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約束の夫婦星、流星群の日

作者: 黒の人
掲載日:2016/12/23

 周囲に明かりはなく、暗闇の中、空からは小さな光が私達を照らす。

 冷たい地面に二人、寝転がって、空を見上げる。

 強く光る星がふたつ、寄り添っている。

 彼はそれを指して、私に話をしたんだ。

「あの星、まるで夫婦みたいだな。俺、星に興味なんて無かったけど、あの星は好きだ。

俺達は、また会える。あの星みたいになれる。

寂しい時はあの星を見上げると良いさ。

約束だ、あの星空に誓うよ。

そして、また会えたら、たくさん話をしよう。」

 私は、彼の右手を握りながら、星を見る。

 夫婦のように輝く星は、強く、強く光っていて、私達の約束は必ず叶うのだと思った。

「うん、約束ね……。絶対、だからね」



……真夜中の人気の無い道を歩きながら、空を見上げる。

「今日も、見えない……」

 はぁ。と息を吐いた息は白く、吹く風は冷たい。

 見上げる星空には、いつか見た星は映らない。

 どうしても、みたい星があった。

 星が見えなくなると共に、私の願いも叶わないものになってしまったから。

 もしももう一度あの星が輝いて私に光を届けてくれるのなら、もしかしたら……。

 そんな、夢物語のようなことを追い続けてもう何年経ったのだろうか。

 あの星の名前ももう、思い出せない……。


 空が澄んだ日は必ず空を見上げにいく。

 もうすぐ、流星群がやってくるらしい。

 今年は数十年に一度の絶好の条件ということだ。

 空は澄んで、月明かりはない。

 星明かりとはまた違った、一瞬の輝き。

「今年は、見てみようかな……」

 あの時見た星以外、私は興味がなかった。

 けれどこの年、この流星群を、私は見ようと思った。

 なぜかは分からなかった、ただの気まぐれかもしれない。

 だけど、それは何かが起こるんじゃないか、そう予感させた。


……流星群の極大日、私はいつか彼と一緒に約束をしたあの場所で、空を見上げていた。

「何が絶好の日よ、曇ってるじゃない……」

 空には雲がかかっていて、星空は広がらない。

 風が強くて、とても寒い。

 何度も、帰ろうかな、なんて思った。

 だけど私は帰らなかった。

 寒くても、曇り空を眺めるだけの退屈な時間が続いても、それでも私は待った。

 そうしていると、少しずつ、少しずつ空に浮かぶ雲は薄くなっていく。

 強い風に流された雲は密度を薄め、空に少しずつ光が浮かんでくる。

 そして、目も開けられないほど強い風が一瞬吹くと、目を開けた瞬間、空には大量の流星が流れていた。

「すごい……」

 いつもの星空とはまるで違う光景。

 光る星に、数え切れないほど流れていく流星達。

 まるで星達が踊っているようだった。

 一つ、二つ、三つ。

 数えても、数えても、次の瞬間には星が流れていって、そして消えていく。

 追いかけて、追いかけて、そして、見つけた。

「あった……。嘘みたい……。あんなにずっと探して、見つからなかったのに……」

 あの時彼が指差した、夫婦星。

 名前も知らない、二つの星。

 ずっと、私の見上げる星空の中に居たのかもしれない星達。

 あぁ、ずっと失くしたと思っていた。

 だけど、そこに居たんだね。


 空には夫婦星を彩るように沢山の流星。

 眺めていると、遠くから土を踏む音。

 この約束の場所で、約束の星を見つけて、私達は、きっとまた会える。

 そう、約束したから。

 だから、この特別な日に、特別な出会いをしよう……。

 証明するのは、空に広がる満天の星空。輝く流星達。そして、二つの夫婦星。

 だから……。

「……久しぶり。今日は、とっても素敵な日だね」

――私は笑顔で、貴方に会える。

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