弁ちゃん土蜘蛛をマネージャーにする!
正吾はカリンにこれからの計画をたずねた。
「まずはこのデモテープをスターダストの社長に送るわ」
正吾はアッと声をあげた。
「い、いつの間に!?」
カリンはフフフと笑って
「まずはそれからね!」と言った。
「なかなかやるのぅ。ではそれまで少し活動の範囲を拡げておくとするか」
「では私にマネージャーをやらせて下さい」土蜘蛛が立ち上がった。
「まぁ!土蜘蛛本気ですの?」
九尾が目を丸くして聞いた。
「ええ、せっかくこうして知り合えたんだから仲間になりたい。やらせてちょうだい」
「では決まりじゃな!頼んだぞ土蜘蛛。ところで人間界での名前はどうする?九尾は九条狐鈴と名乗っておるぞ」
土蜘蛛は少し考えて
「私はやっぱり土蜘蛛でいいわ。じゃあ土蜘蛛美香でどうかしら?」
弁天はうなずいて
「まぁよいじゃろう。よろしく頼むぞ!」
土蜘蛛は嬉しそうに
「任せてちょうだい」と声を張り上げた。
「ところで土蜘蛛、その格好はどうかと思うわ。ボンテージファッションは行き過ぎじゃないの?」
九尾は先輩らしくそうアドバイスしたが土蜘蛛はサラサラの黒髪を揺らしながら
「これでいいのよ!インパクトあるからきっとみんな一発で私を覚えてくれるわ。いい宣伝になるじゃない?営業の一環だと思ってちょうだいよ」
と至って強気である。
「ところであなた達、人前でライブやったことあるの?」正吾はブンブン首を振った。
「ないない!今まで何回か人前でやったけどそれは神様たちが憑依して演奏したわけで俺たちはまだデビューしてないよ」
土蜘蛛はフンフンとうなずいて
「では学校で演奏してみましょう!まずは近場からです」と提案した。
「そうじゃなぁ。どうじゃ?正吾」
正吾は
「大丈夫、やってみるよ!俺は前回1人で演奏したからね。問題はカリンさんかな?」とカリンの方をチラリと見た。
「わ、私だって大丈夫よ!ところでいつやるの?」正吾は少し考えて
「ちょっと有明先生にでも相談してみるよ」と答えた。
「そうなるとやはり私も学校に潜入した方が良さそうですね。近くにいれば何かとお役にたてますよ」土蜘蛛はすっかりその気になっている。
「う〜ん中学生にしては色っぽ過ぎる気がするけど?」
土蜘蛛はウフフと笑って
「制服きちゃえばそれなりに見えてくるものよ」と全く気にしない様子だ。
カリンはグラスにジュースを注いでみんなに配った。
「では!新マネージャー就任を祝して、かんぱ〜い!」
そして次の日…
「おはよう、みんな!」正吾達の背後から呼びかける声に振り返った。
「土蜘蛛さん!」
はぁ〜女の子って着る物でこんなに印象ちがうんだ!
めちゃめちゃ清楚なお嬢様に見えるよ。
なんて美人なんだ〜。正吾がボウッと見とれていると九尾が思い切り正吾の耳を引っ張った。
「イタタタ!九ちゃん止めて〜」
「正吾様が土蜘蛛に見とれたりするからです。この浮気もの〜!」
「ギャア!九ちゃんも可愛い!とっても可愛いから〜」
九尾はようやく手を放すと弁天に愚痴っていた。
「ほんと男ってどうしようもない生き物ですわよね!男なんてみんな浮気ものですわ」
弁天はハハハと豪快に笑い
「毘沙門はいつもクールで女共には目もくれなかった!男といえど人によろう?」
九尾はプイッと膨れて
「そうでしょうか?」とご機嫌斜めだ。
正吾はフゥとため息をつくと、九尾の手をとり歩き出した。
九尾はやっと笑顔になりニコニコと歩き出した。
「ウフフ九尾はほんとに正吾さんが好きなんですね」
土蜘蛛がそういうと弁天は
「羨ましいのぅ。妾は九尾のように可愛らしく甘えることが下手でな…。土蜘蛛、お前はどうじゃ?」
と、たずねた。
「…そうですね。私は好きな人のためならどんなことでもします。たとえそれが間違っていたとしても…そんな自分が怖くなる時があります」
土蜘蛛の厳しい横顔を眺めると弁天は少し心配になった。
どうやら土蜘蛛のお相手はちと問題があるようじゃの…
難しいものじゃな。弁天はこの神秘的な美しい妖怪をじっと見つめた。
「町田!それに九条さんも。おはよう」
声をかけてきたのは篠原であった。相変わらず貧乏神を肩に乗せている。
「おはよう!篠原、貧乏神さん」
正吾はパッと九尾の手を放した。
「ところで彼女は?」篠原は土蜘蛛が気になって仕方ない様子だ。
「彼女は…土蜘蛛美香さん。俺とカリンさんのマネージャーなんだ。今日からうちの中学校の生徒だ」
篠原はポゥと頬を染め
「篠原です。どうぞよろしく」
と頭をさげた。
土蜘蛛はニッコリと極上の営業スマイルで
「こちらこそよろしく」と頭を下げた。




