表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/93

3話目 スキル選択!

 ふむふむ、ここからスキル2つね。――って、《天使の羽》?


「あたし、羽あるけど?」

「ああ、重いだけのジャマな羽がな」

「え?」


 社長はニタリと笑った。


「スキルがないと、飛べねえぞ?」


 ブハッ!


「何よ、そのサギ仕様!?」

「おいおい、種族バランスをとったと言えよ」

「むぐぐ……そりゃまあ、戦闘でも移動でも、空を飛べたら有利だけどさ」

「だろう?」


 片眉を吊り上げる少年社長。最高にウザい。


「で、どうする?」

「スッゴいシャクだけど……《天使の羽》を取るわ」

「OK。もう1コはなんだ」

「うーん……。ねえ、社長。《不眠》って、プレイヤーも寝ずにすむの?」

「なに寝ぼけてんだ」


 あう、真顔でツッコまれたわ。


「だけど、気になったんだもん。どんな効果よ?」

「このゲームは、一生入りっぱなしにも出来る。ただし、18時間ほど連続稼働してると、アバターの方が眠気をもよおすんだ」

「へぇ」


 面白い制限ね。


「それを防ぐには、アバター自身を寝かせる必要があるのさ。6時間以上な」

「頑張って起きてるとどうなるの?」

「動きが徐々に悪くなり、最後にはブッ倒れる。これは、プレイヤーがどんなにタフでも防げねえ仕様だ」


 ふむふむ、アバターの寝落ちね。


「そこで効果的なのが《不眠》だぜ。こいつがあれば、デメリットを無視できるって寸法だ。廃人プレイヤー御用達だな」


 ――あれ? あたし、抜け道思いついたけど?


「ねえ。このゲームって、すぐに入り直せたりする?」

「ああ」

「そしたら、寝落ちのカウントは……」

「ゼロに戻る。そこからまた18時間だ」


 ザルすぎィ!


「あのぉ、むしろソレ、廃人ほど避けるスキルじゃないの?」

「おいおい、そんな罠を仕込むヤツだと思うか?」


 どうしよう、スッゴイ思うわ。


「つーわけで、天使。迷ったら《不眠》を取れ。《不眠》はいいぞ~?」


 全力でネタに走らせようとする案内人社長。嫌いじゃないわ。ウザいけど。


 ――ん? でも、ちょっと待って?


 あたしには、神スキルじゃない?


 だって、現実に戻ったら、サボテン化が進んじゃうんだもの。

 入りっぱなしを目指すなら……必須だわ!


「あたし、《不眠》にする!」

「ほお。クズスキルをあえて取るか」

「――知ってて勧めてたのね」

「たりめーだ」


 そのスタンスも含めてヒドいわね。


「だけど、あたしにとって最高なら、迷わず選択よ!」


 ――そう、株だって一緒。他の人が見向きもしないマイナー株でも、あたしが認めたなら、いつか日の目を見ると思って投資してきた。銘柄は忘れちゃったけど、その心意気だけは覚えてる。


「全世界の人間が、今後ずーっと使えないと言おうとも、あたしにとっては命綱よ! 笑いたきゃ笑えばいいわ!」

「アハハハハーッ!」

「笑うなー!」

「いや、こりゃ失礼」


 苦笑した社長は、あたしを指差した。


「面白い奴だな、気に入った。1000回は殺してやる」


 うわー、熱烈なラブコールだこと。


「絶対生き延びてやるわ」

「おお、楽しみにしてるぜ。――そうだ、今ならNPC表示にもしてやるが、どうする?」

「NPCって、なに?」

「ノンプレイヤーキャラクターの略だ。プレイヤー以外のアバターのことさ」


 ほぉほぉ。


「メリットは?」

「まずは、長時間入っても、『まあNPCだし』と思われる」

「あー」


 不審がられないのね。


「それと、俺たち会社側のスタッフだとも思われるな」

「んー、どういうこと?」

「AIの対応にも限度があるだろ? プレイヤー同士の仲裁とかは、実際の人間がNPC役になって収めてるんだよ」


 なるほどねー。


「で、どうする。やるか?」

「やるわ。面白そうだもん」

「OK」


 なんだか、外れスキルにNPCって、始まる前から別ゲームになってる気がするわね。

 ま、食事も睡眠もおトイレも不要だし、好き勝手に暴れてやるわよ! 「ジタバタしかできないなら、ジタバタしましょう」って、心の師匠も言ってたしね!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