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第二話

登場人物が多いという指摘を受けましたが、一度増えたらしばらく、増えなくなりますので、どうぞお付き合いください。


4月12日ヘスティの服装を一部改編。


「どこから来たの?」

「今、何才なんだ?」

「誕生日いつ?」

クラスの生徒に囲まれながら、レオンはどうしてこうなったのだろうと少し間の抜けたことを考えていた。



時は少しさかのぼる。



レオンは一人教室の外で、タリズマン先生の声が教室内に響くのを聞いていた。

(特別科ってなんだろう?それになんであの人は…)

そんなことを考えていると、教室内から自分を呼ぶ声が聞こえた。

「おい、入ってこい。」

レオンはその声に従い、教室内に入った。

教室にはだんだん上に机が設置してあり、先生が教壇から生徒を見上げる形になっていた。

「おい、それじゃ自己紹介しろ」

「はい」

レオンが教壇に上がると、十人ほどに思われる教室内のほぼ全員が興味津々と言った視線をこちらに向けてきた。

レオンは瞬時に思った。

(帰りたい。今すぐに。)

しかしレオンはなけなしの勇気を振り絞って言った。

「はじめまして、ボクの名前はレオン・フォイボスです。これからよろしくお願いします」

彼が一礼し、そして顔をあげると、クラス内には微妙な空気が漂っていた。

(えっ、ボク何か失敗した…)

