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サボ天使、ガチャVRに人生極振り! ~デッキを組んで強くなる世界で、魔法カード0枚からの成り上がり!~  作者: ラボアジA
3章 新たなる野望の画を描く編

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40話目 グール「どくどくゾンビーズ」

 次の部屋は暗闇ルームだったけど、ここでもラビちゃんが大活躍だった。


「【光の精霊】!」


 ふわりと白光を放つユニットで、【闇】を何度もかき消してくれる。


 暗がりでは、どういうワケだかグールたちが速く近付いてるみたいで、何度も囲まれた。ほんっと、イヤな「だるまさんが転んだ」よね。


 杖でバシバシ叩いていくけど、妙にグールのフットワークが軽くて、チョイチョイかわされる。


 ガブガブガブ。


「うっ!」


 ヤバッ……シビれた!?


 グールに囲まれた状態で《麻痺》とか、これゼッタイ映画中盤で死ぬ美女じゃん!


 でも……こっちにはウサギの女神がついてるわ!


「【解毒】!」


 あ~、ラビちゃんの癒やし能力は最高よね~……。


 スパパパパーン!


 あたしはすかさず蹴散らした。


「ラビちゃん、ありがとう」

「えへへ……」


 ん~、カワイイ~。――あ、また暗闇が。あたしとラビちゃんの仲を嫉妬か、闇の精霊め。しっしっ。


「ラビちゃん。闇だと視界が通らない?」

「はい。【巨大な盾】のターゲットに出来ないです」


 むぅ~、残念。

 相手が見えてないと、呪文の対象に取れないんだって。場所を指定して効果を発揮させるワザもあるけど、それはスッゴく難度が高いんだそう。


「すみません……」

「大丈夫よ。ラビちゃんは十分スゴいわ。あとは、お姉ちゃんがバシッとやっつけてくるダケね」


 あたしがブンブンと杖を振ってると、グール軍団が荒技を使ってきた。


 ガブリ、ガブリ。


「うげっ……」


 グールがグールを食らってる。――このゲーム、レーティング大丈夫なの?


 なんて、のんきな不安もつかの間。


 グールの動きが、メチャクチャ速くなった。


「え!?」


 ガブガブガブーッ!


「ギャー!」

「お姉さん!!」


 何その共食いドーピング!? ヤバい、またマヒった!


 体が動かない状態で、何度も食らわれる。

 イヤらしいことに、あたしとラビちゃんの間には、また暗闇地帯が。視界が遮られた今、【解毒】がもらえない。


 うぐぐっ、クモちゃんズを寄越す……? うぅん、そしたらコイツら、絶対ラビちゃんの方にいくわ。一斉に飛びつかれたら防ぎきれない。


「お姉さん!」

「ラビちゃん!? 敵が来た!?」

「いいえ! でも、緑で【毒牙】って魔法、持ってますか!?」


 あったかしら……あっ!


「1枚あったわ!」

「使ってください! 《麻痺》が解けます!」


 ああ、女神様!


 スグに【毒牙】を使った。敵が毒状態になるって魔法だったけど、「素手で攻撃すると」って条件があったから、実は削る候補に入ってたほど。

 だけど、効果はてきめんだった。


 ――動く!


「戻れ、レーヴァテイン!」


 パパパパーン!


 落としてた杖を回収して、しっかりと握る!


「さあて、今まで食らった分は、キッチリとお返ししてあげるわ!」


 倍返しよ。くわっ!(目を見開く)




 その後は、危なげなく敵を掃除できた。途中で出てきたボスは、頭が3つあるワンコだったけど、瞬殺。いやー、レーヴァテイン投げて一撃だったわ。フッ、飛び道具ありなの、ワンちゃん。悪く思わないでね。


 そして今は、そのワンちゃんのカードだけ「待て」の状態で触らずに、お部屋で休憩中。


「ラビちゃん。【毒牙】で《麻痺》が解けるってコト、よく知ってたわね」

「えっと、カエル先生が教えてくれたんです。『良いか、みんな。麻痺も毒の一種じゃから、【解毒】ができるんじゃ。【毒牙】の魔法は、自分の素手で毒を与えられる状態にするから、自分の毒状態を消す効果もあるぞい』って」

「おお~」


 園長グッジョブ。そして、モチロン。


「ラビちゃん、よく授業を覚えててくれたわ~。ありがとう」

「私こそ、お姉さんに守ってもらってるおかげです」

「え、なんで?」

「だって……ここに来られましたから。私1人だったら、とてもムリでした」


 はふ~ん、謙虚ねえ。そこも好きだけど。なでなで。


 今回は、ラビちゃんが【治癒】を使ってくれたおかげで、早くライフを回復できた。

 クモちゃんズを始め、みんなに盾も張ってもらったし、準備万端。


「ンじゃ、ラビちゃん。取るわよ?」

「はい」


 あたしは【ケルベロス】のカードを拾った。




 ゴゴゴゴゴ……。




 洞窟の真ん中に、隠し階段が現れる。


 アラま、強制移動じゃないあたり、ヌルいわね……って、ダメダメ。社長に毒されてるわ。


 薄暗い下り階段を、ラビちゃんの【光の精霊】が照らしながら降りていく。結構長い時間歩いて着いた先は、巨大な神殿遺跡。


「おぉ~」

「うわぁ……」


 ナゼ唐突にパルテノン? いや、似てるダケで違うんでしょうけど。

 2人でキョロキョロ見回しながら、遺跡内部へとお邪魔する。

 入ってスグの場所には魔法陣があって、その中心には背を向けた女神像があった。


 ――妙ね。こういうのって、フツーは入ってくる人の方を向いてるもんじゃないの?


 回り込んで見てみると、やっぱり神殿の奥側を向いてる。で、手を組んで祈りのポーズ。


 奥の方に目をやると、一段高い祭壇があって、大きな骨が無数にゴロゴロしてる。


 う~む、なんかの儀式? 分かんないわね。


 あたしは周りを警戒した。


「さあ、どっから現れるの、竜ちゃん?」


 もっと奥から? 空から? それとも魔法陣から?


「お、お姉ちゃん……」

「ん?」


 ラビちゃんが、震える指で祭壇を示した。


「ほ、骨が……」


 カタカタと揺れ始めたかと思うと、ガシャンガシャン組み上がっていく。


「おお~」


 いつしか、見上げるほどのサイズの骨格になる。


「なるほど……。最初から見えてたってワケね……」


『ガアアアアー!』


 どこから声を発してるのかも分からない骸骨竜が、あたしたちに襲いかかってきた。

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