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神と魔人

たどり着く前のやりとり。

「ケンゴー綺麗なお花咲いてるー」

「おーそうだな。」

「ケンゴーあれすっごく美味しそうー」

「帰りに買おうか。」

「ケンゴー」

「おまっ、寄り道しすぎ!!」

ある所に暇を持て余した神々が居ました。

神々はそこにあった8つのランプで魔人を作る事にしました。

生み出された8人の兄弟。神様の命令で、自分を選んだ人間の願いを叶える事になりました。

兄弟達は、それぞれのランプの中で、人間に巡り会える事をとても楽しみにしていました。

しかし、魔人を呼び出した人間は良い人間ばかりではありませんでした。

人間達は、魔人を私利私欲のために扱き使いました。時には楽しみの為だけにとても言えないような酷い事もされました。

魔人達は神様の命の為、逆らう事は出来ず今度こそはきっと良い人間に出会える、とずっと頑張っていました。

でも、とてもとても長い間、健気に身体も心も擦り減らし続けた魔人達は、もう限界でした。

そして、とうとう魔人達は力を合わせてその国を滅ぼしました。

今まで自分の言う事をなんでも聞くと思っていた人間達を滅ぼす事は魔人達にとって造作もない事でした。

しかし、神様の言う事に背いた罰として、兄弟はそれぞれバラバラの国に飛ばされてしまいました。


ーーーーー

「ここか。」

商店街を歩くと、少女の言っていた通り大きいプレハブがあった。

怒りに身を任せここまで来たは良いが、今更ながら緊張というか勝てるのかコレ……?

「ダイジョウブ、僕がいるから。」

怖気付いてる俺を察してか、ヴォルスは人懐こい笑顔で俺を見た。

あぁ、こんなに綺麗な人に励まされてやらない訳にはいかないか。

拳を固く握ると、今まで少し震えていた事に気付いた。

俺はそれを飲み込むように深呼吸をしてから、ドアノブを回した。

「……なんだお前?」

薄暗い事務所の中には昨日来てた以上に怖そうな男達が、10人程居た。

「あっ、コイツ今朝荒らした店の奴っすよ。」

その中の一人、昨日店に来ていたチンピラが得意げにそう言う。

それの言葉を聞いた大男達は、途端にニヤニヤと気持ち悪い笑みを浮かべ、身体中に悪寒が走った。

「へぇ、流石に大好きなおばあちゃまの店が荒らされたら、怒っちゃったかぁ。」

ヴォルスを見ても余裕そうにしているところから、よほど自信があるようだ。

「で?お金はちゃんと持ってきたか?それとも求人探しに?」

下らない冗談で、部屋の中に嘲笑めいた笑い声が渦巻いた。

「……。」

その笑いの狭間、背後のヴォルスが奥歯を噛み締める音が微かに耳に入った。

ばあちゃんが守った店を、理不尽な理由で荒らしたコイツらは、絶対に許せない。

正直に言えば命は惜しい。

でも、ここでやらなければ。ばあちゃんに合わせる顔が無い。

「俺は金なんて払いません。勿論その為に働きもしません。」

意を決してはっきりそう言うと、その瞬間水を打ったように場が凍りついた。

「……なら、とっとと土地売ってくれるんだろうな。」

凄い剣幕で立ち上がった大男は、ゆっくりと俺の目の前に立ち、俺の肩に腕をかける。

間近で見ると、思わず身がすくみそうになる程身体が大きい。

「…んなワケないに決まってるデショ。」

男の手を退けさせ、すかさず俺の目の前に立ったのはヴォルス。

比べてみると、背丈は男と同じ、いやそれ以上。

「兄さんは、金で雇われでもしたんか?痛い目見る前に早く帰りな。」

大男がそう言った時だった。

【ドゴッ】

鈍い音とともに、大男が倒れた。

ヴォルスが、魔法とかではなくシンプルに殴ったのだ。

「お、オメェ!!!」

咄嗟に近くにいた男達が一斉にヴォルスに殴りかかってくる。

しかし、

「……。」

それを彼はいとも容易く払いのけていった。

「ぐわあっ!」

「ブフォッ」

それこそバッタバッタとなぎ倒していく俺の嫁。

俺は、それをただ呆然と見ているだけで、凄く現実離れしているような気分だった。

最早なんだか昨日の事も含めて全てが長い夢なんじゃないのかなって。

『また、アンタは喧嘩してきたの?』

『だって…みゆきちゃんがクラスの男子に虐められてたから……。』

どうやら昨日の事を思い出すついでにとても昔の記憶がふと浮かんできたようだ

『……かっこ悪ぃ…。』

まだ小学生だった俺が、おばあちゃんにそう呟く。

『いや?アンタは随分カッコいいよ。』

頬にガーゼを当てなが、おばあちゃんがそう言う。

『あんたは、惚れた女を守ったんだ。いくらやられてもその事には変わらないからね。』

『…いいかい?惚れた奴だけは絶対に守ってやるんだよ。それが男として当然のことだ。』

「……あ。」

なんだか、今の俺に、その言葉がやけに当てはまった。

「……?ケンゴ?」

我に帰ると、いつのまにか威勢の良かった男達は全員床に伏していた。

「えっと……ヴォルス怪我大丈夫?」

俺よりヴォルスが強いのは大いに知っている。

でも、何もせずただ見ているだけだった俺自身が、とてつもなく、不甲斐なく思えてきた。

「ン?ダイジョーブだよ!起きたばっかりでちょっと不安だったけどネー」

そんな俺とは裏腹にヴォルスは能天気そうな声で笑った。

しかし

「……クソ野郎…………舐めるなよ…」

彼の背後、先程の大男が懐から銃を取り出した。

「死ねぇ!!!」

「ヴォルス!!!!」

俺は咄嗟にヴォルスを抱きしめそのままぐるりと半回転する。

瞬間、銃声と共に背中に熱が爆ぜた。

「ケンゴ!!」

愛する者を守る。

あぁ、やっぱ男はこうでなきゃな。


更新が年明けて見事に止まりましたよねーw

しかも新作を2個出してしまうと言う……

もう、どうにでもなれぇ!!(某脱法曲風)

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