魔人と褐色
「たまたま魔人の召喚に成功したらドストライクでした。」
空咲健吾26歳
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「なんだこれ……!?ゲホッゲホゲホッ!!」
ランプから放たれた煙はたちまち部屋を包み込み、一寸先すらも見えない。
『ふぁぁ……よく、寝た。』
何処からともなく、男の声が響いた。
「誰だッ!?」
徐々に煙が晴れていく。
晴れていく、と言うよりは、一箇所に固まって、何か、人影らしき塊を形作っていった。
「ーー君が、セツコの言っていた健吾くん?」
やがて、誰かが俺の名前を呼んだ。
恐る恐る、まぶたを開けてみると、そこには……
「なっ…………」
「コンニチハ?どーも。ランプの魔人でーす♪」
耳には大きな金のピアス。
黒髪は、頭頂部に近い所で結ばれ、腰まである。
と言うより、腰から下が幽霊のように半透明で、ランプに吸い込まれているようだ。
「まぁー、セツコじゃないんだし、驚くのも無理は無いよねー」
一見チャラい様にも見えるが、その目元は、妖艶で美しい。
格好、身なり、その姿は、アラジンの物語に出てくる、まるで、まるでーー
「ら、ランプの魔人っっ!?!?!」
「え、いや、だからさっきそー言ったジャン。」
猛スピードで、後ずさる俺。
魔人はその問いに困惑した様に肯定した。
「いや、いやいやいやいやいや」
え?今何世紀だと思ってんの兄さん、そんな、
もしかして?これ、今話題のプロジェクションマッピング的な??
それか、誰か俺の知らない間にVRでも付けました……?
ふざけんじゃねぇよ、こちとらドッキリ大好きパーリーピーポーじゃねぇんだぞ……?!
『わぁ★ドッキリし過ぎてまじインスタ映えなんですけどーwwww』ってか、やかましいわ。
ていうか、問題はそこじゃねぇんだよ。
「そんな凄い勢いでパニクらなくて良いよー?俺ただキミの願いを叶えに来ただけだからー」
心配した魔人が、こちらに近寄ってくる。
ヤバイ、近くで見ると、すげぇ美人。というか褐色だし。褐色だし(大事なことなので二回言う)
「願い……??」
「そーそー、なんでも叶えてあげるヨー❤︎」
人間とは、欲深いもので。
この時の俺の反射神経は、きっと光の速さを超えただろう。
「嫁になってくださいッッ!!!!」
早すぎて擬音が出てこないぐらいの勢いで立ち上がり、魔人の手を掴むと、俺は全力でそう叫んだのであった。
「……へ?」
続く
読んでくださりありがとうございました!
はやくも手詰まり感が…………
良ければ、感想教えてください(笑)