勝利、そして……
新連載開始致しました!
どうぞよろしくお願い致しますm(_ _)m
半壊した魔王城で、俺『勇者アラン』と『魔王ゲイメル』は対峙していた。灰色の雲から降り注ぐ雨のおかげで濡れている剣を構え、叫び声と同時に剣を突き出していく。
グサッ
剣は見事に魔王の心臓辺りに突き刺さり、大量の血を吐いた後、彼は無惨に倒れた。
「勝った……勝ったぞぉぉぉ!!!」
俺は息を引き取った魔王の亡骸の横で天に向かって叫ぶ。約20日の決戦の末、ようやく勝利を手にしたのだ。これを喜ばずして何を喜ぶのか。と俺が歓喜に包まれていたのも束の間──
『魔王ゲイメルの死亡を確認。よってゲイメルの所持している7つの魔剣を勇者アランに授与します』
「は!?」
突然聞こえてきた謎の声に俺は驚く。どうやら魔法を発動させた時に流れるシステム音声のようだ。先程の音声の内容からして、ゲイメルの持っていた7つの魔剣が俺の物になるということだ。どうやらゲイメルが死んだと同時に魔法が発動されるようになっていたらしい。しかし、何故そんなことを……
いや、今それを考えても簡単に答えは出ない。先に優先すべきは国の皆に勝利したと伝えることだ。
俺は7つの魔剣を【収納魔法】を発動する。【収納魔法】を発動すると目の前に半径1メートル程の闇を纏った穴が現れ、そこに物を入れることで自分が作り出した異空間に収めることが出来るのだ。
俺は7つの魔剣を収納し、帰還の第1歩を踏み出したその時──踏み込んだ所がガゴンと沈む。
『魔法【強制転生】が発動されました。直ちに勇者アランを強制転生させます』
「な!?」
どうやら魔王城に仕掛けられていた罠をうっかり発動させてしまったようだ。それも【強制転生】の魔法が発動する罠を。
……え? 結構やばくないコレ?
と、その瞬間、俺の目の前に白い光が出現し、それは強さを増して徐々に俺の視界を奪っていく。やがて俺は意識を手放してしまった。
■
「……アラン……アラン、いい加減起きなさい!」
「うわっ!!」
俺は突然の大声に反応し、咄嗟に素早く起き上がる。俺は6×6メートル程の個室に設置されたベッドの上に居た。俺の下半身にはとてつもなく気持ちの良いフカフカな掛け布団が掛けられており、目の前には怒った顔をして睨みつけてくる見知らぬ女性が立っていた。
「朝ご飯よ、さっさと降りて来なさい!」
その女性はそう告げると、階段を経由して下層へと降りていった。さて、このフカフカな掛け布団や見知らぬ女性が馴れ馴れしく俺の名前を呼ぶ理由は1つだけだ。俺はもう転生を果たしているようだ。
そうと決まればやる事が沢山ある。まず初めに自分の体の状態確認だ。俺は個室の隅にポツンと置いてある長細い鏡を見つけ、そちらに近づく。
鏡に映った姿は、少し赤みがかかった茶色の髪にクリンとした黄色の眼を持った10代くらいの少年であった。
続いて確認するのは能力だ。能力と言っても体力や魔力の基礎能力から特別な条件を満たすことで得ることが出来るスキルまで幅広い。能力を確認するのは簡単だ。体全身が映る物に魔力を少しだけ与えてやると、能力が数値や文字となって浮かんでくる。
俺は鏡に手を当てると、指先から魔力を注入する。すると、鏡に波紋が浮かび、能力が表示される。
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【姓名】アラン=ファルオード
【年齢】12歳
【職業】市民
【基礎能力】
・体力82/82
・魔力18/36
【スキル】
・火炎IV
・流水IV
・轟雷IV
・魔力吸収Ⅰ
・魔剣操作
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「名前は変わりないけど苗字が変わってる。年齢は12歳、職業は……勇者じゃなくて市民か」
スキルの方はは勇者専用のもの以外は殆ど変わりないが、基礎能力がとにかく低い……2桁の基礎能力なんていつ以来だろうか。取り敢えず日々の体力&魔力底上げ特訓は欠かさないとして、一応スキルの詳細の確認をしておこう。
【火炎IV】・【流水IV】・【轟雷IV】は確か火・水・電気関連の魔法を使用する時に消費する魔力が半減されるという効果だったはず。
【魔力吸収Ⅰ】は魔力を持った生物である『魔物』を倒した時に少しだけ魔力を吸収するという効果だった。そして勇者関連のスキルが11個程失われたとして……問題はこれだ。この【魔剣操作】というのは全く見覚えがない。
俺は鏡に映っている【魔剣操作】の文字に触れて詳細を確認する。
──ふむふむ……なるほど。
【魔剣操作】とは魔剣を所持している時のみ与えられるスキルで、その魔剣の本来の力を解放・操作することが出来るらしい。
──って、そう言えば魔剣はどうなったんだ!?
転生前に所持していたものは一体どうなったのだろうか。俺は【収納魔法】を繰り出そうとするが──
「魔力不足……やっぱり転生してすぐじゃきついか……」
俺が落胆して溜め息を漏らしていると、下層から母──なのだろう──の俺を呼ぶ声が聞こえて来る。
【魔力回復】スキルを持つ【シスター】や【ヒーラー】でも居ない限り、魔力を回復するにはどうしても1日は必要なので、俺は鏡を元に戻して母の待つ下層へと降りる。
「やれやれ、面倒なことになった……」
──本当なら今頃、国民の歓声を浴びながら帰還して、王様にお金を沢山貰って、協力してくれた冒険者達とワイワイ話をしながら酒を飲むはずだったのになぁ……
俺は階段を下りながら、大きな溜め息を着いた。
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