弁ちゃん毘沙門天を見つける!
毘沙門編が始まりました。こう御期待!
正吾は前を歩いている二人の姿を見て微笑んでいると
「もう付き合っとるのかのぅ?」と弁天が聞いてきた。
「う〜んどうだろうね ?二人とも受け身タイプに見えるんだけど…。どっちかが告白しないとカップルとは言えないんじゃないかな?」
「フム、有明もやっと自由になったのだから早く幸せになってもらいたいのぅ。そうであろう佐々木?」
弁天は有明の背後で疲れた顔をしている守護霊の佐々木誠之助に声をかけた。
「ハアそうですな。ワシも今回はいささか疲れました。中々に手のかかるおなごですわい。佐久間はよくやってくれていたのですなぁ。ああもう一度帰ってきてくれないかしらん」
「まぁ!すっかり怠け癖がついてしまいましたね。気を抜いている場合ではありませんよ。有明先生は魔にとり憑かれやすい方ですからね。いつあなたの出番がくるかわかりませんよ!」
九尾は佐々木にそう注意した。
「これまたキッツイおなごじゃなぁ。あんまりイケズ言ってると正吾さんに嫌われてしまうぞ!」
九尾はムッとした顔で
「正吾様はそんなお方じゃありません!ちゃんとわたくしの事分かってくれてますもの。ね?正吾様〜」と言うと正吾にべったりと寄り添った。
「正吾も大変じゃのぅ」
弁天がニヤニヤしていると正吾がたずねた。
「弁ちゃんには恵比寿君がいるもんね。そういえばここのところ生き霊騒ぎで会ってないなぁ。ごめんね弁ちゃん、寂しい想いさせちゃったかな?」
弁天は慌てて弁解した。
「な、なにを言う!恵比寿なんて妾はなんとも思っておらんぞ。恋人じゃと言っとるのはあやつのひとりよがりじゃ!」
「そうなんだ。じゃあ他に好きな神様いるの?」
弁天の顔はみるみるうちに赤くなった。
「そ、そんなのおらん!」
正吾は面白そうに
「ほんとかなぁ?怪しい!その慌てようはますます怪しいぞ」
と囃し立てた。
「もう知らん!」
弁天はプゥッとふくれてフワフワ飛んでいってしまった。
「アハハ弁ちゃん照れちゃったね。九ちゃんは弁ちゃんの好きな神様知ってるの?」
九尾は首をひねった。
「そうですねぇ…そういえば昔、トレジャーシップのメンバーと噂があったことがありました。ええと…誰でしたっけ?」
そんなやりとりをしているうちに正吾達は家に着いた。
「ただいま〜!」
正吾は居間にいくとテレビをつけ、こたつに入った。
「正吾、最近どうよ?ギター弾いてるの?」姉の和美が興味津々といった顔で正吾に聞いてきた。
「うん、まあね。そこのミカンとってよ」
和美は段ボール箱からミカンを3つ取りだしこたつの上に置いた。読んでいたアイドル雑誌をペラペラめくり、正吾にオーディションの記事を見せた。
「ほら、ここ見て!あんたもそろそろデビューしないと歳くっちゃうわよ。最近はみんな小学生でデビューしちゃうんだからね!」
正吾は和美のらんらんと輝く瞳をうんざりした表情で眺めならがら
「俺はね、アイドルになるつもりなんてないよ!」
とはっきり宣言した。
「ええっ!?なんでよ〜。スターダストの社長にスカウトされてるんでしょ?」
和美は不満そうに正吾の足を蹴った。
「いたっ!痛いなもぅ。誰もうけるなんて言ってないだろう?」
まったく和美のヤツなに考えてるんだか…。
「俺はね、真のアーティスト目指してるの!だいたい俺の顔見てよアイドルなんてツラしてないでしょ?」
和美は正吾をまじまじ見ると
「そりゃあ美形とはいえないけどあんたは独特の雰囲気持ってるよ」と言った。
「それって誉めてる?」
正吾が聞くと、和美は真顔で
「もちろん誉めてるんだよ!」
と言ってくれた。
和美とは年子ということもあってずっと仲の良い姉弟関係を築いてきた。周りからはブラコンと呼ばれることもあり、それは心外であったが和美は正吾の自慢の姉である。和美はスポーツ特待生として私立の有名校に進んだ。
とくに取り柄のなかった正吾にしてみれば才能に恵まれた姉は頭のあがらない存在であった。
「あんたに音楽の才能があったとはね。意外だったな。もうすでにあんたを認めてくれる人もいるんだから、頑張ってやってみなさいよ。応援するからさ!」正吾は嬉しくなって笑顔でうなずいた。
「ほら、今テレビに映ってる高崎伸って子もあんたとおなじ15歳だって。天才バッターでアメリカの大リーグも注目してるって言ってるよ」
テレビ画面にはとても中3とは思えない体格の高崎がバットを構えているシーンが映し出されていた。
ん?高崎の後ろに何かいる…なんだあれ?
「和美、高崎の後ろに何か映ってない?」
和美は目を細めじっとテレビ画面に食い入った。
「ん〜?なんにも見えないよ。見間違いじゃないの」
テレビでは高崎がホームランを打った瞬間が映しだされた。
「び、毘沙門!見付けたぞ!」
その時弁天は大声で叫んだ。




