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弁ちゃん掘り出し物発見!

二人はまず百貨店の楽器売り場に行ってみる事にした。

ショーウインドウにはキラキラのトランペットやアルトサックスが並び、正吾はホゥとため息をついた。

「カッコいいなぁ。俺も上手くなってセッションとかしてぇ」


「こりゃ正吾!寄り道してる暇はないぞ。あっちじゃあっち!」

そこにはズラリとギターが並んでいた。

正吾はその内の一つを取りだし構えてみた。

「弁ちゃん、これなんてどう?値段も3万8千円で妥当なとこじゃない」

弁天はブンブン首を振って

「ダメじゃダメじゃ、どれもこれも気にくわん!」とご機嫌斜めだ。

「こんなに沢山あるのにダメかぁ」

弁天はうなずいた。

「どれも魂が宿っておらん。空っぽじゃ!よいか正吾、よい楽器は皆生きておるのじゃ。悲しい曲を弾けば泣き、楽しい曲を弾けば笑い声をたてるそんな名器がきっとある。さぁ、探しに行こう!」

探しに行こうったってどこに行けばいいんだよ…。正吾は途方にくれた。

「お?そうだ!骨董市に行ってみようよ。掘り出し物があるかも?」

弁天の目が輝いた。

「よし!それはよいアイデアじゃ、行ってみようぞ」


骨董市は沢山の人で賑わっていた。どちらかというとフリーマーケットといった感じだが所々に古びた皿や掛軸などが置いてあるのが見える。

「ねぇ弁ちゃん」

「なんじゃ正吾?」

「どれが本物でどれが偽物か直ぐにわかるね。


「フフフそうであろう?ほれ、あの掛軸をみよ鯉が元気に跳ねておるぞ」

正吾の目にも水しぶきがあがっているのまで見えていた。

「作者の念ってやつだね」

「そうじゃ。ここで見つかるとよいが…」

二人は片っ端から店を見て歩いた。

「ア〜もう脚が棒だよ。少し休ませて」

「そうじゃの、妾も少々疲れたわい。あそこでだんごでも買ってきてたも」

「仕方ないなもう…」正吾が店先にいくとだんご屋の若旦那が声をかけてきた。

「ずいぶん若いのに骨董に興味があるとはみあげたもんだね。それともなにか探しもんかい?」


「実は、ギターを探してるんです。おじさんどこかいい店知ってます?」


若旦那はウ〜ンと唸りポンと手を叩いた。

「そうそう、この裏通りに確か古い楽器ばかり集めた店があるよ。あんまり客が入ってるの見たことないけどね。試しに行ってみちゃあどうだい?」


「え!?ありがとうございます。早速行ってみますよ」

若旦那は声をひそめて

「ただし、あそこの店主は相当ひねくれもんだから気をつけろよ」とアドバイスをくれた。

正吾と弁天はだんごをかじりながらその店に行ってみる事にした。

表通りは賑やかなのに一本裏の道に入ると人気もなく、なんだか怪しい店が沢山あった。

「うわぁ弁ちゃんこれ見てよ!猿の脳ミソだって、きもちわるっ」正吾は薄汚れたウインドーに並ぶウサギの脚だの亀の甲羅だのを取り扱っている奇妙な店の隣に森本楽器店という古びた店を見つけた。

「ここみたいだね…入ってみようか?」

弁天は正吾のセーターをギュッと握りしめた。

「ここじゃここじゃ、間違いない!店の中から妖気が流れ出ているでの」

正吾は震える足取りで恐る恐る中に入っていった。

そこには輝きを失ったトランペットやトロンボーン。そして埃をかぶった無数のギターが沢山立て掛けてあった。


「うわぁ。どれも古そうだね、これほんとにまだ使えるのかな?」正吾がどれにするか迷っていると、弁天が急に肩から飛び降りて棚の上によじ登りだした。

「正吾、何を見ておる!あの棚の上のケースをとるのじゃ!」

「えっ、これ?」

正吾は背伸びをして真っ白く埃を被っているケースをそっと降ろした。

脇の金具を外し開いてみると、そこには艶やかにかがやく真っ黒なギターが入っていた。表面にはらでん細工の揚羽蝶が美しく舞っていた。

「なんて綺麗なギターなんだ。まるで芸術品だよ」

正吾がケースからとりだそうとしたその瞬間、大きな手にガッチリと腕をつかまれてしまった。

「こら、小僧!大事な売り物に勝手に触るな」

そこにはまるで海坊主のような大きな男が立っていたのだった。

「す、すみません。あんまり綺麗だったもので…」海坊主は正吾の顔をじっと見た。

「しかしお前、よくこれに目がいったな。目立たないとこに置いた筈だが?」

正吾はしどろもどろに

「え〜と、あの〜このギターが僕を呼んだ気がして…」

実はそう感じたのは弁天なのだが正直に言うわけにもゆくまい。


「ほう、面白い事をいう坊主だな。で?これが気にいったか」

正吾は大きく返事をした。

「は、はい!とても気に入りました」

海坊主はガハハと笑った。

「お前なかなか道具を見る目があるな…しかし、このギターはなかなか気難しくてな。よっぽどの弾き手でないといい音を奏でてはくれないぞ?それでもいいなら売ってやろう」正吾は嬉しさのあまりとびあがった。

「100万だ」

「はぁ?」

「現金で100万持ってこい、明日までにな」正吾は風船が萎んだようにがっかりした。

「そんなの無理ですよ」

「その代わりといっちゃあなんだが、このギターを貸してやるよ。これを弾いて稼げばいいさ。明日は日曜日だし、学校は休みだろ?明日の朝これをとりに来い!いいな?」

弁天はガッツポーズをきめて言った。

「正吾、この弁財天様に任せておけ!」

その言葉を聞き、正吾はこの話にのることに決めた。

「わかりました!やってみます」

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