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新しい家族

新連載1日目、集中投稿!


 

「おはようございます、お母様……とお父様」


 階段を下っていくと、4人用の机と椅子にエプロンを身に着けた母ともじゃもじゃの髭をかいている男が座っていた。その男はきっと父なのだろうと察し、俺は後ろに付け加える。


「おはよう、アラン。何故今日は敬語なんだい? 何か悪いことでも働いたのか?」


 おっと、早速やってしまった。俺が転生する前の少年は両親に敬語を使わない者だったらしい。俺は「はは……」と微笑んで適当に誤魔化す。


「はい、今日はクリームシチューよ。冷めないうちに早く食べなさい」


「おっ、今日は僕の好物クリームシチューか。やったね! あ、おはよう。アラン」


 玄関を開けて入ってきたのは俺と同じ茶髪に黄色の眼を持った活発そうだが、同時に冷静さを兼ね備えてそうな少年だった。と言っても相手の名前も年齢も分からない。


 魔力が沢山あるのなら【魔力分析】を使ってその人の姓名や年齢、職業など、詳しく見ればスキルまで分かるのだが、魔力消費が激しく、今の俺の魔力では使用できない。俺がわざわざ鏡に魔力を注入したのも、こちらの方が低燃費だからだ。


「お、おはよう……えっと、どちら様でしょうか?」


「はは、アランも冗談を言うんだね? 僕はエイン=ファルオード、偉大なる勇者さ。なんてね」


 エインは金色の髪をした爽やかそうな顔つきだった。大きい目は青色に光っており、垣間見る笑顔が何とも美しい。


 ──これは世の中の女子が放っては置かないだろうな。


「ああ、そうだった。すまん、エイン兄さん」


 そういうとエインは少し笑った後、「以後お見知りおきを」と一声上げ、好物らしいクリームシチューを美味しそうに頬張る。どうやら言葉の使い方は合っていたようだ。


 ──さて、俺も食べるとするか。


 さあ、転生後のこの世界では食べ物はどんな風に進化しているのだろうか。朝の目覚めでのフカフカ布団のお陰で目の前のクリームシチューが楽しみで堪らない。俺は木製のスプーンを掴み、とろみの利いたシチューを掬い、そのまま口へ運ぶ。


 ──こ、これは!?


 コクのあるスープに程よい硬さ、厚さの具材、そしてアッツアツのアッツアツである。これはこれは絶品である。俺は満足して喉の奥に流し込むと、体の奥底から何やら力が湧いてくる。

 俺はある予感を感じ、試しに【魔力分析】を使ってみる。すると、【魔力分析】は正常に動作し、父や母の頭上に彼等の情報が文字になって浮かび上がっている。


 ───────────────────────

【姓名】グラン=ファルオード(父)

【年齢】33歳

【職業】農家


【姓名】レイニー=ファルオード(母)

【年齢】32歳

【職業】農家

 ───────────────────────


 俺は【魔力分析】を終了し、もう一度クリームシチューを食べる。すると、また体の奥底から力が湧き出てくるように感じた。やはり俺の予感は正しかったようだ。このクリームシチュー、食べれば魔力を増幅&回復させる。


 少なくとも【魔力分析】には魔力が100は必要。俺の元々の魔力は36、それに鏡に魔力を注入させたので、現時点での俺の魔力は18のはず。


 しかし、ここで俺が【魔力分析】を使えてるということは、俺の魔力が既に100を超えていると言うことになる。

 文明が進歩し過ぎているのか、それともこのクリームシチューが特別なのか。恐らくは前者の方だろうが、とにかくこの時代の文明を知る必要がある。


「ご馳走様」


「アラ、もう良いの? 何時もならおかわりするのに……」


「今日は食欲が無いんだ。あの、この世界の歴史について書かれた本ってある?」


「それなら2階の書斎にあると思うわ。でも、一体何に使うの?」


「いや、ちょっとね……」


 俺は食べ終わった食器を片付けると、余計な質問をされないよう急いで2階に上がり、書斎を探す。この家は2階建てのようで、見たところ2階に部屋は4つある。1つは俺の部屋、この部屋は階段を上がった所にあり、そこから廊下が続き、右から順に両親の寝室、エインの部屋、そして書斎だった。


 俺は書斎への扉を開けると、保管されている本の量に驚く。見える範囲だけでも1000冊はあるだろう。俺はその中から『この世界の歴史』という題名の本を見つけ、本棚から取り出した。


第3話は今日の21時に更新致します!

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