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弁ちゃん守護霊をフォローする!

そんな有明の背後からニュッと人影が現れた。

「ア〜アやっと行ったか。いやぁしぶとい男じゃったわい」

正吾は驚いて後ずさりした。

「あ、あなた一体誰ですか?」

その男はウ〜ンと背伸びしてフゥと力を抜いた。


「わしか?わしはこいつの守護霊だ。いやぁまずは礼を言う!アイツを追い払ってくれてありがとう」

有明は目を丸くしてその男を見た。

無精髭を生やし、ボサボサに伸びた月代は先ほどの右近の爽やかな美男ぶりとは遠くかけはなれた印象だ。手には尺八を持っている。

「のんきに礼を言っとる場合ではないぞ!これからはしっかりと守護霊の役目をまっとうしろよ。だいたいこうなったのもお前がきちんと有明を守っておらんからじゃ!」

「弁天様…はい!これからはしっかりとこやつを守っていく所存です」

武士は平伏してそう言った。

九尾はその様子を見て心配そうに眉根を寄せた。

「右近様の力が大きかったせいかこの者はすっかり霊力が落ちてしまっているようです。このままではいつまた悪霊にとり憑かれるか心配ですわ」

有明はそれを聞いて不安そうな表情を浮かべた。

「九条さん、なんとかならないかしら?」

弁天が九尾に目配せした。

九尾はうなずいて

「大丈夫です。守護霊の力が回復するまで私がフォローいたします」と言って有明を安心させた。

「先生、九ちゃんに任せておけば安心ですよ…でもやっぱり守護霊ってその人にも影響を与えるんですね。お侍さんプロの尺八奏者なんでしょ?」

侍はガハハと笑って

「わしは藩から追い出されてな、これで飯を食っておった!」と自慢気に尺八を掲げて見せた。

「先生は確か大学でクラリネット専攻してたんですよね。ウ〜ン守護霊の影響は侮れないですね!」

有明はそれを聞いてガックリと肩を落とした。

「え〜!ほんとに?なんだか複雑な気分だわ」

「な〜にを言うか、わしのお陰で音楽教師になれなのだぞ!」

有明はそう言う侍を恨めしげに見て

「ほんとはプロになりたかったのに…」とつぶやいた。

「そ・れ・は!お前の努力が足らんからじゃ。なんでもわしのせいにするな」

二人の険悪ムードをなんとかしようと、正吾は話題を変えた。

「ところでまだお侍さんの名前、聞いてませんでしたね」

侍は無精髭を撫でながら

「佐々木誠之助じゃ」と答えた。

「佐々木さんですか、これからしばらくは俺達もお手伝いしますね。だから1日も早く霊力が戻るように頑張って下さい」


佐々木はフン!と鼻を鳴らした。

「手伝いなどいらん!今まではあの若侍がいたのでどうにも動きがとれんかったがもうすっかり身軽になった。悪霊などバッタバッタとやっつけてやるわ!ダ〜ッハッハッハ」

それをみて弁天は深いため息を漏らした。

「言っても無駄なようじゃな。仕方ない、陰から見守るしかなかろう」

正吾と九尾も仕方なく弁天に同意した。

「先生、これから呪文を解きます。そうすると霊の姿は見えなくなりますよ。今のうちに佐々木さんに言っておく事はありませんか?」

九尾がそう言うと、有明は佐々木をじっと見つめ

「これからもどうぞよろしくお願いします」と頭を下げた。

佐々木は満面の笑みで

「任せておけ!お前の幸せは俺が守る。右近にもそう頼まれておるんでな。あやつは確かに迷惑なところもあったが、本気でお前に惚れておった…だから任せておいたのだ。さてと俺も本来の役目に戻るとするかの」

二人はやっと仲直りすると有明は席につき、目を閉じた。

「おん、まからぎゃ、ばぞろうしゅにしゃ、ばざらさとば、うん、ばく…」

九尾が呪文を唱えると佐々木の姿は霧のように消えていった。

「ハァなんだか夢を見てるみたいだわ。見えないだけでそばに佐々木さんがいるんですものね〜。一回見ちゃうと変に意識しちゃうわ」

正吾達には有明の頭の上でアッカンベーをしている佐々木の顔がはっきり見えて弁天はブッと吹き出した。

「ハハハそうかもしれませんね。でもまぁ今までと変わりませんよ。」

有明は

「それもそうね!」と元気よく立ち上がった。

「あなた達、ほんとにありがとう。なんだか私、やっと幸せになれる気がするわ。今度こそ素敵な彼氏が見つかりそう」

そんな有明を見て九尾は念を押した。

「先生、今は守護霊のパワーが落ちていますから行動にはくれぐれも気をつけてくださいね」

「ウフフなんだか立場が逆転したみたいね。わかったわ気をつけます!ずいぶん遅くなっちゃったわね。近くまで車で送るわ」

一同は有明の車に乗ろうとドアを開けた。

すると誰か先に車に乗っているではないか。

「先生、先客がいるなら俺達歩いて帰りますよ。すぐ近くですから」

正吾がそう言うと

「な〜に言ってるの!そんなわけないでしょ」

正吾はブルッと身震いした。

「じゃ、じゃあそこに座っているのは…?」正吾は思わず悲鳴を上げた

「ギャアア!お、お化けだ〜」

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