41話目 女神様はやっぱり女神様なんだなって
ではでは、毎度おなじみ、必殺スキャーン!
※ ※ ※
名前:ボーンドラゴン
攻撃:64
防御:256
速度:2
体力:1024/1024
マナ:16/16
特徴:《尻尾攻撃》《骨の嵐》
無効:青、茶、緑、紫、赤、銀
吸収:黒
※ ※ ※
ほおほお、スカスカかと思いきや、ライフが4ケタとは。骨太な竜ですこと。
でも……《骨の嵐》? 意味が分からないけど、スッゴくヤな予感だけはヒシヒシとするわ。
竜がシッポで攻撃してきた。スピードはないから余裕で避けられる。
「お姉さん、【敏速】をかけますか?」
「たしか、速さが1上がる魔法だっけ」
「はい」
「うん、お願いするわ」
「分かりました!」
当座、速さは足りてそうだったけど、このゲーム、速度が重要だしね。あと、ラビちゃんの支援は受けたいじゃない?
ラビちゃんが杖に銀色の光を集め始めた。だけど、その光がシュンって消えちゃう。
「あれ……? も、もう1度」
「焦らなくても大丈夫よ」
――って、アラ? 女神像が、なんか光ってる?
もういっぺんラビちゃんが【敏速】を使おうとしたけど、魔法陣に光が吸われて、女神像がさらに光った。
「ラビちゃん! その像に魔力が吸われてるわ!」
「え!?」
うぎゃー! 女神像のクセして、とんだ悪魔ねえ!
そんな澄ました顔の邪神像は、ますます輝き始めた。うわー、ラビちゃんの魔力吸ってテカテカとか、コワーい。
シュワァァー……。
『ガアアアアー!』
お?
骸骨竜が悲鳴をあげてる。
え……つまりコレ、像の輝きパワー?
ラビちゃんもキョトンとしてる。
「女神様の力ですか?」
「――みたいね」
あの~……女神様? え~ぇ、あたしは信じてましたとも。邪悪な竜をやっつけるために、魔力が必要だったんですね? は~い、これからはあたしの魔力で良ければ、いくらでも吸っちゃってくださ~い。
愛想笑いしといた。ペコペコ。
のたうち回ってる奴をスキャンすると、やっぱりライフが1/3減ってた。ボスは3発。お約束は踏襲してるみたいね。
『ガアアアー!』
ふふふ、吠えてもムダよ。あんた、体絞ってるわりにトロいし、シッポ攻撃とかもかわすのはカンタン。あと2回、すぐにカタをつけてあげるわ。
――なーんて考えは、練乳タップリの宇治ミルク金時よりも甘かったのでした。
『ガアアアー!』
竜の右目が赤く光った。その途端、竜を作ってた無数の骨が、宙へとバラバラに浮き始める。
「え?」
それらが、弓を引き絞るみたいに、ググッと後ろへ下がっていく。
あ、ちょ、マサカ……。
ヒュンヒュンヒュンヒュン!!
「うぎゃー!」
「キャー!」
これが《骨の嵐》!? あー、そりゃこのネーミングしかないわね! 納得よ!
一瞬で【巨大な盾】は剥がされて、骨の連続攻撃をドカドカ食らった。たまらず地面に転がる。
うぐぐっ……。生き残ったユニットは、戦場から離れて撮影してたドローンくんダケ? 削られたわねえ。ボスの全体攻撃も、たしかにお約束だけどさ。
ガシャンガシャンと、再び組み上がっていく骸骨竜。
むぅ……アレをかわし続けるのはムリね。ラビちゃんが【治癒】を掛けてくれるけど、ダメージ量の方が多いわ。
とすると……短期決戦!
あたしはすぐに魔法陣を踏んだ。骸骨竜は再び《骨の嵐》をお見舞いしてくる。――ええ、効果的な作戦だものね、ゴリ押しで使い倒してくるに決まってるわ。
あたしは【循環】を唱えようとした。予想通り、魔力が吸われる。
――さあ、8マナ一気に捧げたわよ、女神様?
天使の願いを聞き届けてくださったのか、女神像はスグにまばゆく光った。
シュワァァー……。
もちろん、《骨の嵐》をやってきた骸骨竜にも輝きは炸裂!
『ガアアアアー!』
いよっし、2発目!
「ラビちゃん! 次でラストよ!」
「はい!」
ラビちゃんに親指を立てて見せると、強くうなずいてくれた。




