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プロローグ その世界は眠りに落ちる

『じゃあまあ、頑張って下さいね。 また何かあったら連絡ください』


 ある日の夜、いつものようにゲームを起動して所属しているギルドの掲示板を覗くと、そんな書き込みが残されていた。ニュースの所を見れば、そっけないシステムメッセージが、先程の書き込みの主がギルドを脱退した旨を告げている。

 同時に、ギルドマスターの権限が私のキャラへ譲渡された旨も告げられていた。

 これが委任ではなく自動的に行われた、という辺りに一抹の寂しさを覚えるが、メンバーの中から選ばれて委任された、となれば全力で辞退していただろうから仕方ない事だ。


 現在、このギルドのメンバー数は1。

 つまり、私のキャラ=fortuna、通称フォーのみだ。


 ギルドの崩壊、というのは、サービススタートして長いこのブラウザ型ゲーム『Free to There』ではもう珍しくない。現在生き残ってまともに活動しているいるギルドなんて、精々上位ランカー達が形成し戦争を繰り返している因縁のよほど深い一部か、果てが無いんではないかと思う程のやり込み要素を探求する物好きの集団くらいだろう。

 ましてやフォーが所属しているのは繋がりも緩いまったり系ギルド。新規参入者もいるのかいないのか分からない現状、初心者歓迎なんて文句は「狩ってください」と言っているようなものだし、狩られるのを待つばかりの状態では長続きしない。

 ……実際、何人かのメンバーは上位ランカーの食い物にされていた。ただただ集めたアイテムや経験値を奪われ続ける事が楽しいかと聞かれれば、答えはNOだろう。そして、楽しくないゲームはやる価値なんて無い。


 そんな訳で、元々緩かった為に崩壊するのも早く。

 そうやって瓦解が決まったギルド。それを、フォーがたった1人、引き継いだ。


 特に何か展望がある訳ではない。1人から再興する為に意欲を燃やす、という訳でもない。それどころか、何かやりたいと思ってもいない。

 ただの、小心者らしいくだらない理由で、私はギルド『ミスラの庭』を引き継いだ。




 その、おおよそ2ヶ月後。

 『Free to There』は3周年を迎えると同時、終了が決定した。

 いろんな話を読んでいると、つい……

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