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弁ちゃん生き霊の正体を暴く!

九尾は怯える正吾を突飛ばし車の中を点検した。

「チッどうやら逃げられたようです。」

弁天は首をかしげた。

「ずいぶん逃げ足が早いのぅ。正吾の見間違えではないのか?」

正吾はズボンのほこりを叩きながら立ち上がった。

「そんなわけないよ!俺、にらまれちゃったもん」

有明は正吾に詰め寄った。

「それでどんなやつだった?」

正吾はう〜んと唸り

「よく見えなかったけど男の人でしたよ。結構整った顔立ちの…でも怖い顔でこっちにらんでました。先生、心当たりあるんですか?」

有明は表情を曇らせた。

「実はね、最近誰かにつけられてる気がするの」


「そ…それってもしやストーカー!?」

正吾は心配そうに有明を見た。「じゃあ、もしかして今のも?」

有明は首を振って答えた。

「そんなはずないわ!ちゃんと鍵もロックされてたし」

九尾は二人の会話をじっと聞いていたがやっと口を開いた。

「もしかしたら生き霊かもしれません」

「生き霊?」

正吾と有明は声を揃え聞き返した。

「ええ、多分間違いありません…だとすると少し厄介ですね」

「厄介って…普通の幽霊と生き霊ってどう違うの?」


「生き霊とは知らぬ間にその者から魂が勝手に抜け出てゆく状態じゃからの。放っておくと命にかかわるのじゃ!なんとしてもその本体を突き止めねばならぬ」

「それにしたって一体どこの誰なんだ。先生、何か手がかりはありませんか?」

有明は首を振った。

「仕方ありませんね。次の機会を狙いましょう」

正吾がそう言うと九尾は懐から紫色の小さな三角の塊をとりだした。

「先生、これを差し上げます。これは魔除けのお香ですわ。これを焚けば先生に近づけないはずです」

有明はその塊を受け取りギュッと握りしめた。

「分かったわ。どうして私のところに現れるのかわからないけれど佐々木さんが回復するまでは私もがんばらなくちゃ!」

有明の背後で佐々木は

「すまん!」

と頭を下げた。

「いざとなったらやっぱり佐々木さんしかいないんですからね!その時はたのみます」

正吾の言葉に有明も見えない佐々木に頭を下げた。

「さぁ、今度こそ送るわね。乗ってちょうだい」

車はあっという間に正吾の家の前に着いた。

「先生、じゃあ俺達帰りますけど大丈夫ですか?」

有明は力なく笑って

「だ〜いじょうぶ!先生はこう見えても強いんだから。さぁさぁ早く入りなさい」となかなか降りようとしない正吾達に声をかけた。

「…わかりました。じゃあ何かあったらすぐに連絡してくださいね」

「了解!」

一同はそうっと正吾の部屋に戻った。

「あ〜疲れた!」

正吾は布団にバッタリ倒れ込んだ。

隣では九尾がすっかり元の姿に戻って丸くなっている。

「正吾よ、明日学校でも有明の様子をこっそりのぞいてみよう。何か分かるかもしれんからな」


正吾はまぶたを擦りながら

「そうだね。もしかして学校関係者かもしれないし…まずは俺達もパワー回復させないと。じゃあお休みなさい」


そして次の日…

「正吾様!朝でございます。起きてくださいませ。弁天様もそろそろ起きませんと遅刻しますよ!まったく手のかかる方達ねぇ」

九尾は正吾の顔をベロンとひと舐めした。

「ウヒャア!止めて〜」

弁天は正吾の悲鳴で飛び起きた。

「なんじゃ、なんじゃ!?」

「お二人共早く学校に行く支度をしてください。先生を偵察するんでしょ?」


その言葉で弁天もすっかり目が覚めたようだ。

「そうであったの!正吾よ、さっさと支度せよ」

正吾はだらだらと制服に着替え、パンをくわえて家を出た。その瞬間、九尾は九条狐鈴の姿に変わりニッコリと正吾に笑いかけた。

正吾は持っている揚羽に向かって

「こういうのもとり憑かれてるっていうのかなぁ?」

と聞いてみた。


揚羽は

「もちろん!」と答えて

「それだけじゃなく弁天様や私にもとり憑かれてるでしょ?まったく自覚がないんだから笑っちゃうわ」と軽くいなされてしまった。

「そんな事より練習よ、練習!これから昼休みは絶対にやるわよ。弁天様もこの子を1日も早く一人前にするよう協力してくれないと困ります!」弁天はうなずき

「分かっておる!これも正吾の音楽性を引き出す良い機会なのじゃ。今にわかる…そう焦るな」と揚羽に言い聞かせた。


学校に着くと、一同はまず職員室に向かった。

有明は窓際の自分の席で机に突っ伏していた。

「大丈夫かな?先生倒れ込んでるよ。声かけてみようか?」

九尾は首を振り

「いいえ…今日は外から様子を伺いましょう。生き霊ならば夜しか活動しないはず…危険はありませんわ」と言った。

すると、そんな有明の肩を優しく叩き声をかけている男がいた。

「あれは誰じゃ?」

「ああ、あれは理科の住吉先生だよ。ずいぶん親しげだね。もしかして先生に気があるのかな?容疑者候補にあげとこう」正吾はそう言うとメモ帳にペンを走らせた。

「正吾様、そろそろ教室に戻りませんと!」正吾はハッとして顔を上げた。

「よし、一時中断。教室に戻ろう」

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