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サボ天使、ガチャVRに人生極振り! ~デッキを組んで強くなる世界で、魔法カード0枚からの成り上がり!~  作者: ラボアジA
1章 ダンジョン死闘編

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17話目 羽をもがれて、溶岩ダイブ

 あたしは、どこで地面の亀裂が起きてもいいよう、なるべく中央へ移動した。


 けっこう穴ボコが増えてるから、チンタラしてると詰むわね。

 そうなる前に……一気に攻める!


 すると竜が、また鉤爪に紫の光を集めた。

 光が弾けると、何か大事なものが消えた感覚がある。


 ……? マナじゃないわね、さっきの消失感とは違う。胸を掻き毟られるような切ない気持ち。一体、なに……?


 竜があたしを睨んできた。瞳が紫に変わり始める。


 ――なんかヤバい!


「トカゲちゃん!」


 あたしは【巨大トカゲ】を召喚して視線を遮った。その直後、3mの巨体がゴロンと寝る。


 え、竜が《眠りの視線》? あたしには効果ナシって分かったハズなのに……まさか!


 慌ててステータスを見ると、スキルの《不眠》がグレーの文字になってる。


「【忘却】……!」


 やってくれたわね……! そんなコンボで攻めるだなんて。


 あたしは、トカゲちゃんの周りをぐるぐる回って、視線の直撃を避けた。【魔弾】の集中砲火で退治されちゃったから、もう一匹召喚、そして退治。


 ――トカゲちゃんズ、犠牲は忘れない。なむなむ。


「よし、戻ったわ」


 《不眠》、復活!


 近くで亀裂の走った地面に飛び乗って挑発し、無事に2発目をブチ当てる。


『シャギャー!』


 おーおー、荒れ狂ってるわね。あと1発、必ずお見舞いしてあげる。


 でも……マズいわ。これで今の地面以外は遠くなっちゃった。


「かくなる上は!」


 あたしは飛んで竜に接近した。


 いっそ、近い方がかわしやすいわ! 「切り結ぶ、太刀の下こそ地獄なれ。踏み込みゆけば、あとは極楽」よ!


 鉤爪攻撃を次々と避ける。――ふふふ、近すぎて他の攻撃だとバカらしいものね。必ず腕を振り回してくると思ったわ。


「スカーレットちゃんで鍛えたあたしに、あなたのワンツーはヌルい!」


 けど、それでも限界はくる。

 必死の回避を続けてたけど、天井近くでスタミナが切れた。


「ちっ……いいわ、あたしの負け。【忘却】を撃ちなさいよ」


 両手を挙げて降参してみせる。

 なのに竜は、下をチラリと見た。


『シャギャー!』


 素早く回避。その直後、吹っ飛んだ地面が竜をかすめていく。


「うっ……!」


 こいつ……狙いを見破った!?


 あたしが大人しかったのを怪しいと思ったの? それで、いつでも仕留められるあたしを放って、周りを警戒したってコト!?


『シャギャー!』


 勝ち誇るかのように雄叫びを上げた竜が、【忘却】を撃ってきた。ああ……対象は《天使の羽》よね。――あ、コイツ下を向きやがったわ。あたしのダイブを見ようっての? 流石は誰かさんのペット、悪趣味すぎるわ。


 すぐにあたしの羽は消えた。地面に向かってまっ逆さまの態勢。ジエンドね。


『シャギャー!』













「ヘイ、ヒプノちゃん。いつまで見てても落ちないわよ?」

『シャギャ!?』


 うわ~、スゴいAIね。地面が消えた状態で羽をツブしたら嬉しがって、声を掛けたら驚くとか。

 でも……それがスキを生んだ!


「絶対、落下狙いだと思ったものね!」


 あたしは、天井に【木の精霊】を生やしていた。その枝に絡まって、落下を防いでやったわ!

 上手くつかまることが出来るかは運だったけど、ギリギリ枝の1本にしがみつけた。余裕こいてた竜ちゃんのおかげで、体勢は立て直し済み。


『シャギャー!』


 怒ったドラゴンが【魔弾】を展開するけど、あたしは大きく手を叩いてみせる。


「はっははー! 図体はデカいけど、肝っ玉は小さいのかしら、ヒプノちゃ~ん?」

『シャギャー!?』

「だって、そうでしょう? 羽をもいだ天使にすら、【魔弾】とか! あなた、本当にドラゴン? 紫の大トカゲって名乗ればぁ?」


 その途端、竜は【魔弾】を消し、怒り狂って急上昇してきた。


 キタキター!


 あたしはすかさず呪文を唱えた。緑の光が弾けた瞬間、つかんでいた【木の精霊】が消失。すぐさまに出した【木の精霊】へとジャンプ!


 ドガァアアアン!


「うわあああっ!」


 竜の頭突きで大揺れのなか、必死に枝へとつかまる!


 天井も茶色の属性よね!? 地面でダメージ食らったんだし、天井でも大ダメージでしょ!? さあ、これでライフは……!




 体力:3/512




「ウソッ!?」


 まだ残ってる!?


『シャギャー!』


 やばっ、鉤爪アタックが来る!


「ウッドちゃん!!」


 バチーン!


 太い枝が、竜のアゴにクリーンヒット!


「食らってろー!」


 そのまま、ガツンと頭をブツけさせる!


 これが致命傷になったらしく、ドラゴンは紫の光に包まれて消えていった。


「や……やったわ、なんとか勝利っ……! ――あら?」


 ウッドちゃんの姿も半透明になっていく。え、さっきの鉤爪アタック、決まってた?


 次の瞬間、フッと消える。


「マズイ!」


 下は溶岩の海! トカゲちゃんもウッドちゃんも2体召喚済み!


「ムクドリちゃん!」


 あたしは【無垢の鳥】を喚んで、カードを回収に走らせた。溶岩に刺さってるカードを見事にキャッチ!


 あとは空中でカードを回収……って、ムリ!


「女王様、カモン!」


 落ちる寸前、溶岩の上に【クモの女王】を召喚!


 ドズン!


「ぅぐえっ……」


 女王様の背中に直撃して、瀕死。


「し、死にそう……」


 ンでも、それは……生きてる証拠よ!


 この女王様もスグ消えちゃうわ! ムクドリちゃんのくわえてきたカードを、インベントリに放り込む!


「オッ……ケー!」


 直後、女王様が消えて、溶岩へダイブ。やっぱりココは、親指を立てて入るのがマナーでしょ! グッ!







 気が付くと、見慣れた天井だった。


「ああ……部屋に戻ってきたわ」


 寝転がったまま、インベントリからカードを出して確認する。


「――いよっし! ヒプノちゃん、ゲット!」


 満面の笑みを浮かべつつ、大の字でガッツポーズした。

死闘の末にゲットした、紫竜のカードです。



【眠りの竜/Hypnotic Dragon】

レベル7・紫魔法/レジェンドレア

分類:召喚(竜)

攻5/速5/体5

サイズ:大

特徴:《飛行》《眠りの視線》

能力:【精神攻撃】【忘却】【魔弾】【魔力の盾】

「眠り攻撃を食らわない方法を思い付いたぜ、アニキ! さっさと寝ちまうんだ!」

「寝言は閨で言え」

    ――竜の宝を狙う荒くれ者、ゴンズとダグッシャー

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