うわぁ〜 私は妖怪だった!
この世界には、ブクマ外しの妖怪がいるという。
その妖怪は、全く気づいていない…。自分が一部の作家先生達からとても恐れられていることに…。
私は、あるゲームアプリの戦友さんに「なろう」を教えてもらったことがキッカケで、この世界にやってきた。その戦友さんは有名作品の主人公の名をゲームアプリ上の名前として使っていた「読み専」の人だった。
あれから、3度目の秋が終わった。私も読み手として、好きなジャンルの作品を自由気ままに読んでいた。
だが、私は何も知らなかった。ブックマークがその作品に2ptのポイントを追加することを…。そして、評価が、持ち点10ptで何度も評価し直せることを。
私のこれまでの行動パターンは、いつもワンパターンだった。すでに100万字以上書かれている作品を一気に読み進め、あと残り少しで更新を待たなければならなくなるとキリのいいところで、読むのをやめる。
そして、その作品の投稿がたまるまで数ヶ月放置。その間、次に読みたい長編が見つかるまで、10万字程度の作品を探す。
ここまでは、特に咎められるほどの悪行はしていない。
ただ、私にとってブックマークは、ただの栞だったのだ。
新たに読み始めるときは、まずブックマークをする。ちょっと読んで違うなと思ったらすぐ外す。話のテンポが悪くなってきて読むのがつらくなると外す。誤字脱字変換ミスが多くて読みにくい作品も外す。
でもまた再読したくなるかもしれない完結作のブックマークは外さない。待つのが嫌いな私だが、続きを待ってでも読みたいほど気に入った作品も外さない。
だが、楽しく読んでスッキリすると、満足した作品も私はブックマークを外すのだ。これは完結作だけではない。連載中の作品も、読んだ作品すべてに共通する私の習慣だった。
そう、私は、ブクマ外しの妖怪だったのだ。
さらに私の悪行は続く…。評価をしないのだ。そもそも評価は最後まで完結してからするものだと思っていた。だから完結していないものに評価はしない。でも完結しても評価はしない。
もちろん楽しかったな、面白かったな、とは思っている。そうじゃなければ、私は途中ですぐにブクマを外している。
でも、そのときに読んでいる中で圧倒的に感動したものにしか評価をしないのだ。自分がしなくても、他の人がしてるのだから。いや、何点つけるべきかの判断に自信がなかった…の方が正確な心境かもしれない。
読み手としての私は、ずっとこんな感じだった。
昨年の夏、ある日突然、私は文章を書きたくなった。なにか特別なキッカケがあったわけではない。強いて言うなら、お気に入り作品の更新が止まっていた…。
まだなのかといくら待っても更新されない。まさか、作家さんが病気なのか?事故にでも遭ったのか?そんな心配をしていた頃だった。
そして、ふと、私は思ってしまったのだ。
もしも私が投稿したら、読んでくれる人はいるのだろうか?
