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弁ちゃん貧乏神と張り合う!

今日は月曜日で、全体朝礼がある。

正吾は7組なので端のほうに並んでいた。

「弁ちゃん、なんでみんなこっち見てるわけ?」

正吾は恐々周りを見渡した。

生徒達、いや先生達もなのだが背後に見える幽霊達がみなこちらを凝視しているのだ。

「そんなの決まっとる!妾が神だからじゃ。みな我らに敬意を払っておる証ぞ」

ウワァ〜あんまり見ないでよぅ。

「あれ?あそこに弁ちゃんみたいな小さい子がいる。うわ!すんごい美女、なんだか弁ちゃんと違ってはかなげなオーラ感じるなぁ」弁ちゃんはそれを聞いてプリプリ怒っている。「なにを言う!妾は弁財天、福の神じゃ。あやつは貧乏神ぞ?我らの敵ではないか」「ええっ!?あんな美人が貧乏神。イメージと全然ちがうなぁ」あれ?とり憑かれてるのはうちのクラスの篠原かぁ…そういえばアイツの親、派遣切りで大変だっていってたなぁ。「貧乏神ってさ。どうやったら追い払えるの?」

「本人がアイツを嫌いになればいいことじゃ」

「そんなの嫌いに決まってる!だって貧乏神なんだよ?」弁天はかぶりをふり

「それが上手くいかんから大変なのじゃ」

「ほれ、こっちに気付きおったわ」

その美少女はスウッとこちらに近寄ってきた。

「まあ、弁天じゃないの。久しぶりねぇ!こちらがあなたのターゲット?ウフフ可愛らしい方ね」

そういうとその細い指を正吾の肩にふんわりと乗せた。

「ねぇ、あなた。私のターゲット篠原君は今とても可哀想な状態なのよ。優しいあなたならきっと手を差しのべてくれるはず。お願いよ、そのポケットに入っているお金を彼に貸してあげて」

と、目をウルウルさせて訴えるではないか。

「は、はい。僕でお役にたてるなら喜んで…」

正吾はポケットに手を突っ込み、有り金全部を握りしめた。

「ちょっと待て!妾の正吾に何をする。とり憑こうと思っても無駄じゃぞ、妾がついているでな!あっちに行かんか、シッシッ」貧乏神はうっすらと微笑みながらまた篠原の背後にとり憑いた。

篠原は嬉しそうに彼女に笑いかけている。

「篠原にも見えているのか?」

弁天はうなずいた。

「神にとり憑かれた者は皆おなじじゃ。貧乏神でも神は神じゃ。もし憑依されておれば妾のことも見えるはずじゃぞ」

そう弁天が話していると篠原はこっちを振り返りニッコリと笑った。

「どうやら見えてるようじゃの」正吾はひきつった笑みを浮かべた。「うん。どうやらお仲間みたいだ」全体朝礼が終わると生徒は一斉に教室に戻る。篠原は真っ直ぐに正吾の元にやってきた。

「正吾、その可愛い子は誰?」

「アハハ弁ちゃんって言うんだ。正式名は弁財天だっけ?」

弁天は篠原の肩を指差し

「お前、こやつが貧乏神と知ってとり憑かせておるのか?」

篠原は嬉しそうにうなずいた。

弁天は深いため息をつき

「ハァァ完全に取り込まれておるわ、罪な女よのぅ」と嘆いた。「僕としては仲間が増えてうれしいな。もしかして篠原も福袋買ったの?」

篠原は不思議そうに答えた

「えっ何のこと?」とわからない様子だ。すると弁天が

「天照様が貧乏神など派遣するわけなかろう。大体、貧乏神は一族なのじゃ沢山姉妹がおるぞ!」と教えてくれた。

篠原は正吾に笑って言った。

「僕はね、彼女が大好きなんだ。とっても優しい子なんだよ可哀想な人を見るとすぐに助けようとするんだ。貧乏神なんて…きっと何かの間違いだよ」

弁天は哀れみの目で篠原を見ていた。

「さっ正吾、教室に戻ろうぞ。授業に遅れるでの!」正吾は複雑な心境のまま教室に戻っていった。


1時間目は数学だ、正吾は先生に指されないようなるべく下を向いている事にした。

「この問題は…吉田、やってみろ!」

「はい…」吉田は黒板の前に立つとスラスラと問題を解いていった。

吉田の背後には髷を結った商人らしき人物がとり憑いている。

正吾はそれを見て合点がいった。

「なるほど!計算が得意なわけだ」

つい声を出してしまった正吾を先生は見逃さなかった。

「なんだ正吾、お前もやってみるか?じゃあ…これをやってみろ」ウゲッ!全然わかんないよ。

「弁ちゃん!頼むよ」正吾は小声で頼んだが弁天は全く取り合わない

「妾はそんなもの知らん!計算は苦手での」

ウソ〜!

「正吾、どうした。ギブアップか?」

「ハイ…すみません」

「では、これを解ける者!」

篠原がハイ!と手を上げた。

「おっ篠原、じゃあお前やってみろ」

肩に貧乏神を乗せた篠原はあっというまに解いてみせた。

「正解だ!よくこれが解けたな。かなり難しい問題だぞ。よし、席に着いて」


貧乏神はフフンと鼻を鳴らし正吾を見ている。

「くぅぅ〜っおのれ貧乏神め!正吾、あやつらに負けるわけにはいかん。弁天の誇りにかけてお前を天才に育てるからな。覚悟しいや!」

正吾は神様の意地の張り合いに付き合わされるのは懲り懲りとばかりに大きなため息をついた。

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