お手伝い
ひだまり童話館第36回企画「ぱちぱちな話」参加作品です。
ぼくは陸。小学校二年生。ふふん。二年生になったから、ぼくは先輩だ。一年生の面倒を見るんだ。そんなことを考えている時、教室に残っていたぼくたちに、先生が声をかけてきた。
「陸くん、貴司くん、低学年の集会の書類を作るのを手伝ってくれる?」
「もちろんです!」
貴司は、ぼくの友達だ。お互い目を合わせて頷き、ぼくたちは先生の手伝いをすることになった。
ぼくは先輩になったんだから、後輩のことも考えないとね!
先生がぼくたちに頼んだのは、プリントを束ねること。つまり、紙と紙をくっつける。ステープラーって言う機械を使うんだって。
「手元に気をつけてね」
「はい!」
先生に言われたことに注意して、ぼくたちはステープラーを手に取った。そして、プリントを束ねる。
ぱちん
ぱちん
気持ちのいい音が響く。ぼくは、続けて作業をした。
ぱちん
ぱちん
ぱちぱち
ぱっちん
少し音がおかしいような?
ぼくたちは首をひねった。それでも続けて作業をした。
ぱちん
ぱちん
何だ、大丈夫だ。ぼくはまた続けた。
ぱちぱち
ぱっちん
またおかしな音がした。
ぼくと貴司は、先生に言った。
「先生、これ壊れてるよ」
ぱちぱち
ぱっちん
「ほら、変な音がする」
「本当ね」
先生は、他のステープラーを、ぼくたちに渡してきた。「これは新品だから大丈夫よ」
ぼくたちは喜んだ。「新品」の言葉に。ぼくたちは、そっと新品のステープラーを手に取った。それはピカピカしていて、ぼくたちを歓迎しているようだ。
ぼくたちは、おそるおそる力を入れた。
ぱっちん
ぱっちん
綺麗な音が響く。
ぼくたちは嬉しくて、どんどん作業を続けた。そうしたら、あっという間に終わってしまった。
「あら、もう終わったの?」
先生に言われた。ぼくたちは、新品のステープラーを使うのが嬉しかったから、夢中で作業をしてたみたいだ。
「とても助かったわ。二人ともありがとう」
先生に言われて、嬉しくなった。
「いつでも手伝います!」
「ありがとう」
先生の嬉しそうな答えが返ってきた。
ぼくたちは、作業が楽しかったから、走りながら帰った。
「また新品のものを使わせてくれるかな」
「そうだったら嬉しいね!」
これでぼくは、後輩の役に立ったかな。それなら嬉しいな。