第三十五話 メガネウラ
短めです。
今年最後の更新となります。
皆さまよいお年を。
神殿に戻り、捕獲した魔物をどう調理するか考え中だ。
ランクが高いもの程味が良いように設定してあるのは、エレー様から聞いているけど、”同じ系統内で”って言ってたからな。
元々、美味しくない部類なら、ランクが高くて味が良くなろうとも変わらないってことだ。
零に何かけても零になるのと一緒でさ。
これは、美味しくないと思われるトンボから行ってみるか?
なにせ地球で絶滅した巨大トンボと同じ名前だ。
”ビッグ・メガネウラ”だもん。
日本での呼び名”ゴキブリトンボ”だからな。
まあ、地球のは”ビッグ”はついてないけど。
生は駄目だ。
寄生虫がいるって言ってたからな。
今の肉体なら状態異常は無効だけど不快感を感じるからな。
誰か訪ねてきて事故があっては不味いし。
子供の頃、生で食べたら吐いたもんな。
臭いわ、エグイわ、食えたものじゃない。
ネットで言われているシーチキンの味って言うのはデマだぞ。
あるいは、自分と味覚が違うのかもしれない。
とにかく生は駄目!
……最後の一文が性的な文言みたいに感じるが、そういう意味では無いぞ。
気を取り直して、どう調理するか。
根田 「トンボから試食しようと思います。地球で食べた経験から生は駄目です。腹の部分も空洞なんですよね。魔物も同じかわかりませんけど。油で揚げるのと塩ゆでをやってみましょう。」
先ずは油で揚げてみる。
素揚げだから、思いっきりトンボだ。
尾頭無しだけど。
……自分はいつも思うんだが、魚だと尾頭付きは高級だが、動物だとゲテモノになるんだよなあ。
牛のテールスープとかあるのにさ。
食材は公平に扱うべきではなかろうか?
話がそれたな。
試食しよう。
大きいので、腹の部分と胸の部分をそれぞれ切り分けた。
甲殻類みたいに固い外皮かと思ったけど、そんなことは無かった。
根田 「取り合えず食べてみます。皆さんは無理しないでください。」
精霊たちは様子を見ている。
さあ、試食だ。
ん?香ばしいな。生と違って臭みは無い。
エビみたいだけど旨味が強いわけでは無いな。
サクサクした歯ごたえだけだな。
根田 「不味くは無いですけど、それほど美味しくは無いですね。歯ごたえを楽しむ感じです。」
そういうと精霊達も食べだした。
光華 「確かに味があるって感じでは無いですね。サクサクしてる感じです。」
黒乃 「うん。歯ごたえだけ。」
玉樹 「香ばしいだけみたいですね。」
これなら襲われない限り、いらないかな?
治療用の薬は創れるからね。
回復魔法で完璧に治すこともできるし。
塩ゆでを食べるか。
軽く茹でてみた。
試食しよう。
揚げたわけじゃないのに香ばしい匂いがする。
柔らかい感じだけど、どうだ?
