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幕間 寄る者離れる者

 ルガードの拳とワイズの剣にフォーの広域殲滅技。その3つが次々召喚される雑魚を出た傍から蹴散らしていく光景は確かに珍しく爽快だが、さすがに5分も続ければ指が痛くなってくるし目も疲れる。……いや、フォーの中の人に限ってはクールタイムの間何もしてないので、まだ大丈夫かもしれないが。

 そんな事を考える辺り既にこの戦闘に飽きてきたんだろうな、とルガードの中の人は思うと、中の人用のチャットで発言する。


『そろそろ疲れた。いったん止めにしないか』

『えー。このボスまた湧くまで結構時間かかるよー?』

『ごめん、僕も同感だったりするよぉ。勢いがあるだけにねぇ』


 そう言っている間も次々と雑魚モンスターが殲滅されていく。予想通りというか何と言うか、渋っているらしいフォーの中の人をどう説得するべきか、と中の人が頭を悩ませていると、ふと中の人用のメールボックスに新しいメールが届いている事に気づく。


『すまん、しばらく外す』

『りょーかいー』


 簡単に離脱を宣言すると、フォーの中の人の緩い返答と共にフォーが『ブロック』+『ハードバッシュ』で群がっていた雑魚の大半を殲滅した。バックステップを何度か繰り返して距離をとり、ルガードをしゃがませて回復させる。

 その間にメールを確認する。差出人の名前に心当たりは無い。

 なんだ、また戦闘中断目的の迷惑メールか。そう考えて、それでも一応開いて中身を見てみる。


『どーもー。サーシィスこと入り口で転がってた三毛猫デス。いや、掲示板確認して御見それシマシタ。戦闘見させていただいてもウチらより数段派手な戦い方されてマスし。あ、言い忘れてマシタ。こちらアサシンと光術師、コンビ組んで三ヶ月目。闘士&魔法剣士とお見受けシマシタが、こちら2人パーティに加えてもらえマセンか?』


 何で丁寧語部分がカタカナ変換になってるんだ。と思う中の人。

 しかしパーティバランスのみを考えれば悪い話ではない。現在2人の“マーチ”に欠けている内致命的なのは広域攻撃とトラップ解除要員。その両方をこなせるフォーがいる間は良いが、彼女は中の人の反対で“マーチ”に入らないのは確定だ。

 それでいくと、盗賊系流派が必要な暗殺者(アサシン)と、広域魔法攻撃を得意とする光属性魔法の使い手である光術師が固定メンバーに入ってくれるのは非常にありがたい。


『ワイズ』

『早い事戻って来てくれないかなぁ。いつまでもフォーちゃんの攻撃よけながら敵潰すのしんどいんだけどぉ』


 とりあえず相談しようと中の人用のチャットを開けば、開口一番文句を言ってくるのをスルーして、次の文章を打ち込む。


『さっきの……というかこの間からのあの2人なんだが、アサシンと光術師だったらしい。パーティに入れてくれないかと聞いてきた。一応役には立ちそうだし、今はフォーもいて大概の失敗はリカバーできるが、試してみるか?』

『……ふーん、確かに格好もそれっぽいし、まぁ、悪くは無いかなぁ。とりあえずそうだね、僕らが休んでる間の現状維持やってみてもらおうかぁ? フォーちゃん1人だとボスごと全部潰しちゃうしぃ』


 ワイズの中の人からの返答は、テストをしてその結果次第、という事だった。……フォー1人に任せられないのは敵が溢れるからではなく、ボスモンスターの自動体力回復(オートヒール)能力を上回るダメージを与えてしまうからだ。

 手加減して攻撃の回数を減らせばいいのだが、この群れを1人でさばこうとするとそうもいかない。結果ボスモンスターが死んでしまい、稼げなくなる、という訳だ。

 とりあえずルガードの中の人は先程のメールに会話の内容をほぼそのまま書き写して返信した。ややあって来た答えは、


『おっけーおっけー、そんなん余裕やし。任せといて!』


 何だか一気に気安くなっていた。とりあえずそのままワイズの中の人に伝えると『実力示してから親しくなってほしいよねぇ……』といううんざり気味のもの。気持ちは分かる、と画面のこちらで頷く中の人。

 パーティメンバーなら全員見れる設定でチャットしていたのでフォーの中の人にも状況の変化は伝わっている筈だが、一応頼むに越した事は無いので念を入れておく事にした中の人。


『と、言う訳でフォローの方を頼む』

『死んでも復活させなくていいからねぇ』

『また面倒な仕事をー。後で追加料金取るから覚悟するようにー』

『そんな理不尽なぁ』

『まさしく理不尽だな』


 余裕をもって受け流しつつも、その返答に、思わず画面のこちらで顔を引きつらせてしまったのは秘密である。

 大丈夫です。明日には終わります。

 ……色々としこりが残るかもしれませんが、その時はまた別の機会に(マテ




 サーシィスとキャンドラのコンビ活動期間を修正しました;

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