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6/6

解説者が絶賛しているスーパーサブ旗野上



交流戦が終わる直前に一軍に上がった俺。

ま、実力ではない。故障者が出たという理由でその穴埋めに俺が選ばれただけ。


スタメンショートの故障。彼は打撃中心の中で唯一、守備も売りにしていた。俺と違ってショート一筋、ショートだけなら俺と互角にやり合える。(負ける気がしねぇけど)

二番手ショートを試してみたが、エラーや守備範囲の狭さが目に付いて結局俺がショートをやることに。


「ショートやセンターの故障者なら、お前がスタメンだと良いな」

「……訊いていいですか、監督」

「なんだ?」

「夢じゃないんですよね?」

「?何を言っている。現実だぞ?」



つい最近、スタメンになった夢を見ているため警戒している。

監督に確認した。夢ではないようだ。ちゃんとスタメンで8番ショートと書かれていた。

そして、試合が始まる。

スタメンの空気、グラウンドの綺麗さを認識した。このショートの場所は俺達が踏み荒らしてしまうだろう。



ゲームが始まった頃。

テレビ中継も始まって、解説者と実況者が挨拶をしていた。



「今日のスタメンです。ショートに今季初めて旗野上選手がスタメン出場です」

「本条選手が故障しましたからねー。昨日出た木ノ内選手はエラーしましたし……ま、旗野上選手は守備が良いから、スタメン起用なんでしょう。打線は好調ですし」




ゲームは2回。



カキーーーンッ



「あーーっと、三遊間。レフト前へ…………」

「お」



パシィッ



「なんと!!?旗野上選手、追いついている!!そして一塁へ!!速い!!アウトォォォッ!!」

「良い動きですね。送球もストライク送球とはさすがですね。それと、少しサード寄りに守っていたからこそ、追いついたと思いますよ。打者は引っ張りやすいデータがありましたから」



旗野上の頭脳プレーによって勢いづく。2回に3点。4回に5点と一方的なゲーム展開になっていく。旗野上は3打数無安打である。

それでも…………



「あーっと!ピッチャー強襲!!サード……いや、ショートの旗野上がカバーに入っている!!一塁送球!!……アウト!!!」

「いやー。今のがヒットになりませんかー。打者も悔しいでしょう」


6回に旗野上のファインプレーで相手の打線を封殺。

そして、8回。



カキーーーーンンンッ



「ピッチャーの横抜けたーー!!」

「いや!!これは」



バジイイィッ



「飛び込んで旗野上キャッチ!!よく捕った!!そして、一塁へ!!アウトォォ!!今日、三つ目のファインプレーです!!」

「か~~。相変わらず、この守備はエグイですね。投手もこれは安心しますよ」



さらには9回1アウト。



キーーーーーーンッ



「ショート頭上!!」



バシィィッ



「ジャンピングキャッチ!!あわや二塁打になりそうな打球を捕りました!!」

「いやーーー。今日は彼が魅せますねーー。これぞ、プロの守備ですよ。ホントに」



しかし、打線が旗野上以上に爆発。終わってみれば15対4という結果。6打点を叩きだした河合がお立ち台に上がった。

ちなみに旗野上は6打数無安打1四球。相変わらず打撃はクソ過ぎる。

とはいえ、本人に自覚はなく、相手からもそれほどマークされないのだが、いつも打者としてウザイことをしているのだ。



ガキィッ


「ファール!」

「くっ…………」


この雑魚打者。いつまで粘りやがる。どんな球も当てるだけに徹しやがって……。お前なんかに8球も使うなんてよ



「いやー。粘りますね、旗野上選手。いい加減にして欲しいものですね。前の打席は三振でしたが、10球も粘りましたね」

「しかし、これもプロの仕事です」

「というと?」

「相手の嫌がることをする。プロというのは勝負に向き合う存在。人間は派手なプレイに眼を囚われがちですが、あーいったプレイができるのもプロなんです」

「なるほど。確かに球数が増えるのは相手投手として嫌ですよね」

「旗野上選手を見ていつも私は思うのですが、完全なプロと言える数少ない選手ですよ」


解説者が絶賛されている旗野上。だが、当の本人にも、新聞やニュースにも彼が取り上げられることはない。守備以外、派手ではなく地味であり、結果があまり見えないからだ。



「ふーー。今日も仕事した」


久しぶりに9回まで守備に付いていた旗野上。普段は守備固めが多いため、疲れている様子。

次の試合、そして次の試合も旗野上はショートでスタメン出場。エラーはなく、ファインプレーを魅せているのだが、16打数1安打、4四球という悲惨な(?)結果から再びベンチ要員に変わった。

だが、プロはスタメンではなくてもプロであり続ける。


それが旗野上という選手なのである。

野球選手としてではなく、チームとしての選手であるのだ。



彼が守り続けられる限り、チームから必要される。プロの世界で生き抜くために今日も旗野上は役目をしっかりとこなす。




春の甲子園やペナントレース開幕とか。色々あって、ついつい書いてしまいました。

本当ならもうちょっと書いても良かったのですか、キリがない事と他作品にも影響が出るのでここでキリます。


野球は好きなので、いつか野球の作品も長編で執筆したいです。

それまでしっかりと腕を上げて、良い作品に仕上げたいと思います。


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