ご飯派
「雅史朝はパン派?ご飯派?」
挙動不審なあたしは無心にティッシュを千切りとばしながらどうでもいいことを聞く。
「ん~どっちでもいいけどあえて言うならパン派」
雅史はあたしが千切って散らかしたティッシュをゴミ箱片手に拾い集めてる
「あたしはご飯派」
「じゃ俺もご飯派」
「…ついさっきと違うくない?」
「俺気が変わるの早いから」
「…ふぅん」
ビリビリにしたティッシュを丸めて放り投げる。すかさず雅史それをキャッチ。
「だってさ、好きなの違ったらみー朝ごはん作りにくいでしょ」
ティッシュを破るあたしの手が、止まる。
「俺女の子の方がいいな。ついでに言うと俺似よりもみー似の方が可愛くなりそうで嬉しい。家はね~緑のたっくさんあるところに一戸建てを建てて~…あっ!こういうのって親に挨拶しに行かなきゃならないんだっけ?!」
やべっしまったッと騒いでいる雅史の名を、呼ぶ。
「…雅史」
「ん?」
「…気づいてたの…?」
「俺こういう勘は鋭いから」
雅史はにっこりと嬉しそうに笑う。
「頑張ってねママ」
頑張るわよ。愛しいパパとお腹のこの子の為なら。
「瑞穂愛してる」
真面目な顔で言ってくるから一瞬ドキッとして、でもその後「ね、ね、今かっこよかった?カッコよかったでしょ?ね!」なんて言うから台無し。でもそんな雅史が好きなんだけど。
「翔君よりも俺のほうがカッコいいでしょ」
「…なんでそこで翔君が出てくるの」
「ライバルだから」
「は?」
「でも渡さないよ?みーは俺のだし。既成事実も出来たし」
そう言ってあたしのお腹を優しく撫でた。
「みー、ちょっとこっち向いて」
不意に手をとられて、見ると雅史の手にはシルバーのリング。
「俺大人じゃないし、歳結構離れてるし、仕事であんまかまってやれないかもしれない。でも苦労は絶対させない。きっと幸せにするから、斉藤瑞穂になってください」
リクエストを頂いて。結構前に書いたものです。
珍しく、ほのぼのの恋愛系です。
殺伐としたものばかり書いているせいか、今はこういう恋愛系が書きたい気分です。