私は中学生の頃、一時期、本気で作家になりたいと思っていた。小学生の時に転校したことで、いわゆる転校生イジメを受けたことがあった。まぁそんなに長い期間ではなかったが。
ただそれがキッカケで、私は本を読むようになった。中学生の頃には教科書に出てくるような文学作品を読んでいた。
文庫本を手にしていると、なんだか大人になったような気がして、妙な優越感に浸ることができた。
正直なところ、物語の中身はあまりわかっていなかったと思う。
ライトノベルとの出会いは、その頃のことだった。友達が学校の昼休みに読んでいたのを教えてもらってこのようなジャンルがあることを知ったのだ。
当時の私には衝撃的だった。教科書に出てくるものと違って、その世界観にスッと自分が入り込める。
文学作品を読むという大人なふりをしたい反面、私はライトノベルの魅力にハマっていったのだった。
それからは、私のお小遣いの使いみちは、お菓子の次にライトノベルを買うことに変わっていった。それでもお菓子がダントツで1位なのは不動だったのだが…。
子供の頃の安易な夢、まさか自分が、人様に読んでもらえるようなお話を書けるわけがない。
そう、それはわかっている。わかってはいるが…。
もしかしたら読んでくれる人がいるかもしれない。どんなに文章が下手くそでも、それに付き合ってくれる優しい人がいるかもしれない。この世界にひとりだけでも、面白い楽しいと思ってくれる人がいるかもしれない。
その興味がやがて、野望に変わり…。そして私は、何を書こうかと考え始めてしまったのだ。
考えるのは自由だ。趣味だと割り切れば、こんな趣味も悪くはない。これを人様に押し付けなければいいのだ。そうだ、考えるのは自由だ。
だが、話の流れが頭の中でまとまり始めると、私は暴挙に出た。
ちょっと書くだけ書いてみよう。
もちろん投稿はしない。そんな度胸はない。でも文章にしてみると作家気分を味わえる。
そして1話を書いて、プレビュー機能を使った。すると、自分の書いた文章が、いつも読んでいる「なろう」の世界に現れた。
うわ!本物みたい!本物みたいって何だ?と自問自答しつつ、プレビュー機能にしばしウットリ。
これはヤバイ、癖になる。
その数日後、気づけば私は2話目を書いていた。当然、文章はひどい。がちゃがちゃしている。私が読み手としてこの作品を読んだら、すぐブクマを外す…。
ひどい文章だが、でもなぜかやめられない。そして、気づけば、何話も書きためてしまっていた。
何度もプレビュー機能を使ってはニンマリ…本物みたいだ。それで満足だった。満足だったはずなのだ。
ある日、私はいつものように、読み手として、何かないかと物色していた。
そのときタイトルに惹かれて読み始めた作品に、はじめて投稿しましたと前書きでの挨拶があった。
お話は面白かった。作家さんの世界観が私の好きなタイプだった。
でも5話目を過ぎたあたりから突然、誤字脱字変換ミスの嵐が吹き荒れ始めた。前後の文脈から意味を判断できないほどに…。
私はそこでブクマを外した。いま思えばひどい悪行だ。気に入ったと見せかけて翌日にはバッサリ切り捨てたのだから。
そして、なぜか、思ったしまったのだ。
誤字脱字変換ミスの嵐じゃなければ、少しくらいなら読んでくれる人がいるのではないか、と。
とんだ思い上がりだということはわかっている。プレビュー機能で、ニマニマしているだけでも私はすっごく満足していた。
ところがある日、私は、とうとうやってしまった。
その日、私の頭の中では、天使と悪魔が戦っていた。
人様の貴重な時間を奪ってはいけないわと天使が諭す。意外に読んでくれる人がいるかもしれないぞと悪魔がささやく。
そして、私は悪魔のささやきに負けてしまったのだった。
ポチッと…投稿ボタンを押してしまった! あぁ〜読者の皆様ごめんなさい。
でも、1話投稿しても反応はなかった。
バクバクが落ち着いてきた。たくさんの作品に埋もれた無名の投稿。そう、普通は読まない。
すると私は大胆になる。
プレビュー機能じゃなくて、自分の作品が投稿済み小説として自分のホームに載った。本物だ!
よし、読者に気づかれないなら、コッソリ投稿しても迷惑にならない。
そして2話目を投稿し、その日は悪戯が成功した子供のように高いテンションのまま眠りについた。
すると翌日、奇跡が起こっていた。
ブックマークが1つ、付いていたのだ!
