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水神の剣の守り手   作者: 星 雪花
忍びの里
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雨音と影( 2 )



 ——あれは水脈の大蛇につながる剣なんだ。お母さんの舞いが逸話として今も有名なのは、それで大蛇とつながることができたからだ。



 水神の剣が本当に狙われているのなら、桜子が思っているよりずっと深刻な事態なのかもしれなかった。


 ——と、


 言葉にならない気配を感じて、桜子は身構えた。


 降り続ける雨のせいで視界は暗く、物音も聞こえないが、何かがこちらに近づく予感がした。


 ——敏感になっているんだろうか、でも。



 濡れたせいで体温を奪われたのか、指先もすっかり冷たく凍えている。

 桜子はそっと、軸足を固定して重心を低くとった。

寒くて体が震えそうなのは、雨に降られたせいばかりではなかった。


 ——来る。ここに、狙いを定めている。



 今度は桜子にもそれが分かった。

 はっきりそう感じると、目に見えないものへの恐れよりも言い知れない怒りがふつと湧き、桜子は身を屈めて息を殺した。



 数秒ののちに正面に現れた人影は、藍染あいぞめの装束に赤い天狗の面をつけており、その姿はものものしく異形だった。

 桜子は息を呑む。呑んでからそれを悔いた。気を散じた一瞬が、交戦では命取りになるのだ。



 桜子が攻撃をしかけられるのを覚悟した時——天狗の面はくぐもった声で言った。


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