レオンは自分のあいさつが何か悪かったのだろうかと考えているが、問題はそこでなく彼の眼鏡である。


教室内の空気を察してか、先生は咳払いをしてから言った。

「え~、今日から一緒に勉強する仲間だ。皆、仲良くしてやってくれ」

どうやら生徒たちにとっては、見慣れぬ転校生に対する不信感よりも、好奇心のほうが強いようだ。

「レオンの席は、ネプトルとへスティの間だ」

それを聞いて焦ったのは、その二人の間にいるファイストだ。

「え、先生。私は?」

「あ~、ファイストは三列後ろのアスタルテの隣だ」

レオンが席と席との間にある階段を上っていくと、その間にファイストが手早く机の中の荷物を鞄につめて席を立った。

「ごめんね。僕のために…」

と、申し訳なさそうにレオンは謝った。

「気にするな。私としても嬉しいしな…」

「はっ…?」

意味がわからずにレオンは頭に疑問符をうかべている。

「気にするな。こっちの話だ」

言い終えると、ファイストはどこか嬉しそうに、アスタルテの隣の席へと移動していった。

レオンとファイストがそれぞれ席に着いたのを確認した先生は、

「よし、これから一時間目の授業を始める。レオンへの質問は休み時間にでもしておけ」

そう言って、授業を始めようとしたが、その時。

パッリーン、ガシャガン、ガッゴン。

ガラスが割れたような音と、何かをたたくような音が、遠くから聞こえてきた。

すると、一人の男性が教室の扉を壊れんばかリの勢いで開け放った。

「せ、先生!タリズマン先生!」

「どうしましたか、リベロ先生」

リベロ先生と呼ばれた男性は、慌てながら言った。

「また、戦闘科のラタとアリスが!とっとにかく今すぐ来てください」

「ラタにはクリス先生が、アリスにはシーラ先生がいれば二人を止められるでしょう」

「クリス先生は先生は風邪で二日前からお休みしています。シーラ先生は…寝坊で遅刻です」

「は…?」

タリズマン先生はいらだたしげに頭をかき、黒板に向かった。

「いいか、おれは今からあの二人を止めてくる。おれがいないからって、あまり騒がしくするなよ」

黒板に“自習”と大きく書いて、タリズマン先生はリベロ先生と一緒に走って出て行った。




こうして話は冒頭の場面に戻る。




タリズマン先生が教室からいなくなった途端、クラス内の生徒がレオンに群がった。

そして次々と、質問をぶつけている。

あまりの遠慮のなさに混乱する頭で、それでもレオンは質問に答えようとした。

しかし、その時ミネルヴァが机をたたきなが立ち上がって言った。

「ちょっと!あなた達、レオン君にひっきりなしに質問して、困っているじゃない」

ハッと目が覚めたように、クラスメートたちは困惑しているレオンを見つめた。

「だから、質問はひとつずつにして、ついでに自己紹介もしておきなさい」

それを聞いた途端、褐色の肌を持つ黒い髪の少女が大きく手を挙げた。

「はい!レオン君に質問です。今、いくつですか?出身地はどこですか?」

レオンはどもりりながら答えた。

「えっと…。歳は今…というか、今年で十六歳になります。出身地は北の辺境のほうです。ところで、あなたは?」

少女ははにかみながら名乗った。

「あっごめんごめん。私の名前は、アスタルテ・ピ・アーチェ。十八歳の先輩さんで~す」

次に話しかけてきたのは隣の席のネプトルだ。

「よし。次は俺の番だな。俺はネプトル・ピアンテ。よろしくな。お前、何月生まれ?」

「えっと…、ボクは太陽の月ですけど…」


この世界の暦は一年が十二個の月に分けられていて、次のように名づけられている。

雪の月。石の月。歌の月。花の月。鳥の月。星の月。森の月。太陽の月。月の月。泉の月。鐘の月。灰の月。

また、この学園が存在するクオーラ地方には四季が存在し、歌の月から鳥の月が春。星の月から太陽の月が夏。月の月から鐘の月が秋。灰の月から石の月が冬である。

一年の始まりは雪の月からだが、この学園は花の月から始まることになっている。


「へえ~、そうなんだ。あっ俺は森の月生まれだぜ」

すると、今度はファイストが質問してきた。

「私はファイスト・ロ・カーレだ。お前はこのクラスに来たからには、能力アビリティ持ちなんだろう。どんな能力アビリティなんだ?」

レオンは小さく首をかしげて言った。

能力アビリティって何?」


ピシッ。その時、クラス内の空気が凍ったようにレオンには感じられた。


「あんた、能力アビリティを知らないの?」

そうレオンに話しかけてきたのは、さっき先生にヘスティと呼ばれていた少女だ。

彼女は緑色の目を持っていて、同じ色をした髪は猫のように跳ねている。

「へ…。え、え、なんて格好しているの」

レオンは正直に言うと目のやり場に困っていた。ヘスティはミネルヴァほどではないが、出ているところは出ていて、引っ込んでいるところは引っ込んでいる。そんな体型をしている彼女が、制服を改造し、肌を広く見せている。これではレオンが戸惑うのも当然だった。

「ちょっと、そんなことよりも、あんた本当に知らないの?」

(そんなことって…)

レオンはそう思いつつも律儀に答えた。

「えっと、ボク、実はここの理事長に入れって、半ば強制的に入学させられたから、本当に何も知らないんだ…」

クラス内に漂う納得といった雰囲気と、自分に対する憐みの視線の中レオンは思った。

(えっ…。何この空気)

へスティはレオンの肩を軽く叩いて言った。

「そっか、あんたもあの理事長の被害者なのね…」

(へ…被害者?それに、あんたも…って?)

レオンが考えていると、その疑問が顔に出ていたらしく、へスティが説明を始めた。

「あ~。あそこの席のダイアナもあなたと似た様な感じでこのクラスに入ってきたからね」

へスティはそういうと、最後列の右から二番目の席に座っている少女を指差した。

指差された少女は窓の外の木を見ていたらしく、我に返った様子で言った。

「…えっと、ごめん。何の話だったけ?」

ヘスティはさっきの話を簡単にまとめた。

「だから、こいつがあんたと同じだって話」

少女は何度か瞬きをし、驚いた声で言った。

「えっ…。私と同じってことは」

ヘスティは肯定するように首を縦に振った。

「うん、まだ何も分かってないだろうね」


話についていけていなかったレオンが慌てて口をはさんだ。

「ごめんなさい。あの、何の話ですか?」

へスティが慌てて話を戻した。

「あっと、ごめん。あの子、ダイアナもね、理事長に無理やりに連れてこられたんだよ。最初のころは、能力アビリティにも目覚めていなくって、本当に大変にだったよね」

ヘスティはどこか遠い目で、そう言った。

へスティの近くに降りてきたダイアナも説明に加わった。

「うん、あの頃の私は自分には何もできないって諦めていたからね。改めまして、私の名前はダイアナ。

ダイアナ・フレイバードっていうんだ。よろしくね」

そういったダイアナがほほ笑みながら右手を出してきたので、レオンはそれに応じて握手をした。

「あっこちらこそ」

こうして和やかな空気が教室に広がりかけたのだが、

「おい、ダイアナ。そんな奴と握手をする必要はない」

教室内に吹雪が吹き荒れたと錯覚するほどに、冷たい一言が放たれた。




書きかけの文でも消えるのって悲しいですね。


ご指摘ありましたらよろしくお願いします。


月については、日本で言うと

一月=雪の月。二月=石の月。三月=歌の月。四月=春の月。五月=鳥の月。六月=星の月。七月=森の月。八月=太陽の月。九月=月の月。十月=泉の月。十一月=鐘の月。十二月=灰の月。

となっております。


学園は日本で言うと四月から始まっています。

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