根田 「甘みがある感じですね。香ばしいし。どんな味って言われると難しいですね。トンボとしか言いようがない。不味くは無いです。」
精霊達も試食した。
光華 「不味くは無いですけど、微妙です。」
黒乃 「ん~。コメントしずらい。不味くはない。」
玉樹 「確かに万人向けでは無いですね。不味くは無いですが、”肉”って感じじゃないですし。」
そうだよなぁ。
油で揚げて歯ごたえを楽しむものだな、これは。
根田 「油で揚げて、歯ごたえを楽しむ感じの物ですね、これ。」
油で揚げて、塩でも振ってお菓子代わりにしよう。
万人向けではないな。
根田 「地上の者には勧められないですね。俊敏性アップになる食材みたいですけど。」
そんなことを話してたら、食堂のマスターが訪ねてきた。
根田 「どうしました?バッタの肉が必要なら提供しますけど。」
マスター 「バッタの肉は十分ありますので大丈夫です。根田様が何か獲ってきたって聞いたので、食材になる物かと思いまして。」
根田 「ああ、そう言うことですか。試食していたところですよ。トンボの魔物を獲ったのですが、微妙なんですよね。」
マスター 「トンボですか?あれって薬の材料では?食えるんですか?」
根田 「薬になる素材は冒険者ギルドに売却しました。聖都の南側の荒れ地になったところにいたので、退治したんですよ。肉食で危険ですから。」
マスター 「ああ、スピードがあって人も魔物も食べるって聞きます。確かに危険ですね。俺も食ってみていいですか?」
根田 「良いですけど、味は微妙ですよ?」
マスターに揚げたのと塩ゆでしたものを出してあげた。
根田 「どうですか?」
マスター 「不味くは無いですが、食事という感じでは無いですね。何か素早くなった気もしますけど。」
根田 「ステータスを確認してみてください。俊敏性が上がるみたいです。劇的ってわけでは無いですけど。」
マスター 「確かに。少しですが上がってますね。揚げたやつを俊敏性アップ効果がある酒のつまみって言えば食べるやつはいるかもしれませんね。歯ごたえは良いですから。」
なるほど、つまみか。
味は分かったから、提供するかな。
根田 「良ければ提供しますよ。試食した以外に10匹持ってますから。自分はレベル限界値になってるので、食べても意味ないですから。」
この世界のレベルは、限界値って言うのが、個人で決まってる。
限界になるといくら経験を稼いでもそれ以上は上がらない。
神や精霊は、元々関係ないものだしね。
マスター 「良いんですか?戦闘職なら喜んで食べますよ。能力アップ食材は、なかなか無いですから。」
提供した10匹以外に、まだ4匹あるからね。
根田 「構いませんよ。他の人が食べるとこ観察して良いですか?」
妙な物食わしたって言われたくないからね。
マスター 「良いですよ。味に文句言わないことって断りますから。」
マスターもわかってるんだな。
味に関しては、いろいろ言われるもんな。
マスターと一緒に詰所の食堂へ。
◇◆◇◆◇◆
勤務が終わった神官や騎士がマスターの話を聞いて、興味をもったみたい。
マスター 「根田様が提供して下さった食材だが、味に文句言うなよ?能力アップの薬だと思え。」
神官 「根田様に文句言わないよ。味は微妙って聞いた上で食うんだから。」
騎士 「そうそう、能力アップ食材は、めったに無いんだからさ。早く食わしてくれ。」
トンボを揚げて塩を振ったのを提供した。
根田 「どうですか?不味くは無いですけど微妙でしょ?」
神官 「そうでもないです。サクサクしていけますよ。」
騎士 「根田様は調理技術を持ってるから、味にこだわりがありますけど、都市間の移動時の食事より全然旨いです。」
根田 「それならいいですけど。ステータスはどうなりました?」
ステータスの確認をしてもらった。
神官 「おお、俊敏性が上がってる。有難い。」
騎士 「本当だ!俊敏性上がってる。」
鑑定してみたら、レベルが低いほど上がるみたいだ。
まあ、3級の魔物だけど2級に近いやつだから。
ここの騎士や神官はバッタも食ってるから、肉体も強化されてるし、タフだと思う。
根田 「喜んでもらえて良かったです。バッタほど数が無いので早い者勝ちですよ?」
そう言ったら、みんな競って食べてるよ。
蟲の魔物食う習慣が無かった人達に思えないね。
後で聖女さんや巫女さんに文句言われた。
食えなかったみたい。
仕方ないから、お偉いさんたちに残ってたのを提供した。
俊敏性が上がって喜んでいたよ。
欲しくてももうないよ。
必要なら自分達で獲ってね。
微妙な食材が処理出来て良かった。
後は、モグラとミミズか。
どうするかなあ。
次回はどっちだ?
果たして美味いのか?
残念なことになるかなあ。




