ばあちゃんと店
空咲健吾【そらざきけんご】
36歳、元社畜。
好きなタイプは褐色美人(男)
最近タンスの角に薬指をぶつけた。
ここはなんて事ないオンボロ雑貨店。
俺はここで死んだばぁちゃんの店を継いでいる。
「はぁー……暇。」
ブラック企業から脱サラしてこの店を継いだはいいものの、暇すぎる。
ばあちゃんの遺産で、そこそこ食っていけるものの、店自体の売り上げは無いと言って良い程だ。
「どうやって、ばぁちゃん稼いでたんだよ……」
あ、ちなみに俺はホモだか、それはどうでも良いか。
聞かれていないが好きなタイプは褐色。
「さてと、掃除でもすっかな。」
店の奥の倉庫にはまだまだ在庫と言う名のガラクタがわんさか置いてある。
晩年は、外国のアンティークにお熱だったばぁちゃんは、異国の古いものを集めていた。
まぁ、外国のアンティークと言えば聞こえはいいが、実際はアジア系の謎の像が大半である。
「はーあ。もうちょっとオシャレなのだったら売れてたのになぁ。」
積み重なるガラクタ達を綺麗にしまっていく。
こんなの何十年かかるんだと言う量だが、暇つぶしなら丁度良い。
それに、この作業は嫌いじゃない。
「昔は、ばぁちゃんの土産話ずっと聞いてたっけなぁ……」
アジア製はにわ的なのを持ってしんみりとする。
その時だった。
カランコロンと涼しい金属音を立てて、山の中から、小さなランプが転げ落ちた。
「は?ナニコレ、」
思わず手に取ると、他のものより薄汚れているが、傷はなく、綺麗にしたらそれなりに値段の付きそうなものだった。
「……ばあちゃんにしては、良いの選んだなぁ。」
俺は早速近くに掛けておいた布巾を手に取ると、汚れを拭き取ろうとした。
しかし
「ぐぬぬぬぬぬぬ……とれん…!!」
汚れは意外と頑固で、しかもランプの模様の隙間に詰まって、厄介すぎた。
「何したらそんなに汚れるとんだよ。」
土から発掘されたんかと思うぐらいしつこい汚れと戦う俺。
最終的に歯ブラシ&某ピカッと輝く紙を使って、格闘する事2時間。
「ふう…………やっとか、この野郎。」
大方の汚れが取れ、後は拭き取りだけのところまで来た。
(そういや、ランプ拭いたらどうたらこうたらって言う物語あったよなだ……)
疲れた脳みそでそんな事を適当に考えていた、
次の瞬間。
「ッ!?!?!」
突然、ランプが光り、その口から紫色の煙がもくもくと、立ち昇った。
続く。
読んでくださりありがとうございました
次はいよいよ魔人君が出てきます。