私は驚き、そして読んでくれる人がいたことに感動した。それと同時に、この方のためにも、話を書き進めなければならないという責任感を感じた。
この瞬間、読み手から書き手へと、私の意識が大きく変わったのだと思う。
その後は、投稿する度に1〜2個ずつブックマークが増えていった。もちろん増えない時もあった。逆に減っている時もあった。
減ると強烈なダメージを受ける。おまえの話はつまらない、時間の無駄だ、もう一生読まない、と強く拒絶されたと感じるのだ。作家を消すには刃物はいらない。ブクマを外せば強烈な一撃になるのだから。
そして評価をしてくれる方もいた。まだほんの数話なのに…。これには、感動のあまりうるっと涙が出た。
私は、書き手の心境をこのとき初めて学んだ。そして今までの自分の妖怪っぷりに、心の底から反省をした。
有名作家さんなら私の行動はただの誤差にすぎないだろう。でも駆け出しの作家さん達には、大変なストレスを与えてしまっていたのだ。
私ほどひどいブクマ外しの妖怪は、そうはいないかもしれない。うぅ〜ごめんなさい。
相手のことを考えた行動を、普段の実生活においても全く出来ていない私は、この投稿をキッカケに大切なものを学んだ気がした。
そして、私は、読み手の立場から、自分が不満に思っていたことは絶対やらないようにしようと決意した。
読み手の私が一番不満なこと、それは更新のストップだ。誤字脱字変換ミスの嵐も勘弁してほしい。これも原稿チェックしてなるべく減らさなければならない。
だがそう決意した矢先に、私はやらかしてしまった。
投稿し始めて、2週間が過ぎた頃、まさかのインフルエンザにかかってしまった。
事前に翌日の原稿チェックはしていた。書きためていたものもまだ残っていた。
だから高熱が出た日の投稿はできた。だが自信がなかったので、前書きで投稿が止まるかもしれないと連絡をした。
そしてその翌日は、原稿チェックどころか、何も出来なかった。
こんな序盤で投稿を休んでしまった。きっとブックマークしてくれていた読者さんは離れてしまうだろうな…。
熱で気弱になっていた私は、寂しく悲しく、投稿するんじゃなかったと後悔していた。
その寝込んだ日のブックマーク数は28。そう、28人ものたくさんの人が継続して読んでくれていたのに、こんな序盤で、私は期待を裏切ってしまった…。
そして丸2日ほど放置した…。薬で熱が下がったら、すぐまた原稿チェックをしなければと思いつつ、こわくてなかなか見る気になれなかった。
でも、もしかしたら10人くらいはブクマを残してくれているかもしれない。そう思い直し、私は小説情報を開いた。
すると、ブックマークは、29になっていた。驚き、そして、私は涙が止まらなくなった。減っていない。それどころか1つ増えている!読者の皆様が、頑張れと応援してくださっている!本当にありがたいと思った。
顔も名前も知らない方々だけど、確かな繋がりを感じた。とても私の心はあたたかく、感謝の気持ちでいっぱいになった。
この29人の読者の皆様の応援が、インフルエンザで弱っていた私に大きなチカラを与えてくれた。
薬よりも治癒効果があった、そんな気さえしている夕凪だった。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
今日で、悪魔のささやきに負けて投稿し始めてから1ヶ月が経ち、今ではありがたいことにブックマーク数も、70を超え、評価してくださった方も7人となりました。
また感想もいただき舞い上がっております。
そして毎日約100人もの方々が覗きに来てくださっています。ありがとうございます。
いま、私の頭の中には、あと2つの作品の構想があります。もちろん、今の作品の途中で他の作品を書き始めるなどという暴挙には出ません。
私は器用ではないので、1つずつゆっくりと物語を紡いでいきたいと思います。
書き手としてちょうど1ヶ月の記念に、これまでの私の読み手としての懺悔と、興味を持ってくださった方、応援してくださっている読者の皆様への感謝の気持ちを言葉にしたいと考え、エッセイを書かせていただきました。
そして忘れっぽい私ですが、初心忘るべからずという自分への戒めの意味もこめて。
次は、1周年ありがとうエッセイが書けたらいいなぁと思っております。
皆様、読んでいただいて、応援していただいて本当にありがとうございます。
少しずつでも文章の書き方や展開、その他アレコレが今よりもマシになるよう、頑張っていきたいと思っております。
今後とも、どうぞよろしくお願いします。
読んでいただいてありがとうございます。
いまは余裕がないのですが書くことに少し慣れてきたら、また「読み手」としても自由気ままに楽しみたいです。ブクマは各ジャンルごとにかなりの数が可能だと知りました。これからは面白かった作品のブクマは残そうと思います。そして勇気を出して評価もしてみようと思います…が、評価のタイミングって…?やはり謎は深まるばかり…。
「書き手」としては、ブクマも評価も感想も、いただけるといつでもとても嬉しい。そっか…いつでもいいんだ! で合ってるのかな?やはり謎は深まるばかり…。