いでないから」

「世を忍ぶ仮の姿ってワケね」


 対策カード作ってるあたり、本当にカモフラージュっぽいのよね。


 銀ちゃんが、E-MIXクンに視線だけ向けた。


「シャボン。彼は?」

「E-MIXクン。けっこー、巻き込まれ体質の主人公属性を持ってる子よ。ね?」


 ポンと肩を叩くと、「え、え……はい」とうなずいた。


 銀ちゃんが、指パッチンでマホガニーのテーブルセットを出してくれたので、ありがたく座る。


「君たちに、一杯ずつ無料で出すよ。何がいいかな?」

「あたし、カフェラテ」

「ぼ、僕もそれで」


 またも指パッチンで、テーブルにカップが。


「銀ちゃん……いいわね、そのワザ。あたしもやっていい?」

「登録してる人ダケに反応するんだ」


 うーむ、けっこう残念。――あ、ラテおいしい。


 あたしは向かいに座った機械クンを見た。


「ンじゃ、イークン。話を聞かせて」

「は、はい。分かりました」


 E-MIXクンは、所々つっかえつつも、キチンと話してくれた。

 彼は、本社ビルにある「冒険者の酒場」で、仲間に入れそうなパーティを探してたんだって。


「それで僕は、ネコミさんのパーティに入れさせてもらったんです」

「さっきの猫ね」

「はい。ですけど、技量がないとかで……」


 どよ~んと落ち込んじゃってる。あー、こういうのって、ヘタに「そんなことない」とか慰めても、かえって凹んじゃうのよね。

 だから、視点を変える方向でいきましょ。


「Eクンは、盾がうんぬんって言われてたわよね? 後衛だったの?」

「はい。前衛は苦手で。――とくに、海ほたるのダンジョンは、アンデッドが多いですから」

「あー」


 墓場から出てきた奴らも、殺人鬼社長のペットだもんね。アンデッドを怖がる前衛とかいたら、キモさを利用して存分に抱きついてきそう。――あるいは、四肢をちぎってブン投げるとかするかも。


 Eクンはコクンとラテを飲んだ。


「でも、僕は後衛でも満足に動けなくて……。何度も盾が遅れて、迷惑を……」

「映像とか、撮ってる?」

「え? ――あ、はい。ドローンで撮ってました」


 【雄蜂の斥候】を召喚して、空中に映像を出してくれる。――ほおほお、こんなワザも出来るのね。


「あら?」


 あたしは首をひねった。


 前2、後ろ2の態勢はいいとしましょう。

 問題は、E-MIXクンが盾を張ったあと、前の2人が全然踏ん張れてないこと。


「ちょっとー、コレはひどいわ」

「ですよね、僕が盾を張れなかったから……」

「ん~ん、違うの」


 あたしは、ホログラムの前衛をデコピンで散らした。


「この子たちが、1秒間に2発以上食らってるのよ」


 そう、答えは単純だった。

 どんなに多く【巨大な盾】を積んでたとしても、使えるのは1秒に1回。


「だから、おっちゃんレベルの盾張り職人でも、この子たちにはゼッタイ間に合わないわ」


 ンまー、呆れた。よく「パーティから抜けてくれ」っとか言ったわね、この子たち。こんなワラみたいな前衛、むしろこっちから願い下げだっての。


「Eクンが悩む必要は全然なかったのよ。――あのね、後衛の盾の強さは、前衛の強さに依存するから。たとえば、前衛がスッゴく強かったら、【巨大な盾】を1回張るだけでも、もっと強くなるでしょ?」

「そ、そうですね。そもそも割れないのに、1発当ててもまた盾を張られたら……」

「でしょ? 逆に、前衛がヘタッピだったら、盾も弱くなるのよ。1回張っても、スグに割られちゃうから」

「は、はい」


 Eクンはマジメな顔でうなずいた。


「でも……やっぱり僕は、ヘタクソなんで……」


 あー。


 ――うん。


 素直にホメられなかったのは……ごめん、Eクン。


 たしかに、少しターゲッティングが遅かった。


 ラビちゃんの盾を受けてたから、分かっちゃったわ。


 言い淀んでたのを、Eクンは敏感に察知しちゃったみたい。


「ですよね。すみません……。シャボンさんみたいな方のお時間を取らせちゃって……」

「ううん。それは別にいいのよ」


 あたしはパンパンと手を叩いた。


「いつだって、これからよ。これから上手くなればいいの」

「はあ」

「コラ、気の抜けた返事をしない。せっかくのいい男が台無しよ?」

「顔は……ほめられても、単にカスタマイズしただけですし……」


 あー。VRだもんね、うん。容姿ほめても、どってコトなかったか。


 ガタッ!


「ん?」


 振り向くと、銀ちゃんが指をプルプルしてる。


「君……カスタマイズしたの?」


 え?

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