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魔剣ディアグレデス

 

 サラは俺の突然の質問にきょとんとするが、すぐにいつもの顔を取り戻すと口を開いた。


「……にわかには信じられないけど、アランが勇者だと言うのなら、さっきの強さの理由は納得出来るわ」


 ──やっぱりサラは優しいな。


「俺が勇者だった時の話に、興味はあるか?」


 サラは1度だけ頭を縦に振る。

 俺はサラに全てを話した。勇者として生まれた日から、魔王を倒し、500年後の世界に転生してしまった日まで、俺が覚えている限りの全てを話した。


「そんなこと、私なんかに話しても良かったの?」


 サラは俺の話を聞き終え、俺に変な質問をしてきた。「サラだから言ったんだよ」と言ってやると、彼女は少し頬を赤く染めて、「あなた、私の事が好きなの?」と聞いてきたが、俺はその質問の意図が分からず、頭にクエスチョンマークを浮かべながら首を傾げた。


「まぁ、話を変えて……さっき話した通り、俺は【魔剣探し】をしているんだけど、魔剣のある場所に何か心当たりはないか?」


「心当たりは……あるにはあるけど……」


 サラは突然言いにくそうに話す。俺はそれが逆に引っかかり、もっとはっきりと言え、と催促する。何度も言い続けている8回目くらいでサラはようやく折れてくれ、はっきりと言葉にしてくれた。


「魔剣の場所は、1つだけ知ってる」


「おぉっ! そこはどこだ!?」


「わ、私の家の地下、ガラクタが置かれた物置場所……」


「あぁ!?」


 俺は予想をはるかに超えたサラの回答に少し混乱する。

 サラは「ついて来て」とだけ言うと、家の中へと入っていくので、家の前で倒れている血だらけの男を10メートル先の所まで投げると、玄関扉を閉めてサラについて行った。


 15歩程歩いた後、ぴたっと彼女の足が止まった。ここから先は下り階段のようだ。再び彼女の足が進み俺も足を進めるが、石の階段に苔が生えており、ヌルヌルしていて非常に歩きにくい。これだけヌルヌルしていると、注意しないと滑って転倒してしまう──


「うわぁっ!」


 俺の予想通り、サラは足を滑らせてしまった。俺は必死に手を伸ばして支えようとするが、あと一歩の所で届かない。俺がどうしようか考えている間にも、彼女の体は下へ下へと落ちていく。


 ──これしかない!


 俺は大きく踏み込んで宙を跳ぶと、どうにかサラに手が届き、自分の方に引き寄せる──が、俺達は重力に逆らえず、悲鳴を伴いながら下に向かう。


 すると、目の前に石の床が広がり──こんな短時間では魔法も発動できず、咄嗟のことで飛び出したので上手く着地など出来るはずもなく──俺はサラの体だけでも守ろうと、彼女に抱きつくように覆い被さりながら石の床に激突した。


 俺は床との接触部となった背中に激しい痛みが流れ、「うぎゃぁッ!」と思わず変な声を出してしまう。

 俺は強打した背中を擦りながら、俺の体が防護の鎧となり、無傷だったサラに目を向ける。


「サラ、大丈夫か? いやぁ、我ながらすごい発想だったよ! 魔法も使えないあの状況でサラを無傷にしたのは誇るべきだと──」


「……うるさい」


 サラは顔を隠したまま、俗に暴言と呼ばれるものを吐いた。


 ──へ? いや、もしかしたら俺の聞き間違いかもしれないな。まさか、この状況で暴言を吐かれる訳が──


「……うるさいって言ってんの。女の子の体を気安く触るとかサイテー! この馬鹿! 阿呆!」


「なっ!?」


 俺は先程の倍以上の誹謗中傷の言葉が帰って来たことに驚き、ショックでしばし放心状態に陥る。わざわざ自分の体を犠牲にしてこの言われようか。男という生き物は散々だ……


 それにしても、さきほどちらっと見えたサラの顔が異常に赤かった気がしたが……まぁ気のせいだろう。


 俺達は今度は滑らないように慎重に歩き進め、遂に地下の物置場所に到着した。サラは無言のまま乱雑に置かれた物等のいたる所を漁り、どんどん奥へと入っていく。俺が入口付近で待っていると、サラが何やら細長い物を随分重そうに運んできた。


「あったわよ。これが伝説の7つの魔剣の1つである、【魔剣ディアグラデス】よ」


いよいよ1本目の魔剣登場!!

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