おふだの代わりに一万円札貼ったら効果てきめん
俺はAKURYO。
相方の黒髪ロングの爆乳美女(常に白いワンピース姿)の先輩AKRYUOと共に、人間のクズどもを呪い殺す仕事をしている。
とある地縛霊のお願いで、悪いことを散々してきた悪人を殺しに来たのだが……。
「あの……先輩。これは……」
「ええ、初めてね。こんなの」
俺と先輩はターゲットの家の前で立ち尽くす。
壁と言う壁に一万円札が大量に貼り付けられた豪邸。
どうやら『おふだ』の代わりのようだ。
「こんなもので俺たちを止めようっていうんですかね」
「あら……知らないの?
一万円札って魔よけの効果があるのよ」
「えっ⁉ マジっすか⁉」
意外だった。
一万円札には特殊な念が込められており、幽霊が触れると静電気でビリッとするくらいのダメージが入るらしい。
あまりに大量に貼ってあるので、さすがの俺達でも侵入は難しい。
「出直します?」
「ちょっと待ってて」
爆乳先輩はスマホの幽霊を取り出し、仲間と連絡を取り始めた。
「いったい何が始まるんです?」
「人間を使うわ」
「え? そんなことできるんですか?」
「一部のAKURYOは人間と意思疎通ができるからね。
クズを洗脳して操り人形にしてるの」
なにそれ、こわい。
やっぱり俺たちはAKURYOなんだなぁ、って思ってたら……あちこちから人の気配がしてきた。
「ほんとだ! SNSに書いてあった通りだ!」
「家に一万円札が大量に貼ってある!」
「取り放題だ!」
AKURYOネットワークにより召喚された人間の屑共が大量に群がって来る。
やっぱり爆乳先輩ってすげぇ、改めてそう思った。
クズ共は家に群がって一万円札をはがしていく。
おふだの代わりに一万円札貼ったら効果てきめんだったのはAKURYOに対してだけ。
生きた人間には無意味だったな。
「そろそろね、行くわよ」
「はい」
俺と先輩は揃って家の中へ。
壁をすり抜けて安らかに寝息を立てているターゲットを呪殺。
木っ端みじんに爆発四散。
これで任務完了だ。
「いやぁ、それにしても。
一万円札がおふだの代わりになるなんて。
意外でしたねぇ」
「それだけ人間たちがお金にかける気持ちが強いのよ。
私たちAKURYOを撃退してしまうくらいにはね」
先輩によると、人々の念が強く込められた物は特別な力を持つという。
一万円札もまた人の業を背負った存在なのだ。
「あの……お金って……」
「怖いわね」
「…………」
「なによ?」
爆乳先輩はノリが悪い。
でも好き。
お金はおっかねぇなぁ。