済まない! 俺はお前にいつも厳し過ぎるよな!
俺は、お前の本当の親父じゃない!
だから、どうしてもお前に厳しくしてしまう...。
何時からか、お前は俺を避けるようになったな、、、!
そんな時も、俺はお前に説教をしてばかりで、、、。
俺がお前に、嫌われている事は分かってても、、、。
どうしたら? 俺はお前といい親子関係が築けるのか分からなくて...。
ついつい、強い口調でお前に言うから、、、お前は俺からするりと逃げていく。
お前が、反抗期の頃は、、、?
俺と取っ組み合いの喧嘩になる事も多々あって...。
力では俺の方が上だと思っていたのに、、、。
いつの間にか、、、?
俺よりも身長もガタイもよくなりやがって、、、!
そんなんだから、お前は俺の言う事を聞かなくなり悪い友達と
つるむようになった時期もあったな、、、!
俺は、お前の事が心配で心配で、お前が夜中帰って来る時間まで
ずっと待つ事がしょっちゅうあったけど、、、?
そんな事も、昔の事で、、、。
今では、、、?
▽
俺の名前は、『合田 延之』39歳、建設現場で働いている。
俺の息子の名前は、『合田 直喜』21歳で大学に通っている。
直喜は、俺の本当の子供じゃない! 俺の兄貴の子供だ、、、!
兄貴は兄貴の奥さんと産まれたばかりの直喜を連れて車で実家に帰って
来る途中で事故に遭ったんだ...。
直喜はその時、、、?
後ろのチャイルドシートで固定されていたから怪我一つなく無事だった!
俺たちは実家で。
俺も親父もお袋も、兄貴たち夫婦が帰って来るのをずっと待っていたのに...。
二人は、帰らぬ人になってしまった。
*
そこから、親父とお袋で直喜の面倒を見るという話しにもなったんだけど、、、?
俺が親父とお袋を説得して、責任を持って直喜を育てると言って俺の本当の
息子として育てる事にしたんだ、、、!
しかし、、、?
結婚経験もなく、彼女も今まで作った事すらない俺が、、、!?
子供の面倒を見るというのが、本当に大変で、、、。
何かあれば、俺たちは直ぐに衝突するし、、、!
慣れないご飯や洗濯、お弁当も早起きして必死になって作っているのに、、、?
直喜からは、『この弁当、マジで不味い!』と言われ...。
本気で、落ち込んだこともあった。
それでもな、、、!
お前が小さい時には、本当に天使のように可愛くて可愛くて。
何処に行くにも、いつもお前を連れて歩いたよな、、、!
俺は、お前の笑ってくれる顔が見たくて、、、。
それだけで、どんなに辛い仕事も頑張ってこれたんだ、、、!
▼
そんな直喜も、20歳の時に俺の元から離れて行った、、、!
『親父! おれも一人前になる為に頑張りたいんだ! だからこの家を
出る事にする!』
『・・・あぁ、そうか! 分かった、お前の好きなようにしろ!』
『あぁ、そうする!』
『・・・・・・』
まさか、、、!?
お前がそんな風に考えていたなんて、思っても見なかった俺は少し
動揺もしながら、嬉しくもあったんだ、、、!
【直喜も、一人前の男になりやがったな~!】
*
この家を出ていく直喜に、初めて俺はお前に自分の思っている事を
話したよな、、、!
『済まない、直喜! 俺はお前にいつも厳し過ぎるよな、、、!』
・・・俺は、ボソッとお前の前でそう言ったら、、、?
お前はこんな風に言ったよな、、、!
『親父には感謝してるんだ! 本当のおれの親父じゃないのに、、、!
今まで、体当たりでおれとぶつかってくれた事、口喧嘩や取っ組み合いの
喧嘩もいっぱいしたけど、、、? おれは、あれで良かったんだと思って
いるんだ! そうじゃなかったら、、、? おれの周りには悪い友達もい
っぱいいたのに...! 親父がそうならないように止めてくれてたんだろ!
後で、いろいろ聞いたんだ! ほんとありがとな、親父!』
『・・・直喜、』
『泣くなよ、親父!』
『クスン、泣いてないだろう、、、! もう、行け!』
『あぁ、じゃ~また帰って来るよ!』
『あぁ! 待ってるぞ!』
『うん! じゃあな!』
『あぁ、』
こうして、直喜は俺の元から巣立っていった。
俺は、いい息子を持ったんだと改めて確信できて嬉しいよ!
なあ! 直喜。
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