表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
バニシングセブン  作者: カサ
7/12

BRZ

都内郊外 チューニングショップ Yガレージ



約200坪あるだろうか、GT-Rやスポーツモデルの車がリフトの上に乗せられたり、整備させれている。


Yガレージ、チューニング業界が不況の中でも活気に溢れている店の一つ、その中駐車エリアにモーターストリートのR35・・・きららの車の姿もあった


ギアを入れず、アクセルオンオフしながら空ぶかしする・・・響き渡るVサウンド、工場にも轟き従業員の注目する・・・


R35から降りる中年の男性。Yガレージ社長 山岡徹 一世代でここまで工場を大きくした手腕を持つ男



「すごいな、別に気にすることのないのに・・・さらに良くなった。間違いなくバラしてバランスを整えたんだな・・・」



降りて感激する山岡にきららが聞く



「やっぱり社長もわかってたんですね、微妙なラフな感じに」


「そうだね。走りに差し支えなのないものだったからな、しかしまあバニシングロータリーとは随分懐かしいネタを引っ張ってくるねぇ記者さんというのは、それに黒川、日本にいるとは・・・」


「社長も知ってるんですね、黒川という人を」


「ああ、海外のチューニング事情とか調べると出てくるね。まあもっともそこまで有名というわけではないけど知る人ぞ知るという感じだね・・・でもこんなレベルが高いとは思わなかった。今の俺じゃここまでできない。」



尊敬とやや呆れた表情をする



「社長にそこまで言わせるなんて・・・」


「もう何年も自分でエンジンバラすことないからねぇ、最近の車の出来もいいけどやってもブーストアップかECUセッティング、メインが外装と整備。90年代とは全然違うよ。」


そう言う山岡に対し、意地悪そうにきららが


「ふーん・・・なら私のRを本気の首都高仕様にしたいって言えば、社長やってくれます?」

きららのR35はYガレージ、雑誌のタイアップ企画で山岡が直々にチューンしたものだ。


「いやいや、十分。これ以上パワーも上げるのも出来るけど使いこなせなくなるよ。」


「いや、そっちじゃなくて足回りとか・・・サーキットでも走れる仕様の足ですけど・・・たぶんそれじゃ首都高、いや環状じゃ踏み切れない。」


「・・・本気であのFDを追うつもりかい。まあ、いいけどね」


きららの決意満ちた目、好奇心に満ちた言葉・・・山岡は本気と感じとった・・・




神奈川横浜 黒川自動車


「お、このドロドロな音・・・ボクサー、来たか。」



黒いBRZが入ってくる、コンパクトカー、軽自動車が並ぶに店に不釣り合いな絵に。



「やれやれ、こんな中古屋にまあ最新で走りの車わな」



BRZから降りてきた影浦・・・



「どうも・・・」


「取材って感じじゃないな・・・裏に回そう、そこがホントの作業場だ。」



黒川自動車 裏側



BRZをガレージに入れた影浦は設備に驚く



「すげぇ・・・エンジン室まで完備って・・ただの中古車屋とは思えないもんだ。」


「うんまあ、あっちは副業みたいなもんだからな。まあ今は本題に入るか・・・」

BRZのボンネットを開ける黒川


「ボンピン付いてるから薄々感づいていたがドライカーボンボンネットか・・・んで中は、ターボキットセットか大体300PS出てんのかこれ。」


「BLITZのキットでブースト圧0.5で280PSって所ですね。筑波とかいい走りするが」


「まあ、首都高全般じゃな・・・環状ならかなりのレベルまでいけそうだけどな・・・ノーマルのポン付けじゃ足りんかそれに公道とサーキットじゃセッティングも異なるからな・・・結花ちゃんとFDを追うなら戦闘力が足りないな」


「黒川さん。あなたならそういう方向に仕上げることができると思って頼みに来ました。あのFDと対等に環状で渡り合えるだけのBRZを作れると・・・」



完全に本気で黒川に訴える影浦・・・それがどれほど正気でないかわかっていながら・・・



「FDを追うか・・・結構時代錯誤で意味がないことだ。だがそれでも追うんだな」


「・・・俺は本物にはなれなかった人間なんですよ、サーキットで速く走れる腕と自信があっても非合法な公道・・・本当のチューンドカーが生きる舞台で、速く走れる人間じゃなかった・・・」


「そりゃ、時代もあったんじゃないかな・・・いわゆる伝説的な存在を持つ人が減ったというのもあるしな・・・男は、伝説と付くものに憧れるか、打ち倒す、挑みたいという気持ちがあるつーか・・」


「あのFDを見てから、挑むというその気持ち・・・いや、目標ですね走り屋の端くれとして・・・」


「いいだろ、面白そうじゃねーか、そういう車に熱い奴は嫌いじゃない。環状SPL BRZ・・・スバルのボクサーはあっちでもかなりやったからな飛びっきりなBRZ、つくろぜ。」




