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サボ天使、ガチャVRに人生極振り! ~デッキを組んで強くなる世界で、魔法カード0枚からの成り上がり!~  作者: ラボアジA
2章 〖デス・エレメンタル〗編

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31話目 大地の竜「ビルは飛んでOK、人はダメ」

 しょんぼり降りていくクマたちをニマニマ見てると、視界の端に、銀髪のマーメイドちゃんがいた。


 あーっ、見つけたわ!


「おっちゃん!」

「シャボンか」


 空からおっちゃんに飛びつく。


「も~、あんまり隅っこの方にいるから、気付かなかったわ」

「ハデなのは嫌いなんだよ」


 そのわりに、参加はしてたのね。


「積もる話は後だ。今は新呪文を聞こう」

「ええ」


 あたしは社長に向き直った。――うん、おっちゃんの位置は、最前列の端っこ辺り。見やすいわ~。


 社長は、クマ退治のざわめきが収まったのを見計らってたみたい。


「さてと。名残惜しいが、次でラストだ。【大地の竜】だぜ」


 茶色のカードを掲げてみせる。その途端、グラグラと地面が揺れた。――おっとと。


「シャボン、大丈夫か?」

「ありがとう、おっちゃん」


 んー、地震? なんでVRで?


 スグに誰かが叫んだ。


「みんな! 後ろを見ろー!」


 スッゴい切羽詰まった声。


 慌てて振り向くと、西口の魔法陣の上には、焦げ茶色の巨大な竜が。




『ドギャアアアアアアース!』




 ぶはっ!


 え、ココ洞窟じゃないわよ!?


 歩みは遅いけど、1歩ごとに地震が起きる。半径10mぐらいかしら、道路のアスファルトがベリベリめくれてく。


「うぎゃあー!」


 ウゲッ、竜の近くの人が巻き込まれた! ウソ、あの揺れってダメージ受けるの!? みんな大パニック!


「シャボン、竜から離れるぞ!」

「ええ!」


 おっちゃんと必死になって逃げる! あ、社長いないし!


 みんな、スゴい怒号とともにビルの扉叩いてるけど、開かないみたい。――おにょれ、自分だけ安全地帯とは。


『ハッハー! 見て分かると思うが、大地の竜だ!』


 スピーカーの音声に、改めて殺意がわいたわ。


『いっや~、あんまりお前らがダンジョン探しに苦労してるモンだから、ちょいと呼び寄せちまったぜ! 俺っていいヤツだろ!?』


 はーい、ウソウソ。大量殺戮を楽しむ絶好のチャンスだからでしょ?


 アイスも頭をかいてた。


「くそっ……前回なかったから油断した」


 あー、きっと警戒されてると思って、先月はガマンしたのよ。今月は大爆発ね。


 逃げ遅れた人の悲鳴が聞こえる。うわ、竜のシッポに叩かれたり、あるいは踏まれたり。うーん、ムゴし。


 あたしとアイスは、本社ビルの脇にいた。


 ふう……さすがにココなら安全でしょ。


『おーい、ビルの近くにいる奴らー!』


 何よ、クズ社長。


『本社は壊れねえとかいうメタ読みは却下だぜ? 今からちょいと、んでよお!』


 はぁ? 何言ってんの?




 ズゴゴゴゴ……。




「え」


 社長の入った巨大なビルが、空に向かって動き出した。




「ええーっ!?」




 ゴォオー……。




 ロケット噴射みたいな炎を出して浮上してく。


『じゃあなー!』


 うわー、カル~いお別れ。――あ、見えなくなった。


 跡地には、紫色のオーラを放つ、巨大な魔法陣がポツンとあるだけ。


「何コレ」


 ワープ装置? ひょい。


「乗るな、シャボン!」

「え」


 シュワァアア……。


 ヤバッ! 社長の仕掛けにノーガードとか、あたしのバカ!


