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学校

俺は更衣室の前で深呼吸し、中に入って行った。なぜたかが更衣室に入るのにこんなに覚悟がいるのかというと。

俺達1年生のロッカーは更衣室の中でも一番奥にある。1年生は3人だから、3つのロッカーが並ぶ。その一個手前に2年生8名分のロッカーがあり、一番手前に3年生5名分のロッカーがある。1年生のロッカーにたどり着くまでには2・3年生の前を通過せねばならない。それがどうしたか?俺にとっては重要な問題である。その問題を回避するために、俺はいつも真っ先に更衣室に駆け込み、2・3年生が入ってくる頃に出るということを繰り返していた。お陰さまで着替えるのが早くなった。

で、その問題とは。

モテるのだ。先輩に。

そこ、笑ってはならない。重要な問題である。


そんな訳で俺は覚悟を決め、更衣室へと足を踏み入れた。まず最初に鼻をつくのは防具にしみ込んだ男の汗の臭いである。その臭いをやり過ごし、俺は忍び足でロッカーへ向かう。だが。こんなことで見逃してくれる先輩達ではなかった。

「拓哉~~!!」

「ぐええええ!!!」

重い。当り前だ。中学生の男子が一気に伸しかかってきたのだから。誰かの手が俺の髪をグチャグチャにし、誰かの手が頬をつねる。同級生の金子と平松は苦笑い。くそ、裏切りやがって。

「拓哉~、ホンットお前は可愛いな~」

「全くだ。俺の学年の女子よりはるかに可愛い。」

「食べちゃいたい!!」

皆さん、語尾にハートマークが付いている。なんとかそこから抜け出し、ロッカーの前にたどり着く。

「拓哉~、着替えるのかぁ??」

「何ッ拓哉が着替えんのか!」

何故に集まる。いくら童顔だからといえ、俺だって中学生の男子だぞ。そんな奴の着替えになぜ人が集まる。

「先輩方、何故にお集まりに…?」

「そんなん拓哉が好きだからに決まってんじゃん。な?」

「YES!」

あ~、揃ってるよ。素振りのときの掛声さえ揃わないくせに。俺はうんざりして溜息をついた。

「拓哉、何溜息ついてんだ?嫌なことでもあったのか?」

はいはい。いい加減にしましょうね。


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