夜 モーターストリート編集部 休憩室



「それで、BRZを預けて来たわけなんですか?いいですかね、あれも一応企画のある車なんですよね?」

紙コップのコーヒーを飲みながら喋るきらら


「メンテという理由でなんとかするさ、もう今週と先週分の先の記事のネタは確保してるからな」

シャドーガゲウラのBRZ日記 そういうコーナーを持っていた車でもあった


「まあ、ただなぁ・・・編集長がなんて言うことやらなぁ・・・」

そうボヤくと影浦の背後から


「か~げ~う~ら~、お前の車どーしたんだー」


「ああ、来ましたよ先輩・・・」



叫びながら近づく、モーターストリート編集長 島田


「いつもメンテ出してるショップにも電話したが、どこに置いたんだよ。」


「あー・・・そこまで調べますかね・・・いや、実はですね。」



顔に手をあて、あちゃ~みたいな表情をする影浦、ことの経緯を話す影浦ときらら

聞いた島田がニヤケ始め



「実に面白そうじゃないか!実に!そうだそれを記事にしろ!環状C1伝説のロータリーマシンとシャドー号!決まりだ!きららぁ!お前がやれ!」


「えええ!?いやいやFD側のオーナーの承諾ないとダメ・・・」


「大丈夫大丈夫!記事にしてしまえばこっちのもんだ。いやー久々にバカな企画ができるぞぉぉ!ふははははは!」



高笑いしながら去っていく島田


「あの編集長あって、モーターストリートだよな・・・たしかに、非合法な公道バトルなんて何年も企画でやってなかったよな」


「でもどうしましょね先輩、協力してくれますかね・・・」


「さあな、そこはお前の仕事だろ、まあガンバ」


「いやいやそんな他人事のように言わないでくださいよ~先輩・・・」



頭を抱えながら休憩室からでるきららと、態度に出さないがワクワクしてる影浦




同時刻 黒川自動車 裏ガレージ



BRZの下に潜り、作業をする黒川



「ズングリしたイメージがあったけど、安定感が感じる印象ありますね。えーと86でしたっけ?」

潜ってる黒川にガレージに入ってきた結花が話かける


「おーいあんまり近くにいると俺が出たときにパンツ見えんぞ・・・それにこいつはBRZだ。」

潜り作業しながらいう黒川


「残念、今日はショートパンツですよ。まあ太ももが堪能できる程度じゃないですかね。」


「おいおいアラフォーのおっさんをからかうもんじゃねーよ」

BRZの下から出てくる黒川


「BRZと86・・・名前違うだけで同じ車なんですよね。」


「ああ、トヨタのスバルの開発でAE86型レビン、トレノの精神を継承的な意味でトヨタは86、ボクサーのB、後輪駆動のR、究極のZ、ボクサーエンジンで究極のFRという意味で付けられたんだっけな・・・セッティングも外装も少し違ったりするんだ」


「へぇ・・・なんというかFDと少し似た雰囲気を持つというか・・・」


「お、いい勘をしてるな。こいつもハンドリングマシンとして作られてんだ。エンジンの搭載位置もフロントミッドシップ・・・FDと同じ発想なんだ。違うとしたらさらに低重心にできる水平対抗エンジンだからコーナーは軽快な動きをするだろうな・・・まあ、ややホイールベースが長いのがネックなぐらいか。」



結花があれってという表情をしながら



「でもそのBRZ、前環状に遭遇した時なんというか軽快という印象がないんですよね・・・動きが硬いというか・・・」


「環状だとそうだろうな、だからいま環状仕様に足とか辻褄を合わせてんたんだ・・・そうだ、少し隣乗ってみるか?言葉で言っても伝わらんしな」


「あら、デートのお誘いですか。」



小悪魔っぽくいう結花



「そうだ、ちょっとジェットコースター気味のドライブデートだ。」




横羽線、浜崎橋JCTから環状線 C1 内回り AM1:00


まだ時間帯的に一般車両が多く走る時間帯の環状線、それを上手くパスしながら駆ける抜ける漆黒のBRZ



「まだ全然車多いなオイ、でもいいなこの車」



汐留S字をかけ抜け、下り、僅かな直線を踏んでいく黒川



「ここでも踏んでいきますか黒川さん!?」


「結花ちゃんはまだまだかなここは!今はオールクリア状態だから行ける行ける!入ったら落とす!」



ボクサーサウンドが響く車内で叫びながら会話する二人、トンネルに入りブレーキングしつつ四速→三速

へ叩き込む、トンネル出口左コーナーに対し左車線から踏む込まずが速度落とさず



銀座~京橋まばらに走る一般車、三速ホールド 分岐帯を抜ける。



「いいねぇ、上のトルクが少し足りないがなかなか悪くないFRターボにしちゃ安定してる」


「前とは全然違いますね・・・前は外から見てましたけど・・・今回は動きが柔らかいというか・・・柔軟性があって息苦しい感じが薄いですね」



江戸橋JCT手前、上り坂になってる所を手前で速度を落とす・・・ありすぎると飛んでしまい運が悪ければお釈迦になるからだ


C1方向、左に入る。コーナー中の速度は日常速度・・・そして合流地点、クリアな状況を把握した黒川


右ウィンカーを出し踏む込む、二速→三速 江戸橋~呉服橋


「こういう継ぎ接ぎで、ギャップがあるだろ首都高って。あんまり硬い足だと踏み切れない場合があるんだでも柔らかすぎるとロールアンダーが起きやすくなるんだ、丁度いい塩梅というか・・・辻褄を合わせる感じで俺はやったんだ。」


「いいですねBRZ・・・なんというか、人と車がまだ対等というか・・・人間がストレートに出ますね」


「それだよ、AE86もそういう人間が出る車だったらしいよ。よく言われんのが運転技術を教える車だっけな・・・」



走りながら車内で会話しながら語る・・・黒川は結花に教えながら・・・アタックスタートした浜崎橋JCT


台場、羽田方面へ



「結花ちゃん、この車は君の追うマシンになる・・・かなり手ごわくなってな・・・」


「黒川さんはそっちの味方ってことですか・・・」



そう言うと微笑みながら



「俺はいつだって君の味方だよ、守ることを守って走ってる限り。いつもの走りを忘れずに」



そして表情を真顔になり



「BRZと君のFDバトル・・・結花ちゃんはもっとこの世界を知ることができる・・・でも降りるのも、走り進むの君の自由だ。」



横羽を駆けるBRZ、大事なことを伝えていく・・・そう教える、そして押し付けはしない。走りは自由であるべきだから・・・

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