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弁ちゃん絶対絶命の大ピンチ!

とうとうクライマックスに突入です!明かされる春日の過去。

お見逃しなく!

正吾は遥の霊が自分達の演奏によって浄化されていくのを見て、胸が熱くなるほどの感動をおぼえた。

「弁ちゃん…俺、鳥肌たってるよ。最高の気分だ!」

弁天は何も言わずニッコリと笑いかけた。

視線はすぐに毘沙門へと移っていく。

弁天の唇は何か言いたそうにしていたが、結局何も語らなかった。

その様子に見かねた恵比寿が、毘沙門に食ってかかった。

「おい!毘沙門。なんのつもりか知らないが小暮はもう俺達の仲間なんだ。もし、去年のような事があったら俺は今度こそ赦さないからな!覚えておけよ」

毘沙門はそんな恵比寿を鼻で笑い。

「フフン、負け犬の遠吠えか…見苦しいぞ恵比寿!」

正吾はこれ以上事態をこじらせたくなかったので、早々と退散する事に決めた。

「小暮!とにかく無事でよかったな。俺達はこれで帰るよ。お前も早く退院しろよ!どうやらお前も霊媒体質みたいだしな…学校で会おうぜ、恵比寿くんが言ったようにお前は俺たちの仲間だ。そうだろう?」

小暮は嬉しそうにうなずいた。

「ああ、そうだな。毘沙門が俺をプロ野球選手に育てるっていうんだ。俺には才能があるって!だから俺、やってみようと思う。小さい頃からの夢なんだ…俺もお前に負けないよう頑張る!」

