↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
水神の剣の守り手   作者: 星 雪花
忍びの里
PR
29/108

御禊( 2 )——朱雀帝


 四月一日(わたぬき)には壁代《かべしろ》や御帳台《みちょうだい》、几帳《きちょう》を夏らしい素材に変える更衣(ころもがえ)があり、内裏のなかも透明感のある生絹(すずし)が目立つようになった。


 室礼(しつらい)が明るく移ろっていくなか、先の大火やニノ宮の死が胸にのしかかり、ふさぎがちの朱雀帝のもとに届けられたのが、『月読(つくよみ)』の主《あるじ》からの書簡だった。


 曰《いわ》く、


 ——『水神の剣』に斎《いつ》く巫女を探し、災いの元凶を断つ、と。



 皇《すめらぎ》が使役する隠密は、影で『月読』と呼び習わされているらしいが、その主は正式には朱雀帝ではなかった。


 彼(•)女(•)は、皇に反する異形の者を殺《あや》め、力を得ようとすることをためらわない。

しかし時代が下るにつれ、皇の王威は弱まりつつある。


 その証拠に、はるか東の地では京に対抗する逆賊が、決起して反乱を起こしているらしい。辺境の蛮族が勢いを増すなど前代未聞のことだ。今までなら、そんなことあり得なかった。


 あの火災が記憶に新しいというのに、陰陽寮《おんみょうりょう》では再び火難の相が判じられたという。そればかりか、巽《たつみ》の方の大神《おおみかみ》の祟りも。



 『月読』がその手腕によって祟りを鎮める霊威を得られるのなら、それは喜ばしいことなのだろう。


 ——そうでなければ、非業の死を遂げたニノ宮も浮かばれないではないか。


 あれはただの瘧《わらわやみ》ではなかった。

 否応なく、皇に祟る類のものだったのだ。



 朱雀帝は桟敷の上で御行《みゆき》を眺めながら『月読』の主に礼をつくそうと、花橘《はなたちばな》——表は朽葉色、裏は青色の袿を贈ることに決め、側仕えの近習を呼び寄せた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。