 うあ~……前にも食らった感覚ね。あのときは、眠りの竜が相手で、マナの上限値が……。


「あ」


 素早くステータスを見た。




マナ 5/5(8)




「やっぱ減ってるし!」


 しかも、前よりヒドいんだけど! 社長のイヤがらせスキルはSランクね!


「大丈夫か、シャボン」

「ごめん、おっちゃん……。マナの上限が減らされたわ」

「――まあ、《強制変顔》や《呪いのヅラ》じゃなかっただけマシとしよう」


 何、そのラインナップ! 聞くダケで寒気がするわ!


 竜がドスンドスン音を立ててやってくる。


「シャボン、もうちょい離れるぞ」

「ええ」


 新宿にファンタジーの竜って取り合わせに度肝を抜かれたけど、冷静になれば、動きはトロいから逃げるのはカンタン。――あ、今は土のかたまりを食べてるわ。


「よっし」


 十分離れたし、竜をスキャン!




  ※  ※  ※


名前:アースドラゴン


攻撃:128

防御:256

速度:2


体力:512/512

マナ:128/128


特徴:《地震》《加重》《尻尾攻撃》《力場》

能力:【石つぶて】


無効:黒、青、赤、緑、銀、白

吸収:茶


  ※  ※  ※




 おっと、脳筋かと思いきや、意外にもヒプノちゃんタイプね。


「――アラ? この竜、弱点なし?」

「ああ。だが、紫魔法は通用するぞ」


 おぉー、本当だわ、おっちゃん。一瞬で把握するとか、さすがね。


 被害者の会のみんなも、精神的ヨユーが出てきたのか、攻めるチャンスを窺ってた。どうやら、10人ほどで攻撃するみたい。


「――そういえば」


 あたしは改めて竜のスペックを見た。――ん、やっぱりアレがない。


「おっちゃん。あの竜、《飛行》がないわね」

「だな」

「なら、《地震》を避けるために、飛んじゃえば無敵?」

「ううむ」


 2人は顔を見合わせた。


「「アヤしい」」


 ですよねー。


「ね~、絶対にワナよ」

「あの社長のことだしな」

「うんうん。飛んだらセーフみたいな優遇策、あるハズないわ」

「むしろ、カウンターで倒す気だろう」


 そんなあたし達のやりとりをヨソに、被害者の会のみんなは、素早く飛んでいった。――うん、杞憂かもしれないモンね。考えるより突撃。嫌いじゃないわ。


 【魔弾】をヒュンヒュン飛ばして、竜をどんどん削っていく。


『ドギャアアース!』


 おー、スゴい勢いで削れてる。頑張れ同志! 悪のダンジョンマスターと戦う仲間だもんね、応援するわ!


 シッポは射程外だし、岩みたいな【石つぶて】もみんなかわしてる。――あ、これ本当にイケるんじゃない?


 その時、竜の鉤爪が茶色く光った。


 ――ナゼかしら、スッゴくヤな予感。


 次の瞬間。


「うわー!」


 ドサドサッ。


 みんなが垂直落下した。


 え? これってまさか……《加重》とかいう特徴のせい?


「う、うぐぐ……」


 ヨレヨレのみんなに、竜が足踏みで《地震》ラッシュ! ウギャー、あれだけ与えてたダメージも全回復!? アーンド、相手にトドメとか! えげつないわね、社長のペット!


「く、くそっ……」


 おっ、天使さんがもういっぺん飛ぼうとしてる。ファイト!


 そのまま、フラフラと2mぐらい上がった瞬間。


 ドサッ。


 もういっぺん《加重》で落とされた。すかさず踏まれて死亡。


 アイスが首を振った。


「ちっ……相変わらず容赦ねえな」


 たしかにねぇ。ちょっと飛んだら、スグに《加重》とか。慈悲が無さすぎ。


 ――ん?


 ちょっと、「飛んだ」?


 2mの所で、《加重》したわよね?


 ふむ……。


「ねえ、アイス」

「ん?」

「もしかして……地面スレスレを『飛べば』、《加重》も《地震》もしのげるんじゃない?」

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