「おお!世間のやつらをアッと言わせてやろうぜ。じゃあな!」

正吾達は病室の白いドアから出て行った。

弁天の顔に緊張が走る。

毘沙門がテレパシーで

「今晩、学校に来てくれ!話がある…」


と伝えてきた。

弁天はしずかにうなずき正吾と共に病室を後にしたのだった。


その晩、正吾はなかなか寝付けなかった。

毘沙門の過去がどうしても気になったのだ。

弁ちゃんは話したがらない様子だし…明日、恵比寿君に聞きに行ってみよう。

寝返りをうつ正吾の背中を見つめながら弁天はそうっと見つからぬように外に出た。

誰もいない学校はシンと静まりかえっており、なんの気配も感じられない。

「毘沙門…どこじゃ?」

弁天は中庭に出て空を見上げた。

「月が美しいの…今日は満月か」


「弁天…ここだったか」

毘沙門が飛んできて庭の銀杏の樹の枝に座った。

「毘沙門…お前はいつも突然現れるな。妾になんの用じゃ」

毘沙門は苦笑いを浮かべた。

「それが久しぶりに会った仲間に言う言葉かよ。冷たいヤツだな」

弁天は毘沙門を睨み付けた。

「お前がやったことに比べれば大したことではあるまいよ」

毘沙門はチッと舌打ちした。


「まぁいいさ。ところで今日はお前に会わせたいヤツがいる。一緒に来い」

弁天はいぶかしげな顔で毘沙門を見た。

「お前のよ〜く知ってるヤツだ。そう警戒するなよ」

弁天は何か引っ掛かるものを感じたが、ついて行くことにした。

「それで、そやつはどこにおるのじゃ?」


「すぐそこさ、ついて来いよ!」弁天は毘沙門の後からふわふわと飛んでいった。

「ここさ、入れよ」

弁天は戸惑った

「ほんにここなのか?」

薄暗闇の中でも弁天には何処なのか直ぐにわかった。

そこは正吾と何度も来たことがある保健室の前だった。


入り口を開けると、春日がいつものように椅子に座ってこちらを見ている。

「やあ、いらっしゃい弁天様。遅くに呼び出して悪かったね」


弁天は振り返って毘沙門にたずねた。

「逢わせたいヤツとは春日のことか?」

「まあな、だけどそれだけじゃない」

春日は白衣のポケットから小さな2本の水晶を取り出した。

春日はその一本を宙に放りあげ呪文を唱えた。

するとその水晶はみるみるうちに大きくなり、まるで透明の棺桶のようになった。

「弁天様、この中を見てごらん」

いつも優しげに見える細い目が今日は冷酷な光を放っている。

弁天は恐る恐る近寄るとヘタヘタとその場に座りこんだ。

「だ…大黒!」

春日は容赦なく、へたりこむ弁天に更なるクサビを打ちこもうとしていた。

「弁天様、ここにもう一つあります。きっとあなたが一番逢いたい人でしょう」

春日は残りの一つを放りあげた。

また棺桶が現れ、弁天はそれをみるなり両手で口元を覆った。

そうでもしなければ悲鳴をあげてしまうから…。

「び…毘沙門!どうして!?ではここにいるのは?」

春日は弁天の後ろに佇む毘沙門に

「お疲れさん」と声をかけ、フゥッと息を吹きかけた。すると毘沙門の動きはピタッと止まり、ただの人形に戻った。

「春日!お前…一体何者じゃ!?」

春日は眼鏡を外し、弁天に近寄って行った。

「言ったはずですよ…陰陽師の末裔だとね」

弁天は叫んだ。

「神を捕まえてどうするつもりじゃ!?人間の分際で我ら神に楯突くつもりか!」

「神?…神とはなんですか?人間に幸福をもたらす存在?それとも苦しめるためにいるのかなぁ?」

春日は遠い昔を懐かしむようにゆっくりと語り出した。


「僕ら一族はその昔、神との交信も許された名門の陰陽師でした。春日兼継、この名を覚えていますか?」

弁天は首を横に振った。

「そうでしょうね…。あなた方は私を見捨てたんですから。私から全ての力を奪い去り安倍晴明などという軟弱者にその力を与えた!」

弁天はすっくと立ち上がった。

「思いだしたぞ!お前は竜殺しの大罪を犯し、神を裏切った罪で処刑された。そうであろう!」

春日はクスリと笑った。

「ようやく思い出して貰えたようですね。そうですよ…。僕がその大罪人です!」

弁天は語気を荒くした。

「ならわかっていたはずじゃ!そうなる事を知っていながら何故竜を殺したのだ…」

春日は苦悶の表情で答えた。

「あの頃都は魑魅魍魎が跋扈しており、それを鎮めるためには僕の寿命では足りないくらいの歳月が必要だったのです!だから竜の血を飲んで永遠に生きようと思ったんだ。僕は間違っていない…間違ってなんかないんだ!」

春日の身体はブルブル震えだした。

「自惚れるな!!結局その後どうなったか…まさか忘れはしまい?」

春日は助けようとした人間達に処刑された無念を思いだしその瞳からは血の涙が流れた。

「憐れなヤツ…。報われぬ思いを引きずり、こうしてまた罪を重ねてゆくのか。いい加減目を覚ませ!」

春日は流れ落ちる涙を拭いもせず弁天をギロリと睨んだ。

「いやだ!神の力を我がものとし、人間どもに復讐してやる!」

弁天は深く息を吐いた。

「確かに今のお前は人の心を忘れた鬼そのものじゃ!だがな、お前は人間だったのじゃ。いくら霊力があろうがただの人間であったのにはかわりない…許してやれ。もとはといえばお前の傲った心が引き起こしたこと…自業自得じゃ!」

春日はかぶりを振った

「聞きたくない!聞きたくない!黙れだまれ〜!」

春日は水晶の柱をとりだし弁天に投げつけた。

水晶はあっというまに大きくなり、弁天をその中に封じ込めてしまった。

「フフフ…アッハハハハハハ!これは俺のものだ。誰にも渡さない。俺は神をも超える陰陽師になる…最強のな!」

正吾はそんな事になっているとは知らず、夢の世界でまどろんでいた。

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